肺膿瘍の治療のため5月から休養していたお笑いコンビ「よゐこ」の有野晋哉(36)が2日、フジテレビ系バラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!」の収録で仕事復帰した。

有野は「完全快気」というタイトルで同日ブログを更新。「僕には帰れる所があるんだ。こんなに嬉しいことはない」と喜びをつづっている。
(肺膿瘍で休養の「よゐこ」有野、めちゃイケで復帰)


肺膿瘍は、化膿性病原菌の感染によって起こります。まず、末梢気道を閉塞する菌塊・異物・腫瘍などにより、限局性の化膿性炎症が生じます。

炎症により浸潤した好中球が破壊され、リソソーム酵素が放出されます。そのため肺実質が融解・壊死に陥り、空洞を形成することになります。その空洞内に膿が貯留している状態が肺膿瘍です。

多くは肺炎で発症し、組織破壊が強く、肺炎あるいは肺化膿症の病変の中に空洞を作り、その中に膿汁がたまった状態(ニボー)になります。

口腔内に常在する、嫌気性菌や好気性菌を吸引ないし誤嚥することによって発症するといわれています。そのため、誤嚥を起こしやすい高齢者、大酒家、脳血管障害、糖尿病、歯周病を有する人に多いと考えられています。つまり、基礎疾患として嚥下障害や歯周病を有する高齢の男性に多い疾患であるといわれています。

症状としては肺炎と似たものが現れますが、肺炎の場合よりも激しいことが多いです。悪寒を伴う発熱や咳嗽、膿性痰(蓄痰の静置により、粘液層・漿液層・膿性成分層の3層構造を呈する)などが現れます。鉄錆色の痰、悪臭痰に注意し、腐敗臭を呈する場合には嫌気性菌の関与を考えます。

ほかにも、胸痛や呼吸困難が生じることがあり、その場合は胸膜炎・膿胸の合併や膿瘍の穿破による膿気胸の発生を考えます。喀血があった場合、気管支動脈の損傷により生じますが、致死的な合併症となることもあります。また、頭痛,嘔吐などの神経症状があった場合、遠隔症状として脳膿瘍を伴うことがあり、脳圧亢進症状を呈しているのではないか、と考えられます。

必要な治療としては、以下のようなものがあります。
治療としては、化学療法が主体となります。肺膿瘍は初期から強力な抗菌化学療法が必要となり、起炎菌は嫌気性菌と好気性菌の複数菌感染が多いので、両者に有効な薬剤の組み合わせが必要となります。

嫌気性菌の関与が疑われる場合には、ペニシリンG(PCG)、クリンダマイシン(CLDM)などが第一選択薬となりますが、好気性菌との混合感染も多いので、広域ペニシリン系やセフェム系、カルバペネム系薬物も用いられます。

黄色ブドウ球菌では第一、第二世代セフェム薬に対して感受性を有しますが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の場合にはバンコマイシン(VCM)、アルベカシン(ABK)、テイコプラニン(TEIC)などを用います。グラム陰性桿菌の場合には、第二、第三、ならびに第四世代セフェム薬やカルバペネム薬を使用します。

こうした化学療法に加え、気管支鏡による吸引や体位ドレナージによって排膿を促すことも重要です。また、膿瘍壁の気管支動脈破綻によって喀血を繰り返す場合や、肺癌合併例は、手術の適応となります。膿胸合併例は胸腔ドレーンを留置し、胸腔洗浄を繰り返し、抗菌薬の胸腔内注入を行うこともあります。


幸い、有野さんの場合は早期に退院でき、おそらく化学療法のみで治癒できたのではないか、と思われます。これからも元気でご活躍されることを願っております。

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