米イリノイ大学医学部の研究チームは、心臓発作などに見舞われた患者に対して行われる胸部圧迫による心臓マッサージに、ディスコミュージックの「ステイン・アライブ」のリズムが効果的であることを発見した。同曲は、3人兄弟のボーカルグループ、ビージーズが1977年に発表したディスコミュージックの代表的作品。

米国心臓協会(AHA)は、心肺機能蘇生(CPR)での心臓マッサージの際、1分当たり100回のペースでの圧力を推奨しており、「ステイン・アライブ」の曲に合わせると1分当たり103回でのリズムで、ほぼ推奨ペースと合致するという。

心臓マッサージや人工呼吸などのCPR処置は、生存率を3倍に高めるとされるが、適切なリズムがつかめず、処置を行うことに消極的になる向きもある。調査によると、大半の人々が行う心臓マッサージのリズムは、遅すぎるという。

研究チームを率いるデビッド・マトロック医師は16日、電話によるインタビューで、誰もが知っている曲のため、心臓マッサージの際、一定のリズムがとりやすいと、同曲による効果を説明した。この研究結果は、今月行われる米国救急医学会の会合で発表されることになっている。
(心臓マッサージのリズムは「ステイン・アライブ」)


心臓マッサージとは、拍動が停止した心臓を体外もしくは直接圧迫することにより血液を駆出し、脳、その他の臓器の血液循環を維持する方法です。心拍出量は、正常の1/4〜1/3得られるといわれています。心肺停止患者あるいは、頸動脈にて脈を触知しない傷病者が対象となります。

通常、人工呼吸と併用して行われ、閉胸式(胸骨圧迫)と開胸式心臓マッサージがあり、上記のような心臓マッサージは、もちろんのことながら前者を指します。

ちなみに開胸式心臓マッサージは心タンポナーデ、緊張性気胸、胸郭の高度変形、開胸手術中、閉胸式心臓マッサージが無効などの場合に適応があり、左第4もしくは第5肋間で開胸し、直接心臓を圧迫します。

具体的な方法としては、患者の胸部側方に位置し胸骨体下部(剣状突起というみぞおちの辺りの突起部分の2横指上)に両手掌を重ねて置き、胸骨が3.5〜5cm下がるほどに圧迫し、その後に解放します。胸骨圧迫位置の目安は、「胸部の真ん中で、胸骨1/2下半分」もしくは、「左右の乳頭を結ぶ線が胸骨と交わる点」となっています。

圧迫と解放の時間はほぼ同等とし、成人の場合毎分100回繰り返します。患者の背部は、板のような堅いものであることが望ましいです。

乳児では、術者の片手の2本指で胸骨部を毎分100回、胸の厚さのおおよそ1/3窪むまで圧迫します。8歳以下の小児では、術者の片手の手掌基部で胸骨下半分の部位を、毎分100回の速さで胸の厚さのおおよそ1/3窪むまで圧迫します。

心臓マッサージにおける注意点としては、以下のようなものがあります。
上記のような方法で、胸骨の下半分のところに手掌(手根部)をあて、その上に反対側の手をのせて、自分の体重をのせるようにして(肘を曲げない)、胸骨が3.5〜5cm圧迫されるように1分間約100回の速さで強く押します。胸骨の圧迫は急激にするのではなく、円滑に規則正しく中断のないように行います。サイクルの50%が圧迫に、残りの50%が減圧になるようにします。

心停止の場合は呼吸も停止しているので、心臓マッサージと同時に人工呼吸も行わなければなりません。これらを行う方法は、1人で行う場合と2人で行う場合の2通りが考えられます。気道確保は頭部後屈頸部挙上法(あご先挙上法)により行われます。

心肺機能蘇生(Cardio Pulmonary Resuscitation:CPR)を開始したら、人工呼吸中の中断時間も含めて10秒以上は胸骨圧迫心臓マッサージを中断しないことが重要となります。何らかの応答や目的のある仕草が現れる、または救急隊などに引き継ぐまで継続します。頸動脈は触れる、あるいはCPRで戻ったが、自発呼吸がない場合には、10回/分にて人工呼吸を行います。

心臓マッサージの合併症としては、胸骨や肋骨の骨折、これに伴う肝臓、脾臓、肺の損傷などがあります。力み過ぎず、圧迫する位置もしっかりと確認しましょう。

ちなみに、私が教わったリズムの刻み方では、「ドラえもんのオープニングテーマ(もちろん、旧の方)」が適している、とのことでした。それ以来、心臓マッサージをする際には、緊急の場面ですが、頭の中では必ずこの歌が流れています。

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