俳優の峰岸徹さんが、肺がんのため、都内の病院で死去していたことが13日、分かった。65歳だった。この日、都内で会見した所属事務所の横田房七社長(67)によると、峰岸さんは11日午後11時32分、夫人や3人の子ども、孫ら家族にみとられ、息を引き取った。

峰岸さんや遺族の意向により、葬儀は14日以降に密葬で行われる。芸能人の参列はないという。

友人代表の大林宣彦監督(70)らが中心となり、11月初旬に、峰岸さんが生まれ育った東京・銀座で「お別れ会」を行う予定。

峰岸さんは出演映画「おくりびと」の「モントリオール映画祭」グランプリ受賞を喜び、英語でスピーチをする練習もしていたという。11月1日公開の映画「その日のまえに」で、大林監督のたっての希望で、8月に自宅前でワンシーンを撮影したのが最後の仕事となった。

峰岸さんは、4月に舞台「あした〜愛の名言集」を、「脊柱(せきちゅう)管狭さく症」と、「腰ついすべり症」の合併症を理由に降板。その後、腰の手術のための検査で、肺がんを告知された。がんは「ステージ4」と診断され、骨にも転移し、手術はできない状態だった。2週間ほど前に容体が悪くなり、1週間ほど前から意識がなくなっていたという。
(俳優の峰岸徹さん、死去)


肺癌とは、気管支および肺実質から発生した上皮性悪性腫瘍です。一般にその生物学的特徴から、小細胞癌と非小細胞癌に分けられます。非小細胞癌とは、主に腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌からなります。

肺癌は非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)が約85%、小細胞癌が15%を占めます。病因は喫煙による影響が最も強く、発症危険率は喫煙本数と比例するといわれています。喫煙指数(1日に吸う本数×年数)が800を超えると肺癌の危険が高くなるといわれています。

肺癌の場所による分類としては、区域気管支より中枢側に発生したものを中枢型、末梢側に発生したものを末梢型といいます(肺門型の肺癌では咳、痰などの症状が出やすく、肺野型では無症状・健診発見が多いという特徴があります)。

中枢型には扁平上皮癌と小細胞癌が目立ち、男性例が多く、喫煙との関連が高いです。一方、末梢型では腺癌が目立ち、女性が比較的多く、喫煙との関連は低いといわれています。

日本の臓器別癌死亡率の1位(肺癌は男性で第1位、女性で第2位)であり、罹患率・死亡率は男性のほうが女性より高く、女性の3倍から4倍になります。年齢別にみた肺癌の罹患率・死亡率は、ともに40歳代後半から増加し始め、高齢ほど高くなります。肺癌は喫煙と深い関係があり、40歳以上のヘビースモーカーで血痰を訴えた場合は原発性肺癌を疑います。

肺癌の症状としては、他の癌腫と同様に早期では無症状のことが多く、進行期になると多彩な症状を呈することになります。肺門型(気管が肺に入る入口付近)の肺癌では咳・痰などの症状が出やすく、肺野型(肺門から離れたところにできた癌)では無症状・健診発見が多いと言われています。

全国肺癌登録4,931例の分析によると、せき(49.3%)、痰(23.7%)、血痰(19.0%)、胸痛(15.8%)、呼吸困難(6.3%)、やせ(5.8%)、発熱(4.8%)、嗄声(4.0%)といった順番になっています。

胸郭内隣接臓器への浸潤、転移が起こってくると、その他おおくの多彩な症状が現れてきます。たとえば、胸痛や胸水貯留(原発巣の胸膜直接浸潤、癌性リンパ管症による胸膜リンパ流のうっ滞)、Horner症候群(交感神経圧迫による顔面の発汗、瞼の下垂、神経損傷のある側の瞳孔縮小などがみられる)、患側上肢や胸部の激痛、運動麻痺(Pancoast腫瘍)、横隔膜麻痺、不整脈、心タンポナーデ、上大静脈症候群(頭頸部や上肢の浮腫、表在静脈の拡張が起こる。上大静脈への浸潤による)などが起こります。

胸郭外他臓器転移に伴うものとしては、脳や脊髄転移で悪心・嘔吐、構音障害、小脳失調、片麻痺、痙攣などが起こります。腹部臓器転移としては腹痛、脊髄転移では下半身の知覚運動障害、疼痛、失禁などが起こりえます。骨転移では疼痛が生じ、ペインコントロールが重要となります。

峰岸さんの場合は、こうした脊椎(腰椎)への転移がみられ、その結果としてそれが肺癌による転移であったと判明したようです。抗癌剤治療および放射線治療を行っていたようです。

肺癌に対する治療としては、以下のようなものがあります。
肺癌の治療法としては、主に3種類のものがあります。外科療法、放射線療法、抗癌剤による化学療法です。治療法の選択は、癌組織型、進展度(staging)、performance status(一般全身状態)、肺肝腎などの主要臓器機能、合併症の有無、により左右されます。

小細胞肺癌は、早期に転移をみることが多く、放射線治療の観点から一照射野か否かの基準として、「限局型」(limited disease; LD)、「進展型」(extensive disease; ED)の分類が用いられることが多いです。化学療法と放射線療法が基本となります。

非小細胞肺癌の場合、通常はI期から?A期の一部が手術の対象となります(N2 症例に対する手術単独の治療成績は不良であり、集学的治療の対象)。?B期症例に対しては、プラチナ製剤を含む化学療法と胸部放射線治療の併用療法が標準であり、?期は化学療法などが用いられます(ただし、治療意義は生存期間の延長と癌に伴う症状の緩和)。

非小細胞癌に対して用いられる主な抗癌剤は、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、マイトマイシンC、ビノレルビン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、ゲフィチニブなどがあります。これらの抗癌剤は単独で用いる場合もありますが(単剤療法)、2種類以上の抗癌剤を組み合わせて用いる場合が多い(併用療法)です。

非小細胞肺癌に対しては、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬であるゲフィチニブ(イレッサ)が用いられるケースもあります。特に、
?女性、?肺腺癌、?ヘビースモーカーでない人、?全身状態のよい症例

に約30〜40%の奏効率が得られています。2,3週間で腫瘍縮小効果がみられることもありますが、重症に至る急性肺障害や急性間質性肺炎などの合併症が約5%発生することも指摘されています。

放射線治療に関しては、小細胞肺癌では、全身状態がよく、70歳以下で、限局型が対象となっています。抗癌剤(シスプラチン+エトポシド)との同時併用治療が行われます。放射線治療の総線量は50−55グレイ程度となっています。また、小細胞癌は脳へ転移する場合が多く、LD症例でかつ化学療法および放射線治療によりCR(著効)となった症例では予防的全脳照射が行われます。

非小細胞癌の場合、手術できない?期から?a期、胸水を認めない?b期が放射線治療の対象となります。肺癌の場合、通常は身体の外から患部である肺やリンパ節に放射線を照射します。

峰岸さんのように骨転移が見られる場合、骨転移による疼痛、上大静脈症候群併発などでは、放射線療法が行われることもあります。また、脳転移に対して、γ-ナイフによる治療も考慮されます。

最期まで、俳優としての人生を全うされていらっしゃったようです。ご冥福をお祈りしたいと思います。

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