オランダ・ハーレム国際大会を視察した、北京五輪野球の日本代表・星野仙一監督(61)やコーチ陣が12日、成田空港に帰国。東京都内の病院に直行し、視察中に負傷した脇腹の診察を受けた結果「右肋骨第5、6、7番の骨折」で、全治3週間と診断された。入院はせず、しばらく安静と加療が必要だが「3週間かからないで治す」と気合をみなぎらせた。
 
脇腹の痛みを考慮してトレーナー姿で搭乗した星野監督は、オランダから約11時間のフライトを経て帰国。「面倒くさいわ」と話しながらも、都内の病院に直行した。レントゲンなどの検査を受け「右肋骨第5、6、7番の骨折」と診断されたが、ある程度予想していた結果に動揺はなかった。

帰国後、体を心配した報道陣に笑顔を見せながら「大丈夫じゃなかったら、こうやって降りてこん。そんな柔な体じゃないわ」ときっぱり。さらに診察後も、広報を通じて「3週間かからずに治す」と力強くコメントした。入院の必要はなく、しばらく安静と加療を続ける。

9日のキューバ-日本戦中に、球場で転倒して手すりに激突。アムステルダムで「打撲」と診断されたが、「折れとるかも」と覚悟していた。
(星野監督骨折「3週間かからず治す」)


肋骨骨折では、自発痛(押したりしなくても痛い)があり、深呼吸や咳、体を動かした時に増強します。ほかにも、局所の腫脹(腫れ)や皮下血腫などがみられます。

限局性の圧痛や介達痛(胸郭を両側胸部、あるいは上方から胸骨を圧迫すると骨折部に痛みがある)などがみられます。他にも、重症になると疼痛による呼吸障害、気胸、胸水貯留(数日経ってから)を認めることがあります。

肋骨骨折の原因は、若年から壮年における転落、労災事故や交通外傷によるものや高齢者における転倒などの比較的軽微な外傷によるものに分けられます。高齢化にともない、最近の傾向としては、骨粗鬆症に伴う脆弱性骨折の割合が増加していると考えられます。

12対の肋骨は、鳥かごのように組み合わさり、胸郭(胸骨、肋骨、胸椎で構成される胸部のかご状の骨格)を形成しています。その中には臓器が入っており、肋骨骨折を起こすと、骨折に起因する症状だけでなく、中の臓器の損傷や、呼吸障害などを引き起こすことがあります。

肺、肋間動静脈、肋間神経損傷だけではなく、上部肋骨骨折(とくに第1、第2肋骨骨折)では腕神経叢や鎖骨下神経損傷、鎖骨下動脈、大血管損傷を、下部肋骨骨折(第8肋骨以下の骨折)では肝臓、脾臓、腎臓の損傷を考慮する必要があります。

そのため、肋骨骨折は骨折そのものだけでなく、臓器損傷や呼吸障害の程度の評価も非常に重要です。肋骨骨折は通常、星野監督のように第4〜8肋骨の外側骨折が最も多いといわれています。

治療としては、以下のようなものがあります。
治療としては、通常、重要臓器損傷がない場合には保存的治療を行います。疼痛に対して、湿布、NSAID投与(消炎・鎮痛薬)や神経ブロックなどを行います。痛みは、1週間を過ぎると楽になり、3週間を過ぎるとかなり改善してくるようです。

胸部を動かさないように、胸壁圧迫帯(バストバンド)固定は、下部肋骨骨折では除痛に有効であるといわれています。ですが、呼吸運動抑制があって息苦しさを感じることもあります。臓器損傷のない肋骨骨折では、バストバンドを装着するのみで、2〜3週で疼痛が軽快しバンドをはずすことができることが多いようです。

もちろん、内臓損傷を合併している場合では入院して、単純X線、CT検査、血液生化学検査、動脈血ガス分析検査などを行う必要があります。多発性肋骨骨折で痛みが強く、胸郭運動が制限される場合は、肺炎や無気肺を併発するリスクがあります。

肋骨骨折のみで手術療法が適応になることは稀ですが、手術は、胸壁の安定化と止血を目的として、セラミックピンやプレート、キルシュナー鋼線などによる骨接合術が行われることもあります。骨折の転位が大きかったり、骨折端で臓器損傷を起こしている際、損傷臓器から出血が持続している場合では手術が必要になります。

上記のケースでは骨折のみを認めているのではないか、と思われます。お忙しいとは思いますが、あまり無理をなさらないでいただきたいと思われます。

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