お笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜さんは、視力回復手術「レーシック」を受けたと2008年7月25日のブログに書いている。

「私、昨日、レーシックを受けてきました。神戸クリニックさんで受けてきました」レーシックは、目の表面の角膜にレーザーを照射し、角膜の曲率を変えることで視力を矯正する。以前、つんく♂さんも受けたとブログに書いていた。

「あっというまの手術で、今は1.5くらい見えてるの。まだ1日しか経ってないから、完全じゃないけど、0.04が1.5だよすげくない?!」と、感動ものだ。

ところが、コメント欄ではこんな反応が書かれている。
「じゃあもう眼鏡かけないんですね・・なんか寂しいです。角野卓造じゃねーよってセリフはもう聞けませんか?」
「春菜ちゃんはこれから眼鏡のレンズ入れないでテレビ出るんですか?」近藤さんといえばメガネをかけている姿が俳優の角野卓造さんにそっくりだと、バラエティ番組で突っ込まれている。こうなれば、伊達メガネでもかけるしかない?
(「0.04が1.5」 近藤春菜視力回復手術成功!)


レーシック手術のレーシック(LASIK)とは、laser in situ keratomileusisの頭文字をとったもので、日本語に訳せば「レーザー角膜切削形成術」となります。眼の屈折異常を矯正する手術の一つで、レーシック手術は現在の主流となっています。

そもそも近視とは、目に入ってきた平行光線が、網膜の前方に像を結ぶような屈折状態を指します。正視の人はしっかりと網膜の所で像を結ぶのでぼやけたりしないのですが、近視では網膜の前の方で結像してしまうので、ぼやけてしまうわけです。

眼軸が長すぎるか、角膜や水晶体の屈折力が強いためにこうしたことが起こってしまい、前者を軸性近視、後者を屈折性近視といいます。通常みられる近視は、軸性近視です。

そのため、しっかりと網膜の所で結像できるように、角膜を削って矯正するのがレーシック手術です。

具体的には、マイクロケラトームとよばれるカンナのような機械で角膜の表面を薄く削り、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくります。そこで露出した角膜の実質部分にエキシマレーザーを照射し、角膜の一部を蒸散させます。その後フラップを元の位置に戻し、フラップが自然に接着するまで(約2〜3分)待ちます。

角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、近視が矯正されます。また、検眼のデータをもとにレーザー照射を調節することで乱視も矯正可能とのことです。

ただ、レーシックを受ける上では以下のような注意点があります。
まず、手術の適応ですが、角膜厚が足りなかったり(450μm以下の角膜厚)、小角膜など眼自体に問題があったり、合併症(白内障・緑内障・網膜剥離・結膜炎など)がある場合などでは、行えない人がいます。

また、全身疾患との関連で、膠原病、自己免疫疾患の患者さんでは創傷治癒に障害をきたす可能性もあり、ドライアイの合併によりレーシック治療が行えない場合があります。

手術の合併症に関しては、低いとはいえ、他の手術同様に失敗や、術後合併症(感染症など)のリスクがゼロではありません。レーシック手術の副作用と思われる角膜拡張症が1%とはいえ、認められています(スペイン、ミゲル・エルナンデス大学およびトルコ、アンカラ大学医学部の研究グループによる研究)。

「角膜拡張症(keratectasia)」とは、潰瘍や炎症、変性、屈折矯正手術などの原因で菲薄化した角膜が、眼圧の影響によって前方に膨らんだ状態です。こうなると、再び角膜のカーブは強くなり近視化するばかりか、メガネでは矯正できないくらいの強い乱視を引き起こす可能性があります。これは、強い近視を矯正したり、円錐角膜などを見逃して近視、乱視を矯正した場合に起こるといわれています。

一過性にハロ・グレアが起こることもあります。これは、夜間や蛍光灯の下でまぶしく感じたり、光の周りがぼやけて見えたりする症状です。手術で修正した角膜の内側と外側で光の焦点に違いの出てしまうことが原因といわれています。他にも、一時的にドライアイになることもあります。

さらに、レーシック治療では近視・乱視を矯正することは可能ですが、老眼は治療できません。既に老眼が始まっている方がレーシック治療を受ると、手元の細かいものなどを見る際には老眼鏡が必要となってきます(術前は、新聞を近づけることで裸眼で読むことができた状態でも、術後には老眼鏡が必要になる、など)。

眼鏡やコンタクトが不要となれば、非常に便利な手術と思われますが、その一方で合併症やリスクの問題もあります。しっかりと医師と相談した上で、受けられることが望まれます。

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