読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
14歳の息子が5年ほど前から疲れがたまると右目奥に痛みを訴え、頭痛や嘔吐することもあります。医師からは「緊張型頭痛」と診断されました。心配です。(44歳母)

この相談に対して、独協医大神経内科教授である平田幸一先生は、以下のようにお答えになっています。
疲れがたまると右目奥が痛くなり、頭痛と嘔吐があるのであれば、「緊張型頭痛」ではなく「片頭痛」だと思われます。緊張型頭痛も確かに疲れると起こりやすいのですが、頭の両側の締めつけるような痛みを感じることが多く、嘔吐することはありません。

片頭痛は、遺伝することが多く、10歳になる前に症状が出ることも結構あります。お母さんやきょうだいなど、家族の方に頭痛持ちの人はいませんか。

症状は、頭の片側に心臓の鼓動とともにずきずきするような痛みが、数日から数週の間隔をおいて出ます。痛みは、疲れて休んでいる時など、緊張から解放された時にしばしば出ます。長くても2〜3日でいったん治まります。

また、光や音に対して過敏になり、頭痛が起きる前に目の前が暗くなったり、キラキラしたりすることもあります。

上記のように片頭痛と緊張型頭痛では、特徴的な症状が異なります。片頭痛では、頭の片側(時に両側)が、ズキンズキンと脈打つような激しい痛みに襲われます。こうした痛みが月に1〜2回、多い人では週に1〜2回発作性に起き、持続時間としては数時間〜3日間ほど続きます。

頭痛以外の症状としては、吐き気がしたり、実際に吐いたりします。また、体を動かす、音を聞く、光を見るなどで痛みがひどくなります。頭痛の前ぶれとして約10〜20分間、視野にチカチカしたりギザギザした模様が広がって、物が見えにくいといった症状の出る場合もあります(眼症状としては、閃輝暗点や視野欠損がある)。手指、顔面のしびれ、顔面の紅潮、蒼白、発汗がみられることもあります。

症候上の診断基準としては、
(丗性、拍動痛、日常生活に支障がある、体動により頭痛が増悪するの4項目のうち2項目を満たす。
悪心あるいは嘔吐、光・音過敏、のうち1項目を満たすもの

とされています。片頭痛には前兆を伴うものがあり、閃輝暗点(内側に視野欠損部を伴い、辺縁がジグザグ様に輝く暗点が約20分の経過で徐々に拡大する)が最も多いといわれています。

片頭痛の治療としては、以下のようなものがあります。
片頭痛には、「トリプタン」という効果の高い薬があります。ただ、子供への使用は保険で認められていないため、使用例は多くありません。私は、患者さんが10歳を過ぎていれば、薬について説明した上で、処方することがあります。トリプタンを使ってみるかどうかは一度、医師に相談してみましょう。

痛みは、人間関係などのストレスを抱えたり、湿度や気温が高くなったりした場合に強くなります。睡眠を十分取り、適度に運動するなど、規則正しい生活を心がけ、ストレスをためない工夫が大切です。

片頭痛の治療としては、軽症例にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)またはエルゴタミン製剤に適宜制吐薬を併用します。いずれも発作初期の服用で有効であるといわれています。エルゴタミン製剤については有効性も確認されていますが、ほかの内服薬に比し吐き気の副作用が多いためナウゼリンとの併用が有用であるといわれています。

中等から重症なものには初めからトリプタン系薬剤を用います。ある程度頭痛が強くなってからでも効果がありますが、1錠当たりの薬価が高く、頻度が多い場合は経済的には負担となるかもしれません。また、前兆期には使用できず、冠動脈疾患などを有する場合も禁忌(使ってはダメ)であり、トリプタン系薬剤どうしの24時間以内の併用も禁忌となっています。

片頭痛の誘因としては、空腹、寝不足、寝すぎ、アルコール、月経周期、経口避妊薬、運動、入浴、外出(騒音、暑さ、乾燥、日光での誘発)、匂い、性行為、ストレスもしくはストレスから解放されたときなどが挙げられます。他にも、チョコレートやチーズ、チョコレート、ホットドッグ、人工甘味料が原因となることもあります。

思い当たる節がある場合、それらの誘因を除去することも重要となります。

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