以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。
40歳にして待望の赤ちゃんを授かったK・Sさん(40)。20年来の便秘に悩まされてきた彼女ですが、最近は特にひどくなったように感じ、トイレに長居することもしばしばでした。
そんなある日、排泄後トイレットペーパーに血が付いていることに気付いたK・Sさん。ちょっと切れたのかと特に気にしていませんでしたが、その後も気になる異変が続きました。具体的には、以下のような症状がみられました。
こうした経緯によって、ようやく受診することになりました。K・Sさんに告げられた病名は、「嵌頓痔核」と呼ばれるものでした。
これは、以下のようなものを指します。
40歳にして待望の赤ちゃんを授かったK・Sさん(40)。20年来の便秘に悩まされてきた彼女ですが、最近は特にひどくなったように感じ、トイレに長居することもしばしばでした。
そんなある日、排泄後トイレットペーパーに血が付いていることに気付いたK・Sさん。ちょっと切れたのかと特に気にしていませんでしたが、その後も気になる異変が続きました。具体的には、以下のような症状がみられました。
1)肛門から出血
拭き取ったときに出血したことに気づきました。その時は、少し切れてしまったのか、と思って特に気にしていませんでした。
2)肛門からイボが飛び出す
強く息んでいたとき、肛門から何か飛び出したような感覚がありました。恐る恐る触れてみると、それはイボのようなもので、押し込んでみると元に戻りました。
3)頻繁にイボが飛び出す
イボが飛び出すことが頻繁になり、その度に押し込んで戻していました。肛門科に行くことを考えましたが、恥ずかしさもあって受診することができませんでした。
4)肛門がヒリヒリ痛む
頻繁にイボが飛び出すようになった頃、今度は肛門がヒリヒリと痛むようになってしまいました。薬局で薬を買おうと思いましたが、それも恥ずかしいと思って買うこともできませんでした。
5)イボが腫れあがる
6)イボが戻らない
ある日、散歩をしていたときのこと。突然に痛みがあったので自宅のトイレに駆け込みました。思った通り、イボが飛び出していました。そこで、元に戻そうと思いましたが、いつもとは異なり、戻ってくれません。あまりの痛みに躊躇していた肛門科を訪れることになりました。
こうした経緯によって、ようやく受診することになりました。K・Sさんに告げられた病名は、「嵌頓痔核」と呼ばれるものでした。
これは、以下のようなものを指します。
嵌頓痔核とは、内痔核もしくは外痔核が脱肛状態となり、脱出したまま括約筋で絞扼されて元に戻らなくなり、多くの場合は全周にわたってあるいは部分的に静脈内に血流の障害を生じたものを指します。簡単に言えば、痔核が肛門の外に飛び出したまま急に腫れあがり、戻らなくなってしまった状態を指します。
強度の腫脹と疼痛を伴い、放置すれば壊死状態に陥ってしまいます。患者さんの多くは肛門部の疼痛や腫脹、排便困難を訴えて来院し、歩行はゆっくりで座ることは困難となります。K・Sさんのように、肛門部に脱出したままの痔核を確認することができます。
そもそも人間の肛門周囲には、静脈叢(細かい静脈が集まって出来たクッションのようなもの)があり、肛門を閉じる手助けをしています。このクッション部分が何らかの原因で膨張し、腫れ上がってしまうと、痔核(イボ痔)となってしまいます。
痔核は、肛門管に分布する上・下直腸静脈叢のうっ血によって起こります。その原因としては、排便時の怒責や便秘や妊娠などの腹圧などが挙げられます。便秘などでの習慣的ないきみで肛門の細い血管に圧力がかかり、血流が悪化してうっ血し、腫れ上がってしまいます。
さらに、妊娠と出産を経験すると痔核を生じやすくなります。妊娠すると、大きくなった子宮が、下半身の血管を圧迫。血流を悪くさせ、肛門の血管もやはり、うっ血させてしまいます。そして、出産時の長時間のいきみが、さらなる大きな圧力をかけ続け、クッション部分のうっ血を増長させてしまいました。
