俳優・藤田まこと(75)が食道がん治療のため、主演予定の明治座6月公演「剣客商売」を降板することが16日、分かった。明治座がファクスで「急病(食道腫瘍)のため、降板することになりました」と発表。藤田も署名入りの文書で降板を報告した。現在、藤田は検査入院中で、手術を含めた治療方針を今月末にも決める。藤田に代わり、秋山小兵衛役を平幹二朗(74)が務め、公演は予定通りに行われる。
  
衝撃の発表だった。今月13日に75歳の誕生日を迎えた藤田が食道がんに侵されていた。この日、マスコミ各社に送付した直筆署名入りファクスで「健康管理のつもりで受けた健康診断で異状を指摘されて検査入院。その結果、食道腫瘍と診断されました。治療後の療養期間を含め、出演を断念せざるを得ないこととなりました」と報告した。
 
3月31日の検査で食道脇に腫瘍が発見された。藤田は治療と並行しての6月公演出演を望んだが、今月10日に家族や所属事務所と相談の末、治療専念と舞台降板を決定。担当医師の「藤田さんは元気で体力もあるので、今回は早く治療に入った方がいい」との説得に藤田も納得したという。11日の東京・日本橋三越本店での同公演トークショーは、過労を理由にキャンセルしていた。
(藤田まことさん、食道腫瘍で舞台を降板)


食道癌とは、食道に発生した上皮性悪性腫瘍を指します。好発年齢は60歳代となっています。治療成績の向上が得られてきており、現在では手術死亡率は数%、手術治療成績も5年生存率が20%台から50%へと達するようになっています。

発症のリスクファクターとしては、喫煙や飲酒があり、特に両者の相乗作用との関係がいわれ、1日20本以上喫煙し3合以上飲酒する群が他の群と比べ、食道癌の発生に有意な差のあることが指摘されています。また、食道アカラシアや腐食性食道狭窄、Barrett食道などに癌発生頻度が高いと指摘されています。

色素内視鏡や超音波内視鏡検査の普及に伴い、早期食道癌の発見される機会が著しく増加したため、早期食道癌発見の機会があがっています。そうした症例では、内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)が行われることも増えてきました。

症状としては、早期癌では食物がしみたり、食べ物の通過障害感、胸骨後部異常感などの軽度の食道症状が起こりますが、切除例の45%は無症状である言われています。

進行癌となると、狭窄が高度になり、嚥下障害が強くなってきて、悪心・嘔吐がみられることもあります。嘔吐は、初期には食物のみですが、狭窄が進むと唾液や粘液までも吐出してきます。

食道には漿膜がないため、周囲臓器への浸潤が起こりやすく、胸痛や背痛がみられたり、気道との間の瘻孔形成により激しい咳が起こることもあります。また、反回神経麻痺による嗄声などがみられることもあります。

必要な検査や治療としては、以下のようなものがあります。
上記にもありますが、食道癌の早期発見や存在診断は、消化管造影検査および内視鏡検査が主に行われています。特に、早期発見には、消化管造影検査や内視鏡検査(粘膜癌の診断や1cm 以下の微小癌の発見に大きな役割を果たしている)が主に行われています。

最近では、食道癌の診断は内視鏡検査が先行され、次いで精密検査としてX線造影検査が選択される傾向があるようです。内視鏡検査は病変の指摘が短時間で容易にでき、X線造影検査は病巣部の正面像・側面像から病巣の深達度、内視鏡所見では描出しにくい粘膜下の病変の広がりなどが分かるからです。

超音波検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査などは、臨床の現場においては食道癌の周囲臓器浸潤、リンパ節転移診断、他臓器への転移診断などが主な役割となっています。

治療法としては、内視鏡的粘膜切除術や手術療法、放射線療法、化学療法などが通常行われています。食道癌治療ガイドラインによれば、壁深達度およびリンパ節転移により、その治療方法が選択されています。

たとえば、粘膜癌(特にm1〜m2)に対しては内視鏡的粘膜切除術(EMR)が第1選択とります。粘膜下層癌(sm癌)では従来の頸部、胸部、腹部の3領域リンパ節郭清を基本術式とします。

他臓器浸潤のある症例に対しては、転移した臓器が容易に合併切除可能な臓器の場合は、手術を行いますが、気管や気管支、大血管への浸潤が認められる場合には、まず化学・放射線療法を行ってから腫瘍を縮小し、手術を考慮します。高度リンパ節転移、あるいは他臓器転移のような高度に進行すた場合は、非切除症例として化学放射線療法や化学療法が選択されます。

どのくらいの病期にあるのかなど、病状は不明です。舞台を降板なされたのは残念ですが、しっかりと静養なさって、復帰して元気な姿を見せていただきたいと思います。

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