以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

念願の結婚を半年後に控え、ハネムーンの休暇を取るために毎日残業することにしたS・Eさん(37)。その日もオフィスで長時間のパソコン作業に追われていましたが、大あくびをした時に、ズキッとうずくような痛みを顎の付け根辺りに感じました。痛みを感じたのは一瞬だったため、大したことないだろうと思ったS・Eさん。しかし、その後も気になる異変が続いたのです。

具体的には、以下のような症状が現れました。
1)顎の痛み
口を開けると、顎(顎関節)の辺りに痛みを感じるようになりました。ですが、しばらくするとその痛みも治まったため、放置して病院には行きませんでした。
2)顎から関節を鳴らしたような奇妙な音がする
顎の痛みを感じるようになってしばらくして、S・Eさんは関節の辺りから音(クリック音)がするのを感じるようになっていました。
3)にぎり寿司くらいの大きさの物が口に入らない
顎の関節辺りからの音が、鳴り始めるようになってからしばらくしたときのこと。結婚を控えての両家同士の顔合わせの席が設けられました。その席で出されたにぎり寿司を食べようと思いましたが、口を大きく開けることが難しい状態になっていました。
4)顎に釘を打ち込まれたような激痛
口を開けるのが難しい状態であったにもかかわらず、出されたお寿司を一つも食べないとなれば角が立つ、と思ったS・Eさん。無理をしてさらに口を開けようとしたところ、まるで顎に釘を打ち込まれたような激痛が走りました。

あまりの痛さのために顎の辺りを押さえて、S・Eさんはうずくまってしまいました。そのため、病院に運ばれて検査をすることになりました。頭頸部のCTなどを撮り、診断されたのは、顎関節症でした。

顎関節症とは、大開口および咀嚼運動などに伴い、顎関節部または咀嚼筋部を中心に痛みを訴え、さらに運動に伴う雑音や運動自体の障害(開口障害など)がみられ、類似の症状を呈する疾患(例えば顎関節強直症,関節リウマチなど)を除外した疾患群を指します。

簡単に言えば、何らかの原因でアゴにかかった大きな負担から、痛みや音が出るといった異変が発生し、最終的には口がほとんど開かなくなってしまう疾患、といえるでしょう。潜在患者数は、日本人の2人に1人であり、20代から30代の女性に多く見られる疾患です。

顎関節症診療に関するガイドラインによると、痛みの部位と病態により、以下の機銑昂燭吠類されます。
・儀拭б鰉雍攵祿
・況拭Т慇疂顱靭帯障害
・祁拭Т慇甕瀏直祿押a:転位した円板は開口時に下顎頭との関係が復位し、関節雑音“クリック音”を伴う、b:転位した円板が開口時にも復位せず、雑音は消失または軋轢音で,開口障害“ロック”を伴う)
・厳拭変形性顎関節障害
・昂拭Ь綉機櫚厳燭亡泙泙譴覆い發

機Ν況燭疼痛の部位からの判定となりますが、掘Ν厳燭任牢慇甕瀏弔琉銘岼枉錣覆匹MRIで、また、厳燭話噂X線検査(パノラマX線、側斜位経頭蓋法など)でも描出可能となります。

上記のように口が開かなくなってしまうのは、祁拭Т慇甕瀏直祿欧任△蝓口の中の「関節円板」と呼ばれる部分に異変が生じると考えられます。関節円板とは、スムーズに口を開け閉めするために、アゴの関節の間でクッションの役目を果たす柔らかい組織のことです。しかし、この病を発症すると、関節円板が本来の位置からずれてしまい、口が開けづらくなってしまいます。

原因はまだ完全には分かっていませんが、精神的ストレスによる長時間の歯の噛み締め行為が関係していると言われています。一度の噛み締め行為で、顎には50kgもの負荷がかかると言われています。

S・Eさんの場合も、連日、長時間に及ぶパソコン作業で精神的ストレスが蓄積し、無意識のうちに歯を噛み締め続けていたと考えられます。すると、関節円板は圧迫され続け、やがて周辺の組織に炎症を引き起こします。最初に現れた顎の痛みはこの炎症が原因であり、この痛みこそ顎関節症を発症したサインでした。

炎症を起こした組織は、時間とともに沈静化するため、痛みも消え、彼女は異変が治ったものと勘違いし、関節円板への負担はますます蓄積するようになってしまいました。結果、関節円板は徐々に前方へと押し出されていました。

こうして生じた異変こそ、顎が発したあの奇妙な音である「クリック音」です。これは大きく口を開けた拍子に、ずれていた関節円板が、一時的に元の位置に戻った音です。その後も、絶え間ない圧迫がかかり続けたS・Eさんの顎は、ついに関節円板が前方へと脱落し、口を開けようとする顎の動きを邪魔してしまいました。結果、起きたのが、握り寿司が一口で食べられないという異常事態でした。それでも強引に口を開けようとした次の瞬間、顎の付け根に無理な力がかかり、猛烈な痛みが発生しました。

治療としては、以下のようなものがあります。
上記の機銑昂燭里垢戮討両彪燭如≡崢砲よび開口障害が強く、日常生活に支障をきたす場合には治療を要することになります。その場合でも、保存的な治療法により改善することが多いようです。

保存療法としては、安静、咬合床(スプリント)の装着、開口練習などの理学療法、消炎鎮痛薬・筋弛緩薬・トランキライザーなどの薬物療法を組み合わせて実施することになります。ただし、薬物療法は診断・補助的意義が強く、長期の投与は避けるべきであるといわれています。少なくとも1週間投与にて再度評価する必要があります。

日常生活障害が高度な場合には、MRI・CTなどでの精査、外科療法が必要なこともあります。外科療法としては、掘Ν厳燭鯊仂櫃亡慇畊仞刺療法、顎関節鏡視下剥離授動術、関節円板切除術、関節置換術などを行います。

顎関節症は、関節円板が完全に脱落し、いきなり口が開かなくなってしまうということもあります。そうなる前に、痛みやクリック音が聞こえるようになったならば、一度、病院を受診することが重要であると考えられます。

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