食道がん治療中の俳優・藤田まこと(75)が今月26日に手術を受けていたことが30日、明らかになった。現在、大阪府内の病院に入院中で、術後の経過は良好だが療養期間が必要なため、大阪松竹座9月公演「剣客商売」の出演は断念、公演も休演となることが同劇場から発表された。夏場は完全休養に充て、秋以降の復帰を目指す。

食道がんに侵され、放射線治療を受けていた藤田まことが、手術に踏み切っていた。所属事務所によると、藤田は5月26日に大阪府内の病院で7〜8時間にわたる大手術を受けた。事務所関係者は「成功といっていい。もともとこれぐらいの時間はかかると言われていました。家族からは顔色もよく、術後の経過もいいと聞いています」と説明。近日中にも退院し、通院治療に切り替えるという。

手術後に医師から「暑い時期に1か月もの長期となる舞台の仕事を、初仕事にするのは厳しい。しっかり休養に充てた方がいい」とのアドバイスを受け、出演を断念した。夏場を療養に充てて、秋以降に比較的短期間で済むような仕事での復帰となりそうだ。

藤田は食道がんの診断を受け、3月31日に入院。5月の大型連休時には温泉で療養、週末には自宅へ帰宅。放射線治療は5月上旬で一段落し、経過を見ながら手術するかどうか検討するとしていた。
(藤田まこと、9月復帰予定の舞台休演…食道がん手術も夏は完全休養)


食道癌とは、食道に発生した上皮性悪性腫瘍を指します。

色素内視鏡や超音波内視鏡検査の普及に伴い、早期食道癌の発見される機会が著しく増加したため、早期食道癌発見の機会があがっています。そうした症例では、内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)が行われることも増えてきました。

食道癌の早期発見や存在診断は、消化管造影検査および内視鏡検査が主に行われています。特に、早期発見には、消化管造影検査や内視鏡検査(粘膜癌の診断や1cm 以下の微小癌の発見に大きな役割を果たしている)が主に行われています。

最近では、食道癌の診断は内視鏡検査が先行され、次いで精密検査としてX線造影検査が選択される傾向があるようです。内視鏡検査は病変の指摘が短時間で容易にでき、X線造影検査は病巣部の正面像・側面像から病巣の深達度、内視鏡所見では描出しにくい粘膜下の病変の広がりなどが分かるからです。

超音波検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査などは、臨床の現場においては食道癌の周囲臓器浸潤、リンパ節転移診断、他臓器への転移診断などが主な役割となっています。

治療法としては、内視鏡的粘膜切除術や手術療法、放射線療法、化学療法などが通常行われています。食道癌治療ガイドラインによれば、壁深達度およびリンパ節転移により、その治療方法が選択されています。

たとえば、粘膜癌(特にm1〜m2)に対しては内視鏡的粘膜切除術(EMR)が第1選択とります。粘膜下層癌(sm癌)では従来の頸部、胸部、腹部の3領域リンパ節郭清を基本術式とします。

手術以外にも、内視鏡治療と放射線あるいは化学療法との合併療法か、放射線・化学療法による治療が選択されることも多く、粘膜下層以深の手術症例に対しても、術前・術後に放射線治療や化学療法を併用する集学的治療により、治療効果をあげつつあります。

進行した食道癌に関しては、以下のような治療が行われています。
癌腫が粘膜下層に深く入ったものでは、50%以上の転移率であるといわれています。このように表在癌であってもリンパ節転移がある程度疑われるものに対しては、進行癌に準じてリンパ節郭清を行うのが一般的です。

また、癌腫が固有筋層にとどまる病変(T2)あるいは食道外膜に浸潤している病変(T3)を有する症例は遠隔転移および遠隔リンパ節転移を認めなければ、リンパ節郭清を伴った食道切除術を行うか、心・肺・肝・腎などの他臓器の機能障害を有していたり、手術を希望しない場合には、化学放射線療法を行います。

他臓器浸潤のある症例に対しては、転移した臓器が容易に合併切除可能な臓器の場合は、手術を行いますが、気管や気管支、大血管への浸潤が認められる場合には、まず化学・放射線療法を行ってから腫瘍を縮小し、手術を考慮します。高度リンパ節転移、あるいは他臓器転移のような高度に進行すた場合は、非切除症例として化学放射線療法や化学療法が選択されます。

放射線療法は腫瘍の局所浸潤による切除不能例や、遠隔転移を有する症例、切除可能であっても他臓器重複癌や合併症のため手術適応がない症例、手術拒否例などが対象になっていることが多いです。

高度進行癌に対してはCDDPと5-FUを基本とした化学放射線療法が選択されています。その他、sm深部までの症例に対しては腫瘍親和性物質を事前に投与しておくレーザーを用いたphoto-dynamic therapy(PDT)も行われています。

藤田さんの場合、食道癌どういった状態にあるのかは分かりませんが、手術も無事に終わったようです。しっかりと静養なさって、再び元気な姿をみせていただきたいと思われます。

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