以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

美容に関するブログを始め、毎日4〜5時間はパソコンに向かっていた主婦のK・Aさん。ある日、夫から“おでこのしわ”が深くなっていることを指摘され、以来しわが隠れるように様々な努力をしていました。

そんな中、20年ぶりの高校の同窓会を知らせる葉書を受け取ったK・Aさん。学校一の美人と噂された輝かしい青春時代が蘇りますが、その数日後、ひどい肩こりや頭痛を感じるようになりました。その後も更なる異変が続き、具体的には以下のような症状が現れてきました。
1)おでこのしわ
20年前と比べて、額には深いしわがみられるようになっていました。
2)肩こり
額のしわがみられ、さらには肩こり・頭痛が現れるようになったのは、パソコンの前に長時間座って作業していることが原因と考え、その時間を次第に減らすようにしていました。
3)頭痛
偏頭痛のようにズキズキとした頭の痛みが現れるようになりました。
4)視野が狭くなる
自動車を運転していたとき、車線変更をしたところ、いきなりクラクションを鳴らされました。しっかりと確認したつもりでしたが、隣の車線では他の車がすぐ横を走っていました。その車に、視野が狭くなったため、気づきませんでした。
5)眠たそうな目
同窓会に出席し、若い頃の自分の写真を目にすることになりました。すると、現在の自分は瞼が垂れ下がり、眠たそうな目をしていることに否が応でも気づかされました。
6)まぶたが重く開けづらい
同窓会での一件もあり、瞼が下がっていることを気にするようになりました。すると、重く開けづらいことに気づきました。そのことを夫に相談すると、「病院で相談してはどうか」と言われました。

こうした経緯もあり、眼科を訪れたK・Aさん。すると「形成外科で相談するほうが良いでしょう」と言われました。K・Aさんの病名は、以下のようなものでした。
K・Aさんの病名は、「眼瞼下垂」でした。
眼瞼下垂とは、上眼瞼(上まぶた)が下垂し、眼裂間(まぶたの間)が狭くなることを指します。簡単に言ってしまえば、ある事が原因でまぶたをあげる力が弱まり、眼が開きにくくなる疾患です。

通常、上眼瞼は角膜の上方を約1.5 mmを覆っていますが、眼瞼下垂があるとそれ以上角膜を覆い、瞳孔まで覆うと視界に影響を及ぼします。眼瞼下垂の診断基準の一つは目の瞳孔から上眼瞼までの距離が3.5 mm未満となっています。

目を開けている状態でいられるのは、眼球の奥にある筋肉は、まぶたの内側にある腱膜と呼ばれる筋を引っぱりあげているからです。ところが、腱膜が伸びてしまい、まぶたを上げた状態を維持できなくなるのが眼瞼下垂です。このように、眼瞼下垂は上眼瞼挙筋や瞼板筋の筋力低下が原因であり、眼瞼の挙上運動や位置を制御する大脳皮質から筋までの運動系の、いずれのレベルの障害でも起こりえます。

病因としては、先天性(特発性)と症候性があります。
先天性の眼瞼下垂では、上眼瞼挙筋の先天的欠陥、稀に筋無力症があります。
症候性では、上眼瞼挙筋を司る動眼神経障害による下垂、交感神経の病変によるホルネル徴候の一部分症候としての眼瞼下垂、また筋疾患(重症筋無力症、筋ジストロフィー、ミトコンドリア病など)により、変動性または進行性の左右非対称性の眼瞼下垂を起こすこともあります。

加齢によっても、眼瞼下垂が起こることもあります。上眼瞼内の瞼板筋を司る自律神経の加齢変化により、両側性の下垂が起こります(腱膜性眼瞼下垂は、コンタクトレンズ長期使用でも起こりうる)。ただ、K・Aさんの場合、原因は加齢だけではありませんでした。

その原因の一つが、長時間の作業による目の酷使です。必要以上の負担が、腱膜の疲労を進め、まぶたをあげる力を弱めてしまいました。しかし、事はまぶただけの問題では終わりません。

眼瞼下垂の患者さんでは、下垂の補正のために、前頭筋を過収縮させ前頭部にしわを深くよせます。まず、衰えてしまった腱膜の代わりに、おでこの筋肉を使ってまぶたをあげていたため、あの深いしわができ、今度は頭全体を覆っている筋肉の疲労から頭痛、さらには肩こりまでも引き起こしたと考えられます。これらの症状の原因は、まぶたをあげる力に関係していることが多いです。

このようなケースでは、手術以外に根本的な解決方法はありません。手術方法としては、眼瞼挙筋短縮術、挙筋機能のほとんどないものでは眼瞼吊り上げ術を行います。

ただ、眼瞼下垂の手術によって、睡眠時の閉瞼不全が起きる可能性や、上方視(上を見る)では十分に眼瞼が挙上しないことなども起こりえます。お困りの方は、こうしたリスクも考慮に入れた上で、手術を受けるかどうか考えることが望まれます。

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