野菜や果物の摂取量が多い男性は、食道がんになるリスクが低いとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が14日、発表した。

合計摂取量を推定して3グループに分けると、摂取量「高」のグループは「低」に比べリスクがほぼ半減。摂取量が1日当たり100グラム増えるとリスクは約10%低下した。特にキャベツや大根、小松菜などで関連がみられた。

調査は岩手など8県の45−74歳の男性約3万9000人を、平成7年から平均で約8年追跡。この間に116人が、日本人の食道がんの大半を占める扁平(へんぺい)上皮がんになった。

扁平上皮がんは男性に多く、飲酒や喫煙との関連が強いのが特徴だが、こうした習慣があっても野菜や果物を取る効果がみられた。
(リスク半減? 野菜と果物で食道がん予防)


食道癌とは、食道に発生した上皮性悪性腫瘍を指します。
日本における食道癌の組織型は、全国集計でみても93%以上が扁平上皮癌ですが、欧米では多くの症例が腺癌、しかもBarrett食道(胃液による逆流性食道炎などにより、円柱上皮が胃噴門部から連続して食道粘膜と入れ替わったもの)を背景にしたものであるという違いがあります。

発症のリスクファクターとしては、喫煙や飲酒があり、特に両者の相乗作用との関係がいわれ、1日20本以上喫煙し3合以上飲酒する群が他の群と比べ、食道癌の発生に有意な差のあることが指摘されています。また、食道アカラシアや腐食性食道狭窄、Barrett食道などに癌発生頻度が高いと指摘されています。

好発年齢は60歳代となっています。最近では、食道癌は色素内視鏡および超音波内視鏡検査の普及に伴い、早期食道癌発見の機会があがっています。

症状としては、早期癌では食物がしみたり、食べ物の通過障害感、胸骨後部異常感などの軽度の食道症状が起こりますが、切除例の45%は無症状である言われています。

進行癌となると、狭窄が高度になり、嚥下障害が強くなってきて、悪心・嘔吐がみられることもあります。嘔吐は、初期には食物のみですが、狭窄が進むと唾液や粘液までも吐出してきます。

食道には漿膜がないため、周囲臓器への浸潤が起こりやすく、胸痛や背痛がみられたり、気道との間の瘻孔形成により激しい咳が起こることもあります。また、反回神経麻痺による嗄声などがみられることもあります。

治療法としては、以下のようなものがあります。
治療法としては、内視鏡的粘膜切除術や手術療法、放射線療法、化学療法などが通常行われています。食道癌治療ガイドラインによれば、壁深達度およびリンパ節転移により、その治療方法が選択されています。

たとえば、粘膜癌(特にm1〜m2)に対しては内視鏡的粘膜切除術(EMR)が第1選択とります。粘膜下層癌(sm癌)では従来の頸部、胸部、腹部の3領域リンパ節郭清を基本術式とします。

他臓器浸潤のある症例に対しては、転移した臓器が容易に合併切除可能な臓器の場合は、手術を行いますが、気管や気管支、大血管への浸潤が認められる場合には、まず化学・放射線療法を行ってから腫瘍を縮小し、手術を考慮します。高度リンパ節転移、あるいは他臓器転移のような高度に進行すた場合は、非切除症例として化学放射線療法や化学療法が選択されます。

放射線療法は腫瘍の局所浸潤による切除不能例や、遠隔転移を有する症例、切除可能であっても他臓器重複癌や合併症のため手術適応がない症例、手術拒否例などが対象になっていることが多いです。

高度進行癌に対してはCDDPと5-FUを基本とした化学放射線療法が選択されています。その他、sm深部までの症例に対しては腫瘍親和性物質を事前に投与しておくレーザーを用いたphoto-dynamic therapy(PDT)も行われています。

上記ニュースでは、「扁平上皮がんは男性に多く、飲酒や喫煙との関連が強いのが特徴だが、こうした習慣があっても野菜や果物を取る効果がみられた」とのことなので、このようなリスクファクターを持っている人であっても、もしかしたら野菜や果物を多く摂ることで食道癌の罹患リスクを低減することができる、とのことです。

詳しいデータを見たわけではないので、疑わしく思っていますが(たとえば、野菜を摂る習慣のある人は、より健康的な生活を送ろうという意識が高い、といったバイアスが掛かっている可能性もあるのではないでしょうか)、いずれにせよこうした食生活を省みることは重要です。今からでも気を付けてみてはいかがでしょうか。

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