TBSが29日に生放送した特別番組「オールスター感謝祭 超豪華! クイズ決定版」で、出演したお笑いコンビ次長課長の河本準一さん(32)が、胸を打撲していたことが31日分かった。

TBSによると、河本さんはローションを塗った土俵の上で相撲を取る「ぬるぬる相撲」で胸を強打し、自ら病院に行き手当てを受けた。TBSは「まだ痛みは引かないようだが(けがの程度は)それほど心配はない。リハーサルをするなど考えられる注意は十分やった」としている。
(「次長課長」河本さん、TBS生放送で胸を打撲)


当初は胸部の打撲、とだけ言われていたようですが、痛みが引かないため、別の病院で診察を受けたところ、肋骨骨折が判明したそうです。

12対の肋骨は、鳥かごのように組み合わさり、胸郭を形成しています。その中には臓器が入っており、肋骨骨折を起こすと、骨折に起因する症状だけでなく、中の臓器の損傷や、呼吸障害などを引き起こすことがあります。

そのため、肋骨骨折は骨折そのものだけでなく、臓器損傷や呼吸障害の程度の評価も非常に重要です。肋骨骨折は通常、第4〜8肋骨の外側骨折が最も多いといわれています。

肺、肋間動静脈、肋間神経損傷だけではなく、上部肋骨骨折では腕神経叢や鎖骨下神経損傷、鎖骨下動脈、大血管損傷を、下部肋骨骨折では肝臓、脾臓、腎臓の損傷を考慮する必要があります。

症状としては、上記ニュースのように痛みがあります。自発痛があり、深呼吸や咳、体を動かした時に増強します。ほかにも、局所の腫脹(腫れ)や皮下血腫などがみられます。

限局性の圧痛や介達痛(胸郭を両側胸部、あるいは上方から胸骨を圧迫すると骨折部に痛みがある)などがみられます。他にも、重症になると疼痛による呼吸障害、気胸、胸水貯留(数日経ってから)を認めることがあります。

診断や治療に関しては、以下のように行います。
胸部外傷の診断は、ほとんどX線(単純撮影,CT)、MRIにより確定されます。視診などを行った後、胸部X線撮影では、正面・側面・接線方向(肋骨撮影)を行い、骨折線の判読などを行います。

受傷直後に骨折線が明らかでない場合でも、数日後のX線写真で骨膜反応により骨折線が明らかとなることもあります。さらに、気胸や血胸を見逃さないように注意する必要があります。CT,MRIにて、他の損傷(肺,縦隔)をチェックするのも重要です。

治療としては、通常、重要臓器損傷がない場合には保存的治療を行います。疼痛に対して、NSAID投与(消炎・鎮痛薬)や神経ブロックなどを行います。痛みは、1週間を過ぎると楽になり、3週間を過ぎるとかなり改善してくるようです。

胸壁圧迫帯(バストバンド)固定は、下部肋骨骨折では除痛に有効であるといわれています。ですが、呼吸運動抑制があって息苦しさを感じることもあります。

手術は、胸壁の安定化と止血を目的として、セラミックピンやプレート、キルシュナー鋼線などによる骨接合術が行われることもあります。

今回の怪我は、生放送中での時間的制約がある中で、焦りやプレッシャーなどがあったため、なのかもしれませんね。こうした事故を繰り返さないよう、しっかりとした安全対策をして欲しいと思われます。

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