承認から2年になる子宮頸癌を予防するためのワクチン(商品名:Gardasilガーダシル、※日本では未承認)が安全であることが、米国当局により報告された。
 
米国疾病管理予防センター(CDC)は、11−12歳からこのワクチン接種を受けるよう勧めている。Bloomberg(ブルームバーグ)ニュースによると、CDC予防接種安全対策室は、過去2年間に少女および若年女性を対象に実施された37万回のワクチン接種について調べた結果、血栓をはじめとする重篤な症状が引き起こされるとのエビデンス(根拠)は認められなかったとしている。

一方、予防接種が不特定多数との性行為を助長すると懸念するグループなど、このワクチンを批判する団体は、Gardasilの安全性に疑問を呈し、性感染症の予防になるというような誤った認識を女性に与える可能性があると主張している。

Gardasilは、性行為により伝播し、子宮頸癌の原因となる4種類のヒトパピローマウイルス(HPV)を予防するワクチンである。今回の研究は、3回のワクチン接種のうち少なくとも1回を受けた少女および若年女性19万人の医療データを、別のワクチンを受けた女性またはワクチンを受けていない女性のデータと比較したもの。米フィラデルフィア小児病院のPaul Offit博士は今回の結果について、「心強い結果。このワクチンが安全ではないとの一般的認識がある。否定的な情報に対抗する重要な知見である」と述べている。

CDCの報告によると、11〜17歳の少女のうち推定25%がこのワクチンを接種しているとされ、新しいワクチンの1年目の接種率としては極めてよい結果であると、CDCのLance Rodewald博士は述べている。この調査は少女のみを対象としたものであるため、実際はもっと多くの若年女性がワクチンを受けていると思われる。Rodewald氏によると、Gardasilは極めて忍容性が高く(well-tolerated)、若年齢で接種すれば少なくとも6年は予防効果が持続するという。また、このワクチンによって米国で子宮頸癌による死亡が年間4,000人減少すると期待されている。

副作用の1つに失神(fainting)があるとされ、米食品医薬品局(FDA)は先ごろ製造元のメルク社に対し、接種後15分間は失神がないか医師が患者を監視するよう勧める警告を添付文書に追加するよう求めた。7月には、接種部位の痛みや吐き気など、Gardasilによる8,000例の副作用(副反応)の報告がCDCに提出されたことが報道された。死亡例は15例の報告があり10例が確認されているが、いずれもワクチンによるものではないとCNNは報じている。CDCの研究結果の発表を受けて、メルク社はワクチンの必要性を強調する声明を発表している。
(子宮頸癌ワクチンの安全性を確認)


子宮は、構造的に子宮体と子宮頸に区別されます。子宮体は上部2/3で、最上部の子宮底と子宮峡部からなります。一方、子宮頸は下部1/3部で、腟上部と腟部からなる長さ約2.5cmの円柱部を指します。

一般に子宮癌と呼ばれていものには、子宮頸癌と子宮体癌の2種類があり、簡単に言ってしまえば、子宮の入り口(頸部)にできるのが子宮頸癌であり、奥の袋状の部分(体部)にできるのが子宮体癌です。

年間子宮頸癌(頸癌)罹患数は、上皮内癌を除いて1998年に7,012人と推定されています。好発年齢は40歳程度で発生率が高いとされています。年齢別にみた子宮頸部がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加します。近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。

組織学的には、扁平上皮癌が80〜90%と最も多くみられ、腺癌は5〜10%程度です。扁平上皮癌の発癌にヒトパピローマウイルス(HPV)、特にハイリスク・タイプである16型、18型などの関与が示唆されています(子宮頸癌患者さんの90%以上からHPVが検出されるという)。HPVは、性交渉によって感染します。

子宮頸癌は、子宮腟部の扁平上皮と頸管腺組織の境界領域(SCジャンクションといいます[squamocolumnar junction])の頸管側に扁平上皮化生や異形成を経て発生します。この過程に、ヒトパピローマウイルス(HPV)の関与しており、HPVが持続感染(他のタイプのHPVは、一時的に感染しても治癒することが多い)することで、子宮頸癌が発生すると考えられています。子宮頸癌患者の90%以上から、HPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤がんへの進展がみられやすいとされています。

実はHPVは、100種類以上の型があります。子宮頸がんに関連するのは、15の型に絞られます。そのうち16、18、33、52、58型が高危険型に分類され、欧米で7割の子宮頸がんが16、18型に起因するそうです。日本人には比較的52、58型が多いですが、16、18型がやはり全体の6割を占めます。

