「前は舞台で死ねれば本望と思っていたが、やっぱり健康でなければ仕事もできない」-。強い信念が早期復帰を実現させた。3月21日の衝撃の「悪性リンパ腫」公表から133日。この日も放射線治療を受けた愛華は、大病を患っていたとは感じさせない元気な姿を見せた。
 
2月中旬に首の周辺にゴルフボール大のしこりを発見した。さすがに「最初に病名を聞いたときには絶望感もありました」と告白。しかし「ほかの人がどんなにダメと言っても、私だけは絶対治る」と言い聞かせ、病に立ち向かった。
 
治療については「体力的にも精神的にもハードで、これが永遠に続くようなら嫌だった」とも振り返ったが、「勝つために食事だけはどんなに戻しても、吐いても食べた」と決してくじけることはなかった。
 
現在は以前よりも体重は少し増えたが、「自分は健康だと過信していた。おごっていた」と反省。多くの人々の励ましが支えになり、特に「がん治療を経験されている方からのアドバイスで勇気をもらった」と感謝した。
 
経過は良好で6月には医師から今回の舞台復帰の許可が出た。7月11日には通しけいこに初参加し、帰宅後は鏡の前で「私、頑張ってるよね」と涙を流したという。今後は4カ月に1回検査を受け、現在の状態で5年経過して初めて「完治」となる。
(愛華みれ「悪性リンパ腫」から生還)


悪性リンパ腫とは、リンパ節や全身のリンパ組織に存在するリンパ球系細胞の悪性腫瘍です。病理組織学的所見から、Hodgkin(ホジキン)病と非Hodgkinリンパ腫とに大別されます。

国内の悪性リンパ腫の年間死亡率は、人口10万人に対して約4人であり、ホジキン病と非ホジキンリンパ腫の発症比率は、約 1:10 であり非ホジキンリンパ腫の方が圧倒的に多いです。一部のリンパ腫では、ヒトT細胞白血病ウイルス儀(HTLV-)、EBウイルス(EBV)感染や慢性炎症が発症に関与しますが、ほとんどの病因は不明です。

非ホジキンリンパ腫の中では、以下のように分類されます。
一般的に低悪性度のものには、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫などが該当し、中悪性度のものにはびまん性大細胞性B細胞性リンパ腫や未分化大細胞リンパ腫など、高悪性度のものにはリンパ芽球性リンパ腫、バーキットリンパ腫などが該当します。

症状としては、首、腋の下、足のつけ根などのリンパ節の多い部位に無痛性のリンパ節腫脹がみられます(頸部が多いようです)。発熱、盗汗(ひどい寝汗)、体重減少がみられることがあり、この3つは病期分類でB症状と呼ばれ、重要視されています。

全身掻痒感などがみられることもあります。場合によっては、腫瘍による圧迫や浸潤による症状、部位により浮腫、嚥下障害、呼吸困難、食欲不振などがみられることもあります。

身体診察としては、全身のリンパ節の触診が行われます。腫大したリンパ節は無痛性で、弾性硬(いわゆるゴム様)であり、表面平滑な状態です。愛華さんの場合、頸部リンパ節腫脹がみられていたようです。

通常、癒着はなく可動性がありますが、腫瘍細胞がリンパ節の被膜を越えると周囲と癒着します。また、急速に増大する場合は、被膜の伸展痛を生じることがあります。

診断には、リンパ節(もしくは節外病変)の生検が必須です(穿刺細胞診は有用でない)。こうした病理組織像に加え、フローサイトメトリー法や免疫組織染色による細胞表面形質解析や染色体分析も行い、遺伝子検査を行うこともあります。

リンパ腫であれば最初に「ホジキン病と非ホジキンリンパ腫」の診断を行います。非ホジキンリンパ腫の場合、「B細胞性またはT/NK細胞性」および「リンパ節に原発したものか、リンパ節以外の場所から発生したものか」を判定します。

必要に応じて、免疫組織学的マーカーにより細胞起源(T・B)や分化レベルを検索し、染色体診断や遺伝子診断によりクローン性増殖と生物学的悪性度を評価します。

進行病期の診断には、腹部エコー、CT、67Gaシンチグラフィーなどの画像診断、骨髄穿刺または生検、内視鏡検査により病変の広がりを知ることができます。MRIは中枢神経系の病変や眼窩、鼻、副鼻腔などに有用です。胸・腹水を認める場合は、細胞診を行います。

治療としては、以下のようなものがあります。
病期(ステージ)分類は、身体診察やX線検査、エコー検査、CT検査、骨髄穿刺(生検)に加え、必要に応じてガリウムシンチグラフィー、髄液検査などの所見をもとに決定します。ステージは以下の通りです。
・鬼:単一リンパ節領域または限局した単一節外病変
・挟:横隔膜の片側のみに病変
・郡:横隔膜の上下に及ぶ病変
・鹸:リンパ組織以外の臓器にびまん性侵襲がある

B症状があればBを、なければAを付記する。

こうしたステージにより、治療方針が決定されます。

標準的な治療法の選択肢としては、
1)放射線療法
3)化学療法(抗がん剤)
3)生物学的製剤:抗CD20抗体(成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫に効果的)
4)経過観察
5)造血幹細胞移植:自家移植、同種移植

などがあります。標準療法としては、化学療法や放射線療法が中心です。ホジキン病の化学療法は4剤併用のABVD(アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン)療法が用いられます。

非ホジキンリンパ腫では、CHOP(シクロホスファミド、アドリアマイシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)療法が標準となっています。

また、最近ではCD20陽性の成熟B細胞の性格を示す悪性リンパ腫には、生物学的製剤であるリツキサンが用いられることもあります。進行期濾胞性リンパ腫では、CHOP療法とRituximab(リツキサンのことで、マウス-ヒトキメラ型抗CD20モノクローナル抗体)の併用療法が標準療法となる可能性もあります。

また、低悪性度リンパ腫の場合、限局期にある節性リンパ腫は放射線療法で治癒可能となることも多いようです。

愛華さんの場合も、放射線治療および化学療法を行ったようです。副作用もみられたようですが、治療を終えて復帰なさったようです。あまり無理はなさらず、これからもご活躍されることを願っております。

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