失明の恐れもある角膜潰瘍など健康被害が相次いだおしゃれ用カラーコンタクト(カラコン)について、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の専門部会は22日、薬事法上の「高度医療機器」に指定することを決めた。

カラコンは「雑貨」扱いのため、品質にばらつきがあったり、使用方法の説明が不足し、健康被害が報告されていた。

審議会では委員から「おしゃれ用なので『医療機器』にはなじまない」という意見も挙がったが、目の粘膜に直に装着することから「高度管理医療機器の指定が妥当」という結論に達した。

厚労省は年内に薬事法の政令を改正。購入には視力矯正用のコンタクトレンズと同様に実質、医師の処方が必要となる。
(おしゃれ用カラーコンタクトが「医療機器」に)


今までは「雑貨」扱いとされていたため、カラーコンタクトはインターネットや通販などで自由に販売されていました。ですが、今回「高度管理医療機器」指定されたため、発売には厚労相の承認が必要になるほか、販売店は都道府県知事の許可が必要になり、厳しい管理が義務付けられることになります。

矯正用コンタクト購入にあたっては、医師の処方が求められます。ですが、度がないカラーコンタクトの処方をどう規定するかについては、眼球に合っているかを診察する必要があるかもしれませんが、詳しい対応は未定の状態だそうです。

コンタクトレンズ、とくにソフトコンタクトレンズにおいて、角膜の問題が起こることが多いようです。全国の眼科医療機関に対して行ったコンタクトレンズ眼障害の調査によれば、10%の人に何らしらかの障害が起こっているようであり、多くの原因は、使用期限を守らなかったり、使用上の注意を守らない(消毒を怠るなど)ことだそうです。

角膜とは、眼球の外層である眼球線維膜の前1/6の部分を指します。透明であり、光はここを通って眼球内に入ります。角膜は眼底に像をむすぶための屈折力の約3分の2を担当しています(残りは水晶体)。

組織学的には上皮、ボーマン、実質、デスメ膜、内皮層の5層にわけられ、膠原線維とプロテオグリカンを中心とする間質成分からなる無血管組織です。知覚神経として三叉神経が分布しています。角膜の湿潤性を維持するため、常に涙液がその表面を被っている必要があります。

まず、コンタクトレンズの長時間装用、はずし忘れによるための角膜傷害によっては、角膜びらんが起こることがあります。

角膜びらんが起こると、異物感(目がゴロゴロする)、痛み、羞明(まぶしさを感じる)、流涙(涙があふれてきます)などを訴えます。激しい痛みで開瞼できないほどのこともあり、流涙と眼瞼腫脹も著しいこともあります。就寝後しばらくしての発作が多いです。

また、消毒を怠ったりすると角膜潰瘍が起こる可能性があります。角膜潰瘍とは、角膜の上皮欠損と実質の反応(炎症や浸潤、菲薄化など)を伴う現象を指します。原因として感染(ヘルペス、細菌、真菌、アカントアメーバ)、免疫反応(モーレン潰瘍)、三叉神経障害(栄養障害性角膜潰瘍)、薬剤性などが挙げられます。

感染性角膜炎では、微生物の角膜内侵入・増殖に対して炎症細胞浸潤が生じ、角膜に浸潤巣、膿瘍や潰瘍が形成されます。また、隣接する結膜にも充血や浮腫を生じ、前房内に炎症反応がみられることもあります。

細菌性角膜潰瘍では、潰瘍部は起炎菌の増殖とともに、種々の炎症細胞の集積を来し灰白色の混濁を呈し、しばしば前房蓄膿をきたします。病変がさらに進むと、角膜穿孔を来し失明に至ってしまうこともあります。

また、アカントアメーバによる角膜炎が起こることもあります。これは、自由生活性の原虫であるアカントアメーバによる角膜炎です。コンタクトレンズ装用者に多く(70〜80%)、疼みが強いという特徴があります。臨床的特徴として角膜の輪状潰瘍,輪状浸潤、円板状角膜炎などが挙げられています。

治療としては、以下のようなものがあります。
確定診断には角膜擦過の塗抹鏡検や培養など(ウイルス性では抗原検索として、蛍光抗体法やPCR)が必要となります。

細菌性角膜炎の主な起炎菌は、肺炎球菌、ブドウ球菌や緑膿菌です。治療としては、これらに有効な抗菌薬の点眼および就寝時の眼軟膏が基本で、重症例では夜間も頻回点眼を行います。1つの抗菌薬ですべての菌をカバーすることは難しいため、耐性菌も考慮して複数の抗菌薬を併用するのが無難です。必要に応じて、アミノ配糖体系の結膜下注射や、セフェム系やカルバペネム系の点滴などの全身投与も行います。

アカントアメーバ角膜炎の治療では駆虫薬、消毒薬や抗真菌薬を用います。0.1%フロリード点眼液や0.02%クロルヘキシジン点眼液、クラビット点眼、イトリゾール内服などをおこないます。角膜穿孔が起こってしまい、穿孔が大きい場合は角膜縫合術、結膜被覆術、角膜移植術などの手術的修復が必要となります。

角膜に直接触れるものであるため、カラーコンタクトでもやはり厳密な管理や使用法が求められます。ソフトコンタクトでもそうですが、しっかりと用法を守ることが重要となります。

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