以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

お酒が大好きな中堅商社の万年係長、O・Yさん(55)は、数年ぶりに健康診断を受けたところ糖尿病と判明。血糖値を下げる血糖降下薬を処方され、医師から大量の飲酒は危険なので控えるように告げられました。

以来、医師の言いつけを守って薬をしっかりと飲み、お酒は酎ハイ1杯程度にしていたO・Yさん。ところが1ヶ月後、課長補佐への昇進が決まった彼は、今日は昇進祝いだからと飲み過ぎた上、「つまみを食べないでカロリーを浮かし、その分を酒にまわせば、いつもより沢山飲めるはず」と勝手な自己判断をしてしまいます。

その思いつきに従って、彼はつまみも食べずに酎ハイをガブ呑みしてしまいます。すると、しばらくして彼は猛烈な睡魔に襲われました。「もう寝る」と言って、リビングで横になっていました。しばらくして、奥さんが寝室で寝るように促しましたが、全く目を覚ます様子がありません。何度か叩いてみましたが、彼は全く目を覚ましませんでした。

そこで異変を察知した奥さんは、救急搬送を依頼しました。そこで診察や検査の結果、彼に告げられた診断名は「低血糖性昏睡」でした。

ブドウ糖は脳・中枢神経,赤血球をはじめとして全身細胞のエネルギー源として必須の物質となっています。ですから、たとえ何も食べていない状態でも、全身・ブドウ糖利用率と肝・ブドウ糖放出率が一致し、正常血糖値に維持されてバランスが保たれています。このバランスは、主としてインスリンとインスリン拮抗ホルモンのバランスにより保たれています。

低血糖状態では、仝魎郷牲仂評と中枢神経症状とが起こる可能性があります。交感神経症状は、低血糖に反応したカテコラミン分泌による症状(カテコラミン分泌により血糖値を上げようとする)で、頻脈、動悸、発汗、振戦、不安感などが起こります。

さらに症状が進むと、中枢神経症状が起こり、判断力や集中力低下、意識障害、けいれん、昏睡などが生じてきます。上記のケースでは、意識レベルの低下が見られ、非常に危険な状態にあったと考えられます。

低血糖症は、.ぅ鵐好螢鵑料蠡佚過剰状況 ▲ぅ鵐好螢黜氷灰曠襯皀鷏臻馨況 4竜’宿堊款況 などが原因で出現します。上記のケースでは、次のような原因が問題となったと考えられます。
・糖分摂取の摂取不足
1つは「つまみを減らして、その分のカロリーを酒に振り分ければいい」と、勝手に自己判断してしまい、つまみを食べなかったこと。実はお酒にはカロリーはあっても、糖分が少ないため、血糖値の上昇には直接つながりにくいのです。そのため、つまみを食べないでいると、新たな糖分が体に入ってこないまま薬が効くため、低血糖状態になってしまいます。
・多量の飲酒
肝臓はアルコールの代謝にかかりきりとなり、糖分を放出することまで、手が回らなくなってしまいます。そうとは知らず飲み続けると、血糖値はますます下がる一方となってしまいます。
こうした結果、低血糖状態による症状が出現してきました。

ちなみに、高血糖状況から急激に血糖値が下降する際には、低血糖域にまで低下していない場合であっても低血糖症状が出ることがあります。また、血糖値が徐々に下降する際には症状がなく、突然、意識障害をきたすこともあります。

放置すると神経細胞は壊死に至り、不可逆的変化を起こすため、血糖が改善しても,認知症、言語障害などの後遺症を残すだけでなく、植物状態となったり、稀には死に至ることもあります。

診断や治療としては、以下のようなものがあります。
低血糖(50mg/dL以下)の存在は血糖値測定により診断します。ただ、高血糖が長期間続いていた糖尿病患者では、比較的高い血糖値で交感神経反応が発現します。逆に低血糖を頻発している患者さんでは、交感神経症状を欠いたまま意識障害に陥る無自覚性低血糖の状態となることもあります。

身体所見としては、顔面蒼白で皮膚は湿って冷たく、散瞳、動悸などの交感神経症状を認めます。意識障害の程度は様々であり、重症低血糖では痙攣や昏睡をきたすことになります。

治療としては、意識がある際にはブドウ糖経口摂取(10g)を行い、意識がない際には静脈内ブドウ糖注射(50%ブドウ糖)が必須となります。意識障害が持続する場合には副腎皮質ホルモン(ソル・メドロール)500〜1000mgを静注することも行われます。インスリン依存型糖尿病の場合では、グルカゴン1mgの皮下もしくは筋注も有効となります。

医師は「この薬を飲み始めたら、沢山お酒を飲むのは控えてください」と説明し、薬の説明書にも、ちゃんと書いてありました。その支持をしっかりと守ることが必要でした。

幸いにも、O・Yさんは昏睡状態が始まって1時間後の発見だったため、脳のダメージが小さく、大事には至りませんでした。ですが、低血糖性昏睡は、命の危険性もある状態です。糖尿病治療を行っている方は、ご注意下さい。

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