以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。

2004年8月10日イギリス・リバプール。4歳のブラッドリー・デイビスはシングルマザーの母親と二人暮らし。いつも一人で遊ぶのが好きなブラッドリーは大好きなママを悩ませることがあった。それはママの姿が少しでも見えなくなるとすぐに泣き出すこと。そんな2人に生死を分ける事件が起きる。

ブラッドリーはこの日もいつものようにリビングでひとり遊んでいた。この日パートタイムの仕事が休みだったママは2階から1階に降りる途中、突然めまいに襲われ、階段を降りきったところで廊下に倒れてしまった。実はこの時、ママは一刻を争う状態だったのだ。

しばらくしてブラッドリーはいつものようにママが恋しくなり呼んでみるが、返事がない。やがてブラッドリーは廊下で倒れているママを発見する。駆け寄ってママを呼んでみるが返事がない。幼い子供でも分かる異様な危機感にブラッドリーは泣き出してしまった。必死に呼びかけたその時、ママの口から「ブラッド…」とかすかに息子を呼ぶ声が。その声を聞いたブラッドリーはキッチンへ。そこでなぜかミルクとビスケットを手に取ると、再びママのもとへ。ブラッドリーは反応のないママにビスケットを食べさせようと必死だった。実はこの行動は全く間違っていなかった。ママは1型糖尿病だったのだ。

通常、人はすい臓からインスリンを分泌しそれがブドウ糖と結びつきエネルギーとなっているのだが、1型糖尿病はすい臓がインスリンを分泌しなくなるため、血液中のブドウ糖をエネルギーに変えることができない。そのためジョアンは1日に4回のインスリン注射を打ち血液中のブドウ糖をエネルギーに変えていた。

しかし、このインスリンを打つことで少なくなりすぎるため、強い発汗やめまいなどの発作を起こす場合がある。そんな症状を感じたら、すぐに応急処置としてビスケットや角砂糖、ジュースなど糖を多く含んだ食品をとらなければならない。補給できなければ脳がエネルギー不足となり最悪命の危険も。

そのため日ごろからママはビスケットで補給していたがその様子をブラッドリーは良く覚えていたのだ。ママを助けるためビスケットをミルクに浸し食べやすいようにして、ママの口へ。ママはそのビスケットを反射的に口にした。しかしこん睡状態でわずかな量を口にしただけでは回復しなかった。

どうにも出来ないかと思ったその時ブラッドリーは何かを再び思い出した。そしてブラッドリーは電話に一直線。なんと救急車を呼んだのだ!ママは以前から、「ママが動けなくなったら救急車を呼んでね」と、ブラッドリーに電話の掛け方を教えていたのだ。こうして救急車が到着し、ママは助かった。

そんなブラッドリー君も今は7歳。そのときの活躍で救急隊から表彰を受けた盾は彼の宝物。そのとき救急隊員の活躍をみて、ブラッドリー君の将来の夢は救急隊員になることだという。


糖尿病とは、インスリンの絶対的もしくは相対的不足により引き起こされる、持続的な高血糖状態を指します。自己免疫的機序により発症する1型糖尿病と、それ以外の原因による2型糖尿病に大別できます。

1型糖尿病では、主として自己免疫を基礎とした膵臓β細胞(インスリン分泌を行っている)の破壊が起こって発症すると言われています。そのため、絶対的にインスリンが不足するため、糖尿病が起こると考えられます。そのため、インスリンの分泌能の低下や抵抗性が問題となっている2型の糖尿病とは異なり(もちろん、2型の糖尿病であっても、インスリン分泌能低下が進めば、インスリン注射が必要になります)、インスリンの自己注射が必要になるわけです。

1型糖尿病は、比較的若年に発症するという特徴があります。ただ、典型的には若年者に急激に発症するとされてきてはいましたが、この型の糖尿病はあらゆる年齢層に起こりえます。

一方、2型糖尿病では、中年以降に徐々に発症し、初診時あるいは既往に肥満を認めることが多いです。生活習慣が大きく関わっており、慢性的な高血糖状態やインスリン抵抗性(インスリンが多く分泌されていても、効かない状態)により、相対的なインスリン不足状態を指します(分泌自体はあっても、作用が追いつかない状態)。その後、インスリン分泌不全も起こってくる可能性があります。

1型糖尿病では、インスリンが絶対的不足しているため、インスリン療法が基本となります。正常のインスリン分泌は、持続的に一定量分泌されている基礎分泌と、食事などの際に分泌される追加分泌からなります。この健常人にみられる血中インスリン分泌パターンを各種のインスリン製剤を用いて、末梢血中で再現するのがインスリン療法です。

インスリン製剤は、その作用の仕方により
1)超速効型インスリン(1時間でピークに達し作用持続は3〜4時間)
2)速効型(1〜3時間でピークに達し、作用持続は6〜8時間)
3)中間型(6〜12時間でピークに達し,20〜24時間持続)
4)持続型(8〜24時間でピークに達し,24〜28時間持続)
5)混合型(速効型と中間型を各種の割合で混ぜたもの)

に分けられます。

1型糖尿病の患者さんでは、基礎分泌を持続型あるいは中間型インスリンで補い、追加分泌を毎食前の速効型インスリンで補うといった強化インスリン療法などを行います。ほかにも、超速効型インスリンと持続型インスリンの組み合わせにより、よいコントロールが得られる場合も多いです。

ただ、こうした治療により低血糖症を引き起こす可能性もあります。低血糖症とは、以下のようなものを指します。
そもそも、ブドウ糖は脳・中枢神経,赤血球をはじめとして全身細胞のエネルギー源として必須の物質となっています。ですから、たとえ何も食べていない状態でも、全身・ブドウ糖利用率と肝・ブドウ糖放出率が一致し、正常血糖値に維持されてバランスが保たれています。

このバランスは、主としてインスリンとインスリン拮抗ホルモンのバランスにより保たれています。上記のケースでは、インスリン過剰状態になっており、血糖値が下がってしまったと考えられます。

低血糖状態では、仝魎郷牲仂評と中枢神経症状とが起こる可能性があります。交感神経症状は、低血糖に反応したカテコラミン分泌による症状(カテコラミン分泌により血糖値を上げようとする)で、頻脈、動悸、発汗、振戦、不安感などが起こります。

さらに症状が進むと、中枢神経症状が起こり、判断力や集中力低下、意識障害、けいれん、昏睡などが生じてきます。上記のケースでは、意識レベルの低下が見られ、非常に危険な状態にあったと考えられます。

治療としては、意識がある際にはブドウ糖経口摂取(10g)を行い、意識がない際には静脈内ブドウ糖注射(50%ブドウ糖)が必須となります。上記のケースでは、ミルクを浸したビスケットを口にしていたようですが、それだけでは十分に糖分を補給できなかったようです。

4歳の男の子が、救急車を呼ぶなどしっかりと対応できたというのは、やはりスゴイことなのではないか、と思われます。その陰には、日頃からしっかりと緊急時の対応などを教えておいたことがあり、それが功を奏したのではないか、と思います。

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