脳梗塞は幸い、重いものではなかった。10日間で退院し、病院とジムでリハビリを始めた。舌をアイス棒で冷やしたり、温めたりして刺激を与える。それに筋トレやストレッチ。舞台の仕事もあった。
「最初の1年間は、ろれつが回らず、つらかった。でも、やんなきゃいけない舞台があったのが、良かったですね。周りの共演者も、支えてくれました」体調を整えるために、舞台の2時間前から、ウオーキングで血行を良くし、発声の練習をして、本番に臨んだ。
「気分にも体調にも波があるのが、この病気。三歩進んで二歩下がる。仕事はプロ意識でできるんですけど、一人の自分になると、ただただ不安が押し寄せてくるんです」力になってくれたのが家族だ。「ゆっくりやろうよ」という妻。そして子供の寝顔。
「パパ、なんとか、ここを脱出するからな、待ってろよ」。気持ちを立て直して、リハビリに向かった。まだ小さな娘に、この先読ませるつもりで、日記のように文章を書いた。
「パパは失敗した。でも、こういう闘い方をしたって伝えたくて」。発病の翌年2004年に出版された本のタイトルは「あきらめない」。
(「脳梗塞」(3)妻の励ましと子供の寝顔 力に)
2003年に西城秀樹さんは、脳梗塞(ラクナ梗塞)を発症しました。体のだるさと左の顔面神経麻痺、言葉が出にくい(喚語困難)といった症状が見られていました。
脳梗塞では、壊死した領域の巣症状(その領域の脳機能が失われたことによる症状)で発症するため、症例によって多彩な症状を示します。代表的な症状としては、麻痺(運動障害)、感覚障害、失調(小脳または脳幹の梗塞で出現し、巧緻運動や歩行、発話、平衡感覚の障害が出現)、意識障害(脳幹の覚醒系が障害や広汎な大脳障害で出現)が起こることもあります。
多い症状としては、片麻痺、半身の感覚障害、構音障害、失語、半側空間無視などがあります。西城さんの場合、失語症が大きな問題となっていたようです。また、舌をアイス棒で冷やしたり、温めたりして刺激を与えるといったこともしていた、とのことなので、嚥下障害も起こっていたのではないか、と思われます。
こうしたアイスマッサージは、口蓋弓・扁桃・咽頭後壁・舌根などに局所的な寒冷刺激と圧刺激を加え、外部刺激によって空嚥下ができるようにする方法として有効とされています。嚥下反射の惹起遅延などがみられる場合に行われます。
失語症のリハビリとしては、以下のようなものがあります。
「最初の1年間は、ろれつが回らず、つらかった。でも、やんなきゃいけない舞台があったのが、良かったですね。周りの共演者も、支えてくれました」体調を整えるために、舞台の2時間前から、ウオーキングで血行を良くし、発声の練習をして、本番に臨んだ。
「気分にも体調にも波があるのが、この病気。三歩進んで二歩下がる。仕事はプロ意識でできるんですけど、一人の自分になると、ただただ不安が押し寄せてくるんです」力になってくれたのが家族だ。「ゆっくりやろうよ」という妻。そして子供の寝顔。
「パパ、なんとか、ここを脱出するからな、待ってろよ」。気持ちを立て直して、リハビリに向かった。まだ小さな娘に、この先読ませるつもりで、日記のように文章を書いた。
「パパは失敗した。でも、こういう闘い方をしたって伝えたくて」。発病の翌年2004年に出版された本のタイトルは「あきらめない」。
(「脳梗塞」(3)妻の励ましと子供の寝顔 力に)
2003年に西城秀樹さんは、脳梗塞(ラクナ梗塞)を発症しました。体のだるさと左の顔面神経麻痺、言葉が出にくい(喚語困難)といった症状が見られていました。
脳梗塞では、壊死した領域の巣症状(その領域の脳機能が失われたことによる症状)で発症するため、症例によって多彩な症状を示します。代表的な症状としては、麻痺(運動障害)、感覚障害、失調(小脳または脳幹の梗塞で出現し、巧緻運動や歩行、発話、平衡感覚の障害が出現)、意識障害(脳幹の覚醒系が障害や広汎な大脳障害で出現)が起こることもあります。
多い症状としては、片麻痺、半身の感覚障害、構音障害、失語、半側空間無視などがあります。西城さんの場合、失語症が大きな問題となっていたようです。また、舌をアイス棒で冷やしたり、温めたりして刺激を与えるといったこともしていた、とのことなので、嚥下障害も起こっていたのではないか、と思われます。
こうしたアイスマッサージは、口蓋弓・扁桃・咽頭後壁・舌根などに局所的な寒冷刺激と圧刺激を加え、外部刺激によって空嚥下ができるようにする方法として有効とされています。嚥下反射の惹起遅延などがみられる場合に行われます。
失語症のリハビリとしては、以下のようなものがあります。
失語症の頻度は,脳卒中急性期には約20%にみられますが、1年後には10%程度とされます。回復の多くは発症後3ヶ月以内に起こり、1年後にはほぼ固定するとされますが、長期間にわたり回復する例もあります。
リハビリとしては、障害状況に応じ、発語訓練、聴覚的言語把持力の強化訓練、呼称訓練、文字と絵の対応訓練、復唱訓練、読解訓練、書字訓練、代償手段(ジェスチャーなど)の利用訓練などを行います。
外来で通院できるような方でしたら、文章を写す、新聞を要約する、今日の出来事を日記にまとめるなどの作業も重要となります。上記のように、日記を書くということは、リハビリとして非常に有意義なことであると思われます。
リハビリを進める上では、患者さんの反応や心理状態に応じて、課題内容や難易度を柔軟に調節し、常に達成感がもてるように工夫する、励ますといったことが重要になります。西城さんの場合は、家族のサポートがあったからこそ頑張れたようです。
社会生活を送る上で、言葉でコミュニケーションをとることは非常に重要なことではないでしょうか。その言葉を失ってしまったとなれば、非常に不自由な思いを患者さんはされていらっしゃると思われます。
患者さんの心理的な負担を理解し、周囲がサポートできる環境や配慮があることが、リハビリに臨む上では重要なことであると考えられます。
【関連記事】
有名人の症例集
脳梗塞発症時の症状を語る−西城秀樹
リハビリとしては、障害状況に応じ、発語訓練、聴覚的言語把持力の強化訓練、呼称訓練、文字と絵の対応訓練、復唱訓練、読解訓練、書字訓練、代償手段(ジェスチャーなど)の利用訓練などを行います。
外来で通院できるような方でしたら、文章を写す、新聞を要約する、今日の出来事を日記にまとめるなどの作業も重要となります。上記のように、日記を書くということは、リハビリとして非常に有意義なことであると思われます。
リハビリを進める上では、患者さんの反応や心理状態に応じて、課題内容や難易度を柔軟に調節し、常に達成感がもてるように工夫する、励ますといったことが重要になります。西城さんの場合は、家族のサポートがあったからこそ頑張れたようです。
社会生活を送る上で、言葉でコミュニケーションをとることは非常に重要なことではないでしょうか。その言葉を失ってしまったとなれば、非常に不自由な思いを患者さんはされていらっしゃると思われます。
患者さんの心理的な負担を理解し、周囲がサポートできる環境や配慮があることが、リハビリに臨む上では重要なことであると考えられます。
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