人気声優・ゆりしーこと落合祐里香さんが、「交通事故」の後遺症に苦しんでいる様子をブログに書いている。

2008年10月4日未明に更新されたブログで「今日はもう少しで 天国に行ってるとこでした」と書いていた落合さん。7日の更新で、「交通事故」にあっていたと告白した。

その後、いつも通りの生活を送っていたが、「目眩とたちくらみ」がしてきたので8日に再検査を受けた。そこで、首を捻挫していたことが発覚。「まじかよ!」と驚くが、「軽いので大丈夫だと思います」と余裕を見せていた。

しかし、「事故の後遺症は三日後くらいからひどくなってくる場合もある」とのことで、9日になると症状が更に悪化。
「吐き気‥嘔吐 頭打つとなるみたいです‥にしても時間経過ありすぎ‥」
「頼む 自分生きてくれ‥」
と、本格的に苦しんでいる様子が伺える。

11日の更新では、「体調は徐々に快復中です☆ 」と書いているが、「来週くらいにまた検査に行きますね!」とのことなので、まだ油断は出来ない様子だ。ファンからも落合さんを心配したメッセージが届いているようで、

「応援メール 心配メールありがとうございます すごく嬉しかったです」
と、感謝の言葉を記している。
(声優ゆりしー「交通事故」後遺症で悩む)


頸椎捻挫(むち打ち損傷)は、スポーツなどの外傷によっても起こりますが、ほとんどは交通事故に起因する症例であり、長期療養化、治療に難渋する症例もこれらによるものが大半を占めるといわれています。

「むち打ち」と呼ばれる由縁としては、車のヘッドレストが装備される以前、受傷時には頸部があたかも猛獣使いの鞭のようにしなることから病名が付けられましたが、最近では病名として不適切と考えられます。以前は外傷性頸部症候群などとも言われていましたが、最近では頸椎捻挫と表示されている本が多いようです。

患者さんの自動車が前方に追突した場合は、減速により頭部の強い前屈位と、それに続く後屈による頸部の損傷が起こります。後方から追突された場合は、加速により、頭部の強い後屈位とそれに続く前屈位による頸部の損傷がその原因となって起こります。これらの損傷によって、頸椎および周辺の組織に損傷を生じることになります(原則として骨傷や頸髄損傷はない場合を指す)。

交通事故後であると、実は上記のように受傷後3日以上経過して発症した遅発性の症状の訴えや、疼痛部位が初診時の反対側に出現してきたとの訴えが多いといった研究もあります。これは、他覚的所見での変化を認めなかったことなどを踏まえると、むしろ精神的・社会的な要因も介在して症状の増悪が出現するといったことも考えられます。

ほかにも、急性期には頸部痛、特に運動痛がみられ、そのため各方向への可動性が制限されます。そのほか、後頭部痛・重感,肩こりが多いです。3ヶ月以後の慢性期には前頭部痛、耳鳴り、めまい、目のかすみ、集中困難などバレー-リエウ症候群(後頸部交感神経症候群)と称される自律神経障害などがみられることもあります。

さらには、脳脊髄液減少症なども起こりえます。これは、以下のようなものです。
脳脊髄液減少症とは、軽微な外傷によりくも膜の破綻が生じて、持続的に髄液が漏出し、髄液量が減少してさまざまな症状が出現すると考えられている疾患です。

症状の特徴としては、頭部外傷後多彩な症状が持続し、立位保持、低気圧の接近、脱水により症状が悪化する点などがあります。造影脳MRI(矢状断、前額断)で硬膜下髄液貯留、小脳扁桃下垂、静脈拡張、硬膜肥厚などの髄液減少所見がみられます。

検査としては、MRミエログラフィーや、RI脳槽シンチグラフィーを行って髄液漏出所見がみられれば、脳脊髄液減少症の可能性がきわめて高いと考えられます。頭部MRIでは、円蓋部での硬膜下腔拡大、小脳扁桃下垂、造影剤での硬膜増強などが特徴的です。

上記のような頭部外傷後遺症に対しては、まずそれぞれの症状に対して対症療法を行います。一般的に頭痛、頸部痛、めまい、不眠などに対しては、消炎鎮痛薬や精神安定薬、抗うつ薬による薬物治療を行います。

頸部痛、腰痛に対しては神経ブロックや理学療法なども有効である場合が多いようです。脳脊髄液減少症と診断されるか疑いが強い場合は、まず2週間程度の臥床安静・1日2Lの水分補給による保存的治療を行います。

臥床安静により、立位での髄液漏出を抑え、漏出部位が自然に塞がることが期待できます。髄液量減少は、点滴や飲水で補い症状が改善することがあります。これで症状の改善が得られないときは、ブラッドパッチ治療を行います。

ブラッドパッチ法は、具体的に患者本人の腕から20〜40ml(男性30〜40ml、女性20〜25ml)の血を取り、背中から脊椎の硬膜外腔に注入します。血液が、糊のように裂け目をふさぎます。結果として髄液の漏れがなくなると考えられています。

このように、交通外傷は時間をおいて症状が出現することもあり、さらには精神的にも大きな負担となることがあります。ご注意下さい。

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