K・Sさんの場合、元々便秘で、いきみ続ける生活から、彼女の肛門内には、軽い痔核が発生していたと考えられます。それが妊娠と出産をきっかけに悪化し、イボが大きく膨らんで出血し、外に飛び出してしまいました。
彼女の場合、恥ずかしさから病院を訪れることはありませんでした。さらに、彼女はトイレでいきみ続ける生活を続けた結果、ついにはイボの中の血流が悪くなり、固まって血栓になってしまいました(循環障害を併発し血栓を形成、還納できなくなった)。結果、イボは大きく腫れ上がったまま、元に戻らなくなってしまいました。
K・Sさんは手術を受ける必要がありました。鎮痛薬、消炎酵素薬、血流改善薬などの保存的治療では、患者さんの苦痛や症状が長く続き、結局は在院期間が長くなってしまう傾向にあります。手術としては通常、結紮切除術(ミリガン-モルガン法)が用いられます。
まず、痔核を鉗子で挟み、歯状線より外方の肛門上皮、皮膚に向かって切開します。皮膚を挙上して内方へ切離を進め、外痔静脈瘤、内痔静脈瘤を括約筋より剥離して粘膜側につけ、痔核の消失する部分で結紮糸を内肛門括約筋を通します。このようにして、粘膜や動静脈とともに痔核のついた皮弁を根部で結紮します。
こうした手術を受ける前に、痔核は早期に受診すれば、薬による治療だけで改善できる可能性があります。恥ずかしがらず、是非とも早期に受診されることが望まれます。
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強度の腫脹と疼痛を伴い、放置すれば壊死状態に陥ってしまいます。患者さんの多くは肛門部の疼痛や腫脹、排便困難を訴えて来院し、歩行はゆっくりで座ることは困難となります。K・Sさんのように、肛門部に脱出したままの痔核を確認することができます。
そもそも人間の肛門周囲には、静脈叢(細かい静脈が集まって出来たクッションのようなもの)があり、肛門を閉じる手助けをしています。このクッション部分が何らかの原因で膨張し、腫れ上がってしまうと、痔核(イボ痔)となってしまいます。
痔核は、肛門管に分布する上・下直腸静脈叢のうっ血によって起こります。その原因としては、排便時の怒責や便秘や妊娠などの腹圧などが挙げられます。便秘などでの習慣的ないきみで肛門の細い血管に圧力がかかり、血流が悪化してうっ血し、腫れ上がってしまいます。
さらに、妊娠と出産を経験すると痔核を生じやすくなります。妊娠すると、大きくなった子宮が、下半身の血管を圧迫。血流を悪くさせ、肛門の血管もやはり、うっ血させてしまいます。そして、出産時の長時間のいきみが、さらなる大きな圧力をかけ続け、クッション部分のうっ血を増長させてしまいました。
K・Sさんの場合、元々便秘で、いきみ続ける生活から、彼女の肛門内には、軽い痔核が発生していたと考えられます。それが妊娠と出産をきっかけに悪化し、イボが大きく膨らんで出血し、外に飛び出してしまいました。
彼女の場合、恥ずかしさから病院を訪れることはありませんでした。さらに、彼女はトイレでいきみ続ける生活を続けた結果、ついにはイボの中の血流が悪くなり、固まって血栓になってしまいました(循環障害を併発し血栓を形成、還納できなくなった)。結果、イボは大きく腫れ上がったまま、元に戻らなくなってしまいました。
K・Sさんは手術を受ける必要がありました。鎮痛薬、消炎酵素薬、血流改善薬などの保存的治療では、患者さんの苦痛や症状が長く続き、結局は在院期間が長くなってしまう傾向にあります。手術としては通常、結紮切除術(ミリガン-モルガン法)が用いられます。
まず、痔核を鉗子で挟み、歯状線より外方の肛門上皮、皮膚に向かって切開します。皮膚を挙上して内方へ切離を進め、外痔静脈瘤、内痔静脈瘤を括約筋より剥離して粘膜側につけ、痔核の消失する部分で結紮糸を内肛門括約筋を通します。このようにして、粘膜や動静脈とともに痔核のついた皮弁を根部で結紮します。
こうした手術を受ける前に、痔核は早期に受診すれば、薬による治療だけで改善できる可能性があります。恥ずかしがらず、是非とも早期に受診されることが望まれます。
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