以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

とある週末、共働きの妻を少しでも助けようと台所に立ったK・Tさん。この夜、仕込んだのは、得意料理のカレー。

「一晩寝かせた方が美味い」と、作ったカレーは一晩そのままに。翌日の昼、温め直して夫婦で食べました。ところが、その日の夜、二人は腹痛と下痢に苦しむことになってしまったのです。
具体的には、以下のような症状が現れてきました。
1)腹痛
2)下痢
嘔吐や発熱はありませんでしたが、激しい腹痛と水様性の下痢がみられました。

こうした症状は、ウェルシュ菌による食中毒で起こったものでした。
ウェルシュ菌は、この菌に汚染された食品を口にすると感染型食中毒を発症します。他にも、ガス壊疽の起炎菌としてよく知られています。

ウェルシュ菌はウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜の腸管内に常在しており、汚染された肉類や乳製品の経口摂取が原因となります。

潜伏期間は感染した菌量によりますが、8〜22時間であるといわれています。主要な症状としては下痢や腹痛であり、発熱や悪心・嘔吐などはないといわれています。経口摂取されたウェルシュ菌が、胃酸に曝されて芽胞化する際に産生される毒素によって発症すると考えられています。

治療としては補液療法を中心とした対症療法が基本で、ニューキノロン剤などの抗菌薬の使用は排菌期間の短縮には有効とされています。

今回のケースでは、以下のような問題点がありました。
ウェルシュ菌はカレーに使った肉に付着していたと考えられます。通常、肉に付いた程度の菌で発症に至ることはありません。ですが、あの作り置きという行為が問題でした。

実はウェルシュ菌には、厄介な特徴があります。
その1つが、100度の熱でも完全には死滅しないということです。沸騰させても、生き延びる菌がいます。鍋の中にも、まだ少数のウェルシュ菌がしぶとく残っていた、というわけです。

そして2つ目の特徴が、43度から47度の間の酸素のない環境で急激に増殖するということです。

その最も危険な環境が、いったん煮込んで放置したカレーの中でした。酸素に触れない部分が多く、しかも冷えるスピードが遅い大きな寸胴鍋の底で、ウェルシュ菌増殖し続けました。

放置した寸胴鍋の中で、ウェルシュ菌は一晩かけて爆発的に増殖。しかも温めても、こげつかないよう、十分沸騰させませんでした。そのため膨大なウェルシュ菌は、ほとんど殺菌されないまま体内へ入ってしまった、というわけです。

冷やすときは一気に冷やしたり、温め直すときはしっかりと熱するということが重要なようです。ぜひとも食中毒を起こさないよう、しっかりと注意なさってください。

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