地元メディアの報道によると、イギリスの科学者が先ごろ、口の中が不衛生だと、心臓病のリスクが増すことを発見した。

報道は、次のように報じている。「イギリス・ブリストル大学の学者、ハワード・ジェンキンス氏がアイルランドの首都ダブリンで行われた学会で発表したところによると、細菌への感染が心臓病を引き起こす要因だという。ヒトの口の中には700種類余りの細菌が住んでいる。その多くは人体に無害だが、中には最悪の場合、心臓病や脳卒中を引き起こすものもある」。

ジェンキンス氏によると、口の中は人体の中で最も汚い部分。歯ぐきから血が出ると、細菌はそこから血液の中に入り込こみ、血小板にくっついて体中を回るという。こうした細菌の中には、免疫細胞や抗生物質の働きを鈍らせるものもある。

WHOが発表したデータによると、毎年1700万人が心臓病で死亡しているという。心臓病はヒトの死因の最大要因だ。
(口の中が不衛生だと心臓病になりやすい)


歯周病とは、歯の周囲に存在している歯周組織(歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質)に生じる炎症反応を主体とする病変の総称、と定義されています。40歳以降では、歯の喪失の大きな原因となっています。

こうした口腔内の問題のほかに、以前から、歯周病は全身疾患(心臓血管系疾患、呼吸器系疾患、糖尿病、妊娠時の合併症、肥満など)との関連性を示す研究結果が報告されており、注目されています。特に、重度の歯周病を患っていると心筋梗塞のリスクが高まる、ということがいわれています。また、腹部大動脈瘤、大動脈閉塞性疾患の動脈壁ならびにバージャー病の血管壁から歯周病菌DNAが高率に検出され、両疾患の関連も指摘されています。

具体的には、歯磨き不足などがきっかけとなり、歯周ポケットに歯周病菌がたまり始めると、その毒素で歯茎が破壊され、歯周ポケットは徐々に深くなり出血を伴うようになります。さらに、この状態を放置すると「口臭が発生する」などの症状となって現れます。

このような状態になると、歯周病菌の一部はリンパ管を経て、血管の中に侵入して血中内に入ることになります。もちろん血管に入った歯周病菌の大部分は、白血球によって退治されます。ところが、一部の歯周病菌は、白血球から逃れ、血小板に入り込むことがあります。

歯周病菌が入り込んだ血小板は異常を起こし、互いに集まり固まりやすくなり、簡単に血栓を作ってしまうと考えられています。歯周病菌が入りこんだ血小板が体内で増加すると、血栓がつくられてしまいます。こうした血栓が、動脈硬化が起きていた場所があると次々と付着し、冠状動脈を塞いで、心筋梗塞を引き起こしてしまう、と考えられています。

さらに、糖尿病との関係性も指摘されています。
歯周ポケットに歯周病菌がたまると、免疫細胞である白血球が集まってきます。この時、白血球が歯周病菌の出す毒素に触れることで、TNF-αと呼ばれる物質を放出します。TNF-α(カケクチン)とは、細菌のエンドトキシンによりマクロファージが産生する、分子量1万7000の単純蛋白質です。抗腫瘍効果があり、実験的腫瘍に出血性壊死を起こします。強い発熱物質としても知られています。

このTNF-αには、血液中のインスリンの働きを妨げてしまう作用があると考えられています。そのため、インスリンの働きが低下し、糖尿病が一気に進行してしまったと考えられます。結果、血糖値が高くなり、今度は歯茎の毛細血管の血流が悪くなります。すると、血液が行き渡らず、歯周病菌を退治できなくなってしまいます。つまり、歯周病の悪化をもたらしてしまうわけです。歯周病による歯茎の炎症が悪化するにつれて、さらにTNF-αが多く放出され、糖尿病もますます悪化してしまうという悪循環が生まれてしまうといわれています。

歯周病の治療としては、以下のようなものがあります。
歯周病治療の基本的考え方としては、
ゞ表蠅慮彊の除去
病変の改善
生体抵抗力の増強

に要約されるといわれています。一般的に順序としては、緊急処置、歯周基本治療、歯周外科治療、最終治療(咬合機能回復)、メンテナンスの順に行います。

まずは患者さんにプラークの為害性を十分に認識していただき、自分自身でプラークを取り除く習慣を身につけていただきます(口腔清掃指導)。次に、プラークが増加したり、除去することが困難な部位を除去・改善します。さらに、歯肉縁下プラークや歯石の除去を行います。

歯周外科治療も行われることがあり、歯周基本治療で改善されなかった歯周ポケットなどの口腔環境の是正や、骨吸収などの破壊された歯周組織の再生を主体とした治療がおこなわれることもあります。歯周ポケットの除去には、歯肉切除術やフラップ手術など、口腔環境の是正には、遊離歯肉移植術、結合組織移植術などが行われています。歯周組織の再生には、歯周組織再生誘導法(GTR法:guided tissue regeneration method)やエナメル基質蛋白(商品名エムドゲイン)を用いた再生治療が行われています。

歯周病は、単に口腔内だけの問題に留まらず、心疾患や糖尿病など、全身疾患との関連性があるといわれています。しっかりと治療していただくことが望まれます。

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