スウェーデンの研究者が行ったある調査の結果によると、中年の時に糖尿病をわずらった人は老後、認知症やアルツハイマー病にかかる可能性が普通の人より高くなるという。地元メディアが10日に伝えた。

報道によると、スウェーデンの研究者は50歳以降に糖尿病を患ったことがある人2269人を対象に32年におよぶ追跡調査を行った。その結果、これら糖尿病患者のうち394人が、認知症にかかったことが確認されたという。そのうち、アルツハイマーにかかった人の数は102人だった。糖尿病を患ったことがない人に比べると、糖尿病経験のある人のアルツハイマー病にかかる確率は50%高いことがわかったということだ。

ただし研究に関わった専門家は、中年時に糖尿病を患った人の老後における認知症発症率が高いことの具体的原因については、さらなる研究が必要だとしている。
(中年時に糖尿病になると認知症になる確率が高まる?)


アルツハイマー病とは、初老期、老年期に認知症を生ずる代表的な変性疾患です。老年認知症に占める割合は、欧米では過半数、日本では約30〜50%となっています。

記銘力障害、失見当識(時間や場所、人に関する見当づけができなくなること)で発症し、中期には失認、失行(日常生活における行動・動作ができなくなる)のため日常生活に支障をきたしてしまいます。また、物盗られ妄想、徘徊、不眠など周辺症状のため、介護負担が増すことも問題となります。

アルツハイマー病は、具体的には徐々に出現する健忘で始まります。たとえば、食事をすませたことを忘れて食事を催促したり、身近な人がわからなくなってしまいます。

言語面でも、言葉が出てこなかったりしてきます。失行も出現し、計算もできなくなってきます。無頓着・無感動となったり、同時に落ち着きがなくなってきます。ガスコンロの点火ができないといった単純な行為ができなくなったり、トイレや病室の場所を間違えるなど、視空間失認もみられます。

判断力も低下し、空間的・時間的な失見当識(自分がどこにいるのか、今日は何日なのかなど、分からなくなる)も著しくなってきます。さらに、水道からバケツに水を入れていつまでも水を庭にまくといった反復行為も出現してきます。性格変化が現れ、多動でまとまりのない行動異常などが認められます。

進行としては、以下のように分類されています。
第1期(初期):進行性の記憶障害、失見当識、失語・失行・失認、視空間失見当がみられ、被害妄想、心気-抑うつ状態、興奮、徘徊などを伴うことがある。
第2期(中期):中等度から高度痴呆の状態。言語了解・表現能力の障害が高度となり、ゲルストマン症候群、着衣失行・構成失行、空間失見当などがみられる。
第3期(末期):精神機能は高度荒廃状態となる。言語間代(言葉の終わりの部分,または中間の音節部を痙攣様に何回もくり返すような発語障害)、小刻み歩行、パーキンソン様姿勢異常、痙攣発作などが出現する。

DSM-犬凌巴粘霆爐箸靴討蓮以下のようになっています。
A.次の両者を呈する。多岐にわたる認知機能障害の進展
(1)記憶障害
(2)次の認知障害の一つまたは、それ以上
(a)失語(言語障害)
(b)失行(運動機能が正常にもかかわらず、動作を遂行する能力の障害)
(c)失認(感覚機能が損なわれていないのに対象を認識または同定できない)
(d)遂行機能(計画を立てる、組織化する、順序立てる、抽象化する)の障害
B.上記の基準A(1)とA(2)の認知障害が、それぞれ社会生活上、職業上で著しい障害をきたし、病前の機能水準から著しく低下している。
C.経過は、緩徐な発症と持続的な認知機能低下を特徴とする。
D.上記基準A(1)とA(2)の認知障害は、次のいずれにもよらない。
(1)進行性の記憶、認知障害を来す他の中枢神経系疾患(脳血管性疾患、パーキンソン病、ハンチントン病、硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍)
(2)痴呆をきたす全身性疾患(甲状腺機能低下症、ビタミンB12または葉酸欠乏症、ニコチン酸欠乏症、高カルシウム血症など)
(3)物質誘発性(医薬品、薬物)の疾患
E.認知機能は、せん妄の経過中にのみ起こるものではない。
F.認知障害が他の腫瘍精神疾患(たとえば、大うつ病性障害、精神分裂病など)によって、より適切に説明しうるものではない。

慢性進行性の認知機能の障害が診断のポイントとなり、上記の基準でも分かるとおり、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、脳炎、正常圧水頭症など治療可能な認知症や、うつ病、せん妄に代表される軽度の意識障害による認知障害を除外診断することが重要です。

治療としては、以下のようなものがあります。
認知機能の障害を改善する薬物としてはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とグルタミン酸拮抗薬があります。現在、日本でアルツハイマー病の治療薬として認可されているものは、前者の塩酸ドネペジル(アリセプト)があります。

アルツハイマー病の周辺症状(認知機能障害以外である幻覚や妄想、抑鬱など)に対しては、保険適用が認められている抗精神病薬は現在のところありません。そのため、症状に応じて各種の薬剤を適用外使用しているようです。

幻覚・妄想には、抗精神病薬(リスパダールなど)、抑うつには、抗コリン作用の少ない抗うつ薬(トレドミンやパキシルなど)、不眠には半減期の短い催眠・鎮静薬(マイスリーなど)を使用します。

患者さんは介護を要するため、デイサービスやホームヘルプサービスを利用して、介護者の負担を軽減することも重要となります。

アルツハイマー病は、九州大学医学部の発表によると、
耐糖能異常(血糖値を正常に保つ調節能力の低下)では、脳血管性認知症、アルツハイマー病ともに耐糖能異常を有する群はない群と比べ発症率が約2.5倍と高く、耐糖能異常が脳血管性認知症ならびにアルツハイマー病の危険因子であることを裏付けている。さらに詳しく解析すると、高血圧の人で耐糖能異常があると、脳血管性認知症の発症率は健常者の実に8.4倍も高くなっていた。

とされており、アルツハイマー病と糖尿病の関連性があるのではないか、と思われます。

糖尿病は、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクファクターともなると指摘されており、多くの疾患と関連していると考えられています。しっかりと発症予防や治療を行うことが重要であると思われます。

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