2008年07月26日放送の『加藤浩次の吠え魂』で、マンゴーによる接触皮膚炎になったことを告白していた。

最初は口唇ヘルペスかと思って、様子を見ていた。だが、日を追ってブツブツ(小水疱や丘疹)が酷くなり、薬局に薬(アクチビア)を買って塗ったのだという。だが、次第に口の周囲、頬、耳まで痒くなり(口唇ヘルペスでは、痒みより痛みの方が強い)、小水疱や丘疹(ブツブツ)が出現し出したのだという。

「これは口唇ヘルペスではないのでは?」と思って、皮膚科に行ったところ、予想通り違っていた。医師は帯状疱疹などを考慮した上で、「最近、マンゴーを食べましたか?」と訊いてきたのだという。

実際、加藤はその1〜2日前にマンゴーを食べていた。それまではマンゴーを食べても何ともなかったのだが、急に接触皮膚炎を起こすようになったのだという。

マンゴーは、うるし科の植物でカブレの原因にもなる。結果、痒みの強いブツブツが出現し、接触皮膚炎が出現するようになったと考えられる。実は、以前にもマンゴーを食べたとき、加藤は「少し舌がピリっとしていた」と語っていた。

もう食べられなくなるのか、と加藤は意気消沈している様子だった。


接触皮膚炎とは、外来性の物質(主に化学物質ですが、広い意味では蛋白も含みます)が皮膚に接触して生じる皮膚の炎症です。皮膚疾患のうち最も頻度の高いものの1つです。発症機序により、刺激性(非アレルギー性)とアレルギー性に分かれます。

原因となるのは、うるしや桜草、菊などの植物、ニッケル、クロムなどの金属などです。最近ではスギ花粉などの花粉抗原も原因となることが明らかになっています。

特に、ウルシ科植物との接触によりアレルギー性接触皮膚炎を、うるしかぶれといいます。抗原物質はウルシオールであり、マンゴーにもこの接触皮膚炎を起こす物質が含まれています。他にも、イチョウの種皮にも含まれています。

アレルギー性接触皮膚炎では痒みの強い紅斑、浮腫、漿液性丘疹、水疱が出現し、慢性的に起こっていると苔癬化(皮膚が肥厚・硬化し、皮溝や皮丘がはっきり形成された状態)することもあります。

診断では、皮膚症状と発症部位、詳しい問診より原因と考えられる外来因子の存在が重要となります。ただ、患者さんが原因物質への接触時期を確実に記憶していることは少ないため、問診の段階で発症状況(時期、部位、症状など)から可能性のあるものを順次取り上げることが必要となります。

アレルギー接触皮膚炎では、まずアレルゲンが表皮細胞の蛋白と結合し、ランゲルハンス細胞によって抗原提示され、所属リンパ節で感作リンパ球がつくられます。つまり、まずはアレルギーとなるものが体に触れることで、「次にコイツがきたら攻撃しよう」と待ちかまえるリンパ球が作られるようになるわけです。

再びアレルゲンが皮膚に接触すると、感作リンパ球と反応し、炎症のメディエーターが放出されて接触後1〜2日たって皮疹を生じることとなります。少しタイムラグがあるため、原因を探っていく、ということが診断に必要となるわけです。

発症部位似関しても、アレルゲンによってはその接触部位が一定であるため、それぞれに応じた特徴的分布を示すことがあります。加藤さんの場合は、マンゴーを食べたときに果汁が飛んで、口の周りや頬、耳の辺りまで付着したと考えられます。

治療としては、以下のようなものがあります。
アレルギー接触皮膚炎の治療は、当然のことながら原因となるアレルゲン、接触刺激因子を見つけ出し除去することが必要になります。根本的な治療は、現時点では困難となります。そのため、的確な診断と対症療法、生活指導が必要になります。

対症療法としては、ステロイド薬の外用を主体として、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の投与が行われることもあります。

急性期病変に対しては、ステロイド軟膏が使用されます。痒みをとることも接触皮膚炎の進展を予防することから重要であり、抗ヒスタミン剤や抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー剤などを適宜使用します。ただ、患者さんにより眠気が強く現れることがあり、車の運転やなどでは注意が必要です。

ステロイドホルモンを内服することもあり、ウルシカブレなど原因が明らかで、かつ重篤な場合に限って短期間使用することもあります。

同様の症状が現れた方は、皮膚科で相談などされることが重要であると思われます。アレルゲンの特定には、パッチテストなどが用いられ、突き止められる可能性もあります。

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