しゃっくりはふつう、水を1杯飲めば止まるといわれる。しかしイギリスの男性、クリストファーさんはなんと、15ヶ月にもわたってしゃっくりをし続けており、いまだに止まらないのだという。

クリストファーさんはしゃっくりを止めるため、ありとあらゆる方法を試したがどれも効果がなく、今は外科手術に望みを託している状態だという。

しゃっくりが出続ける原因を探るため、クリストファーさんは脳、胸、腹部をCTスキャンにかけて検査したが結果はいずれも問題なしだったという。ある医師は詳細な検査の後、クリストファーさんは胃の一部に問題があり、胃液が逆流していることを突き止めた。これが、しゃっくりが止まらない原因なのだという。

クリストファーさんは間もなく、しゃっくりを止めるため胃と食道の手術を受けるということだ。
(15ヶ月もしゃっくりが止まらず、ついに手術を決意)


しゃっくりとは、横隔膜、肋間筋など呼吸筋の攣縮により急速な吸気が起こり、一瞬遅れて声門が閉鎖される現象を指します。「ヒック、ヒック」という特徴的な音を生じます。発症は、呼気の終わりや、呼気の始まる横隔膜の被刺激閾の最も高い時に生じます。

しゃっくりは、一過性のものと、長時間持続するものとに大別されます。一過性のものは機能的なものが多いですが、長時間持続するものには器質的なもの、つまり何らかの疾患による場合が多いと考えられます。持続性しゃっくりには、中枢性吃逆、末梢性吃逆、反射性しゃっくり(主に腹部疾患に伴い、横隔膜が刺激され反射性に生じる)、神経性しゃっくり(ヒステリー、神経衰弱などが原因となる)などがあります。

原因となるのは、末梢では横隔神経、迷走神経など(末梢性しゃっくりの場合、横隔神経が直接刺激を受けて生じる)、中枢では脳幹呼吸中枢、視床下部、延髄網様体などが刺激されて生じると考えられています(第3〜第5頸髄以上の中枢性病変によって、呼吸中枢や横隔神経の脊髄中枢が刺激されて生じる)。

診断や治療としては、以下のように行います。
まず、一過性のしゃっくりか、それとも持続性のしゃっくりかといった分類が重要となります。持続性の場合は、その原因疾患は何かを考えるため、中枢性か、末梢性か、反射性かといったことを鑑別していきます。

上記のケースでは明らかに持続性のしゃっくりであり、「脳、胸、腹部をCTスキャンにかけて検査した」ということからも、その器質的障害がどこにあるのか、検索しています。中枢性病変から順に頭部、頸部、胸部(特に縦隔)、腹部、といった順で考えていきます。結局、上記のケースでは「胃の一部に問題があり、胃液が逆流していること」が原因となっていたようです。

このようなケースでは、原疾患を治療しなければなりませんが、一時的なしゃっくりの場合は、以下のような対処療法があります。
・注意をそらせたり,急に驚かせたり、痛み刺激を与える。
・指で舌をできるだけ前に引き出す(舌牽引法)、深呼気の終わりに声門を閉じさせ努責させる(Valsalva法)。
・氷水を飲ませる、アンモニアなどの強い臭いをかがせる。
・経鼻的にネラトンカテーテルを咽喉頭部まで挿入し、ネラトンカテーテルを引いたり入れたりして咽喉頭部に刺激を与える(鼻咽腔刺激法)。
・胃にチューブを挿入する(咽喉頭部の刺激と胃内に貯まっている空気、胃液を吸引して刺激をとる)。

これらでも持続する場合、薬剤の投与を行い、ジアゼパム、メトクロプラミド、フェノバルビタールなどの注射を行います。他にも、硫酸アトロピンを皮下注したり、二硝酸イソソルビドを舌下投与したりします。これらの方法でも効果がなく、長期に持続する時は、場合によっては外科的手術により、横隔膜神経の切断が行われることもあります。

15ヶ月もの間、しゃっくりに悩まされ続ける生活がどのようなものか、想像もできませんが、ようやく治療のめどが立って良かったと思います。上記の原因が間違っていて、止まらない可能性もありますが、止まって欲しいと願わずにいられません。

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