2008年9月21日は世界アルツハイマーデー。20日、羊城晩報は中国の高齢者性認知症患者数は世界最多であり、高齢化社会の進展に伴い今後もその数は急増する見通しであると報じた。

2005年段階で中国の高齢者性認知症患者数は598万人、全世界の4分の1を占め世界最多となった。85歳から93歳までの高齢者のうち25%が発症している計算になる。今後も増加傾向が続き、2020年には1020万人、2040年には2250万人の患者を抱えると予測されている。

生活が困難な高齢者が増える一方で、核家族化が進み子どもと別居する高齢者が増えている。広東省では高齢者の3割近くが老夫婦だけでの生活、独居老人も1割を占めている。孤独やコミュニケーションの欠如は老人性認知症の発生率を高めるとされており、高齢者の生活支援が急務となっている。
(認知症患者数が世界一、独居も急増―中国)


認知症は、65歳以上の高齢者の8%以上を占めるといわれています。加齢により発症率、有病率ともに増加します。日本では、人口の高齢化に伴い今後20年間で患者数は倍増すると見込まれています。

頻度の高い原因としては、老人性認知症、Alzheimer(アルツハイマー)病、多発脳梗塞などがあります。老人性認知症、Alzheimer病は潜行性に発症し、一様に進行して全般性痴呆を呈し、頭部MRIで脳萎縮がみられます。老人性認知症は65歳以降に発症し、経過がやや緩徐であるという違いはありますが、その他の点ではAlzheimer病と非常に似ているといわれています。

認知症では、一般に記憶障害を中核症状とし、知的機能や認知機能の低下、行動障害や精神症状を認め、さらに社会生活や日常生活を送るうえでの困難を生じてくることがあります。

記憶障害では特に、最近に経験した出来事を覚えられない(記銘障害)、ないし思い出せない(想起障害)、近時記憶の障害は、たとえば3つの言葉を覚えてもらい、5分後に想起できないことなどで示されます。

遠隔記憶の障害も伴ってきており、個人的な昔の出来事や思い出、生活歴、過去の社会的事件や有名人などを正確に答えられない状態が起こります。発症後に近い出来事は覚えられないですが、より遠い過去の出来事ほど覚えていることが多い(時間的傾斜現象)といった特徴もあります。

初発症状としては、「同じことを言ったり聞いたりする」「置き忘れやしまい忘れが目立つ」など、記憶障害に関連したものが高率にみられます。こうした記憶障害に伴い、日時、場所、人物などがわからなくなる見当識の障害がみられます。一般に、障害は時間→場所→人物の順で進んでいくといわれています。

記憶障害のほかに、脳機能低下に伴う以下のような認知障害を認めることがあります。
認知症では、失語や失行、失認などの症状がみられることがあります。これらの症状は、一般に脳の限局性病変による巣症状であることが多いですが、認知症でもこれらの高次脳機能障害がみられます。

失語では、「物の名前が出てこない」(語健忘)や「言い間違い」(錯語)、発話の流暢性などの障害がみられます。人の名前や地名など固有名詞が出てこないことは、健常者でもよくみられますが、普通名詞(物の名前など)が出てこないことは病的意義が高いといわれています。

運動麻痺がないにもかかわらず、動作がうまく遂行できない(失行)ことや、感覚障害がないにもかかわらず、対象の認知に問題があること(失認)が起こることもあります。道具を上手く使えないために料理ができなかったり、計画を立てて順序立てて行動したりすることが障害されます。

さらに、認知症に随伴精神症状を認める人は6割を超えるといわれています。高齢者では、視覚・聴覚の衰えとともに判断や思考が低下することがあり、幻覚や妄想を生じることがあります。また、無気力、頑固、怒りっぽい、疑い深いなどといった性格変化が起こることがあります。

今後、日本でもさらなる高齢化が起こると予想され、介護環境の改善が急務であると考えられます。家族、介護者、スタッフの介護負担を軽減するといったシステム作りが望まれます。

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