歯周病によりがんのリスクが高まる可能性があるとの研究結果が27日明らかになった。インペリアル・カレッジ・ロンドンのドミニク・ミショー博士らが専門誌に発表した。

歯周病歴のある男性医療専門家を対象にした長期研究で、がんを患う可能性が全体的に14%高いことが判明した。論文では「喫煙その他のリスク要因を考慮した上でも、歯周病は肺や腎臓、すい臓、血液のがんのリスク増大と大きな関連性があった」としている。

これまでの研究では、歯周病で心臓病や糖尿病の発生リスクが高まる可能性が示されていた。
(歯周病、がんのリスクが高まる可能性=研究)


歯周病原性細菌とは、歯周疾患の各病型の成立に重要な役割を演じていると考えられている菌種の総称です。たとえば、成人性歯周炎の原因となるPorphyromonas gingivalis、若年性歯周炎にはActinobacillus actinomycetemcomitans、妊娠性歯肉炎にはPrevotella intermediaなどがあります。

菌歯周病菌が引き起こす歯周病とは、歯と歯茎の間にある溝(歯周ポケット)で歯周病菌が繁殖、歯茎に炎症が起きる疾患です。日本人のおよそ7割がかかっていると考えられている国民病の一つです。

この歯周病は、全身疾患(心臓血管系疾患、呼吸器系疾患、糖尿病、妊娠時の合併症、肥満など)との関連性を示す研究結果が報告されており、注目されています。特に、重度の歯周病を患っていると心筋梗塞のリスクが高まる、ということがいわれています。

歯磨き不足などがきっかけとなり、歯周ポケットに歯周病菌がたまり始めると、その毒素で歯茎が破壊され、歯周ポケットは徐々に深くなり出血を伴うようになります。さらに、この状態を放置すると「口臭が発生する」などの症状となって現れます。

このような状態になると、歯周病菌の一部はリンパ管を経て、血管の中に侵入して血中内に入ることになります。もちろん血管に入った歯周病菌の大部分は、白血球によって退治されます。ところが、一部の歯周病菌は、白血球から逃れ、血小板に入り込むことがあります。

歯周病菌が入り込んだ血小板は異常を起こし、互いに集まり固まりやすくなり、簡単に血栓を作ってしまうと考えられています。歯周病菌が入りこんだ血小板が体内で増加すると、血栓がつくられてしまいます。こうした血栓が、動脈硬化が起きていた場所があると次々と付着し、冠状動脈を塞いで、心筋梗塞を引き起こしてしまうと考えられます。

また、歯周病や根尖性歯周炎、あるいは観血的処置後の一過性菌血症により、口腔レンサ球菌を起炎菌とした細菌性心内膜炎を生じることも知られています。特に、心室中隔欠損症術後ならびに心弁置換術術後の患者でリスクが高くなります。そのため、細菌性心内膜炎のリスク症例では、歯周炎や根尖性歯周炎、智歯周囲炎の予防に努め、歯科で観血的な処置を受ける際には、手術前後の抗菌薬(小児はセフェム系経口抗菌薬内服や、成人ではペントシリンの点滴静注やゲンタシン筋注など)の投与が必要になります。

さらに、以下のように糖尿病との関係性がいわれています。
歯周ポケットに歯周病菌がたまると、免疫細胞である白血球が集まってきます。この時、白血球が歯周病菌の出す毒素に触れることで、TNF-αと呼ばれる物質を放出します。TNF-α(カケクチン)とは、細菌のエンドトキシンによりマクロファージが産生する、分子量1万7000の単純蛋白質です。抗腫瘍効果があり、実験的腫瘍に出血性壊死を起こします。強い発熱物質としても知られています。

このTNF-αには、血液中のインスリンの働きを妨げてしまう作用があると考えられています。そのため、インスリンの働きが低下し、糖尿病が一気に進行してしまったと考えられます。結果、血糖値が高くなり、今度は歯茎の毛細血管の血流が悪くなります。すると、血液が行き渡らず、歯周病菌を退治できなくなってしまいます。つまり、歯周病の悪化をもたらしてしまうわけです。歯周病による歯茎の炎症が悪化するにつれて、さらにTNF-αが多く放出され、糖尿病もますます悪化してしまうという悪循環が生まれてしまいます。

上記の研究で、「歯周病をもっている人ともっていない人で、癌の家族歴の有無や生活習慣に大きな相違がなく、歯周病の有無だけが発癌性に関与しているのか」といったことや、そのメカニズムも不明です。ですが、たしかに歯周病は健康面に大きな影響を与えているのは確かであり、予防するに越したことはなさそうです。

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