以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

保険のセールスレディとして働くS・Jさん(52)は、仕事先で知り合ったFさんと再婚。以来、夜は夫の帰りを待って就寝は11時、朝は6時には起きて朝食と弁当づくりと、生活パターンが大きく変わりました。

そんな生活にも慣れてきた頃、仕事中、強い眠気を覚えるようになったS・Jさん。毎日7時間は睡眠をとっているし、気が緩んでいるだけだと自分を納得させていましたが、眠気はエスカレートしていくばかりでした。

具体的には、以下のような症状が現れました。
1)昼間に強い眠気
昼食後に眠くなったり、うとうとするようになりました。
2)ひどいイビキ
大きなイビキをかいていた、と指摘されたS・Jさん。昼間の眠気が強いこともあり、睡眠時無呼吸症候群ではないか、と思うようになりました。そこで外来受診して鼻腔持続陽圧法(nasal CPAPといって、鼻マスクを介して気道内を5〜12cmH2Oの陽圧にして気道虚脱を防ごうとするもの)を毎晩して眠るようになりました。
3)朝から眠気を感じる
始めは昼間に眠気が強くなるといった状況でしたが、仕事中にもかかわらず強い眠気が起こるようになりました。そのため、睡眠時間が少ないのではないか、と思ったS・Jさんは、土日に10時間近く眠ることにしました。ですが、相も変わらず平日には眠気が起こって仕方がありませんでした。

結果、営業先を回って帰るところで運転中に居眠りをして、追突事故を起こしてしまいました。

こうした眠気の原因は、以下のようなものでした。
S・Jさんは「睡眠不足症候群」という状態に陥っていました。

「睡眠不足症候群」とは、慢性的な睡眠不足によって、日中、強い眠気に襲われる疾患のことです。2005年、睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)に掲載され、認められたばかりの新しい疾患です。

交通事故を起した人の中に、この病を患っていた人が、多数いると分かり始めているるそうです。健康な人の場合は、眠気と覚醒のリズムで、日中は正午から午後3時頃までの間だけ眠気を感じます。ですが、この病になると、朝起きてすぐに眠気に襲われるばかりでなく、正午から午後3時の時間帯に耐え難い眠気を感じてしまいました。症状としては、日中の強い眠気とともに、倦怠感、易疲労感、頭重感などが出現します。

S・Jさんの場合も、この眠気と覚醒のリズムで最も眠気を強く感じる、午後2時に居眠り運転をしてしまいました。S・Jさんの場合、毎日7時間は寝ていました。ですが、1日に必要な睡眠時間は、人それぞれ個人差があり、S・Jさんは6時間以上眠っているにも関わらず、睡眠不足症候群を発症してしまいました。

睡眠不足症候群が、通常の睡眠不足と異なる点は、1日や2日良く寝るだけでは足りず、およそ2週間は適正な睡眠時間をとらないと、昼間の眠気がとれません。そのためS・Jさんは、週末だけぐっすり眠っても、眠気がとれませんでした。

このように、入眠・起床時刻と睡眠時間を参考に、平日に比べて休日の睡眠時間が2時間以上長く、長期休暇などで十分睡眠をとった場合に過眠が改善する場合は、睡眠不足症候群が疑われます。

治療の基本としては、十分な睡眠をとることです。1日や2日では解消されない場合もあるため、2週間程度はきちんととる必要があります。入眠が困難な場合には、マイスリー錠(5mg)やアモバン(7.5mg)を就寝前に飲みます。

必要な睡眠時間は人それぞれ異なり、上記のような症状でお困りの方は、睡眠のあり方を見直してはいかがでしょうか。

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