読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
もうすぐ6歳の長男が毎晩おねしょをします。本人は朝まで熟睡しています。日中の排せつは全く問題ありません。3歳の頃、きつくしかったことがあり、それが影響しているのでしょうか。(群馬・32歳母)
この相談に対して、スマイルこどもクリニックの荻原大先生は、以下のようにお答えになっています。
「日中の排尿や排便は問題なく、また、おねしょをした後にも熟睡し続ける」ということは、夜尿症のお子さんの大半にみられます。

ご存じの通り、赤ちゃんは皆おねしょをしますが、通常成長すれば、やがてしなくなります。身長の伸びや体重の増加、言葉や運動の発達などと同様に、おねしょをしなくなる時期にもかなりの個人差があります。6歳頃は、まだ1割以上のお子さんがおねしょをしています。

おねしょは、膀胱の許容量以上の尿が夜間に作られるために起こります。

主な原因として、〈1〉作られる尿の量が多い〈2〉膀胱の容積が小さい――などが挙げられます。質問にある「3歳の頃にしかった」というのはあまり関係ないと思います。

おねしょは、お子さんが悪い訳ではありませんし、焦って改善するものでもありません。成長とともに膀胱の容積は大きくなりますし、尿を濃くして量を減らす「抗利尿ホルモン」もきちんと働くようになります。
夜尿症とは、5歳以上で夜間の尿失禁が週2回以上認められ、器質的原因のない場合を指します。夜尿症単独例は約80%で、その他は昼間遺尿(昼間に尿が漏れてしまうこと)、便失禁などを合併します。有病率は5歳児で20%程度であり、その後1年ごとに15%ずつ治癒し、成人では1%未満となります。

分類としては、上記のように
々獲尿ホルモン(AVP)の夜間分泌低下に基づく夜間多尿
排尿と蓄尿を調節する末梢・中枢神経の未熟性に基づく夜間膀胱容量低下

これら2つの要因によって、夜間尿量が睡眠時膀胱容量を上回り、夜尿が発生します。ちなみに,鯊診型(1回夜尿量が、10歳未満≧100mL、10歳以上≧150mLであったり、夜間尿量:8歳未満≧180mL、10歳未満≧200mL、10歳以上≧250mLである)、△鱧胱型(1回夜尿量と夜間尿量が上記基準値未満の場合)、,鉢△旅臺擦鮑合型夜尿症(多尿型と混合型の合併した夜尿症で、1回夜尿量が上記基準値未満で、夜間尿量が上記基準値以上の場合)といいます。

ただ、器質的疾患として、尿路感染症や糖尿病、尿崩症などがある場合や、尿道の異所性開口などの尿路奇形、二分脊椎による神経因性膀胱などがあったり、夜間のてんかん発作による尿失禁(夜尿頻度が少なく月1回以下のことが多い)があって夜尿症が生じることがあります。

そこで診断としては、|覺岼簀△陵無、一次性と二次性の区別(上記のような器質的疾患の有無)、L詛△慮彊となる合併症の有無、だ鎖星親鞍達の評価、ナ部・会陰部の形態的・神経学的異常の有無などを調べる必要があります。

また、泌尿器科的疾患の鑑別のため尿検査と画像検査(腹部超音波、排泄性膀胱尿道造影)を行います。神経因性膀胱やてんかんの可能性があれば腰仙部のMRI、尿流動態検査や脳波検査を行うこともあります。

治療としては、以下のようなものがあります。
成長とともに膀胱の容積は大きくなりますし、尿を濃くして量を減らす「抗利尿ホルモン」もきちんと働くようになります。

夜間に起こすことは、抗利尿ホルモンの分泌を低下させて、かえっておねしょを悪化させてしまう恐れがあります。宿泊行事などの時にはやむを得ませんが、基本的には夜間に起こすべきではありません。

お母さんはとにかく、「しからない」「焦らない」「夜、起こさない」ことです。心配ならば、夜尿症を専門とする医師を受診してみましょう。

「起こさず・焦らず・叱らず」というのが、夜尿症対応の三原則だそうです。こうしたことをもとにして、摂取水分制限や排尿抑制訓練を行います。

多量遺尿型に対しては、夜間の水分摂取制限を行います。具体的には、午前中は十分に摂取(300〜400ml)させ、午後からは控えめにし、夕食後は厳しく制限(150ml)します。排尿機能未熟型では、帰宅後に尿意を感じたらぎりぎりまで排尿を抑制させ、機能的膀胱容量を拡大していくという方法があります。

また、条件づけ療法といって、これは欧米で普及している方法で、下着に付けた高感度センサーが夜尿出現時の少量の尿を感知し、ブザー音で覚醒・排尿を促すという方法があります(有効率は80%以上とされます。国内でも、ちっちコールという名前で販売されています)。

上記のように、夜尿症は機能的膀胱容量の過少(排尿機能未熟型)や、抗利尿ホルモンの夜間分泌不全(多量遺尿型)です。したがって、前者には抗コリン薬が、後者には抗利尿ホルモン薬が理にかなっていますが、いずれの病型でも軽症例は三環系抗うつ薬が有効なことが多いです。ですが、こうした薬物療法は、基本的には就学前の子供では使用しません(副作用として三環系抗うつ薬では悪性症候群や、デスモプレッシンでは水中毒を起こす可能性がある)。

6歳では、成長を待って焦らないことで改善されると思われます。続くようであれば、小児科や泌尿器科を受診されることが望まれます。

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