子宮頸癌では、浸潤前癌は無症状であり、子宮がん検診などで細胞診による検診で発見されます。初期の浸潤癌に進行すると、帯下や性器出血の症状を呈することがあります。接触出血を起こすこともあり、性交後の点状出血などが典型的にみられます。

ただし、不正性器出血の頻度と病巣の進行が必ずしも相関しません。腟方向へ進展する例に比べ、子宮内膜方向に発育する例では接触性出血は起こりにくく、性交機会の少ない女性では自覚症状に乏しくなりがちであるといわれています。出血は腹圧のかかる排尿、排便時に起こる傾向もあるので、血尿や下血と思って消化器科、泌尿器科へ初診する例も少なくありません。

また、更年期の女性では月経が不順となるため、癌による性器出血を月経不順と誤認して受診が遅れる例も多いです。さらには、出血を伴わず、粘液性、水様性帯下が主症状となる場合もあります。

腫瘍の発育が進むにつれ帯下の量は多くなり、膿性を呈してきます。性器出血は月経時以外に、多量の出血としてみられることもあります。疼痛が生じてきた場合、進行頸癌となっていると考えられます。

進行し膀胱や直腸を侵した場合には、頻尿や尿意切迫、血尿、便意切迫、直腸出血などそれに関連した症状が出現してきます。腰痛や下肢痛は、大きな腫瘍や尿管閉塞による腰仙部神経の圧迫や腰仙部神経根への癌浸潤の症状であると考えられます。

このように、浸潤する方向によっても症状が異なります。頸癌の局所進展が前方では膀胱、後方では直腸、側方では子宮傍組織から骨盤壁へ、下方では腟へと向かいます。このように進展するため、頻尿や血尿、排尿困難、排便障害、下血、下肢痛、下肢浮腫などが起こりえます。

診断や治療法としては、以下のようなものがあります。
子宮頸癌の診断の基本としては、視触診と組織診があります。視触診には内診があり、コルポスコープ(一種の拡大鏡で、子宮頸部を拡大して観察する道具)による詳細な子宮頸部の観察と、異常部位を狙った、狙い組織診が必須となります。

細胞診はスクリーニングだけでなく、病巣の診断にも欠かせない重要な手段となっています。中には、細胞診でのみ病巣が把握されることもあります。細胞診に異常が認められた場合には、コルポスコピーを行い、狙い組織診を実施することになります。場合によって(確診できない微小浸潤の有無など)は、円錐切除術が行われることもあります。

病理組織学的に確定診断をつけ、内診や全身理学的所見(特に鼠径、頸部リンパ節腫大の有無)、膀胱鏡、直腸鏡、画像診断や腫瘍マーカーなどの補助診断法を参考にしながら病巣の進展程度、占拠部位を把握して臨床進行期を決定します。

臨床進行期分類では、
・0期:上皮内癌
・鬼:癌が子宮頸部限局
  a期:微小浸潤癌
  b期:a期以外の鬼
・挟:腟または子宮傍組織に浸潤するもの
  a期:腟壁浸潤を認めるが子宮傍結合織には浸潤していないもの
  b期:子宮傍組織浸潤の認められるもの
・郡:腟への浸潤が高度であるか、または子宮傍組織浸潤が骨盤壁に達するもの
・鹸:膀胱または直腸への直接浸潤あるいは、遠隔転移があるもの

このように分類されています。手術適応は挟までとなっています。

膀胱鏡、直腸鏡において、粘膜浸潤の有無が分かります。浸潤があればa期となっています。静脈性腎盂膀胱造影では、癌による尿管閉塞像があるとb期であり、手術適応はありません。その他、胸部X線写真、MRI、CTなどによる占拠部位の画像診断が有用です。SCC、CEA、CA19-9、CA125などのマーカーも治療前に測定しておくことも有用です。

治療としては、放射線治療と言った選択肢もあります。国内では手術治療が重んじられているようですが、米国立がん研究所の指針では、1b〜2a期なら「放射線治療」か「手術」のどちらかを選びます。2b期なら手術を行わず、放射線と抗がん剤治療を組み合わせます。一方、日本の指針では1b〜2b期のすべてで手術(広汎子宮全摘出術)を推奨しており、「放射線治療も可能」としています。

郡、鹸頸癌では、放射線治療や抗癌剤治療が選択されます。上記のケースでは、すでに遠隔転移がみられており、根治治療は難しいのではないか、と考えられます。

現在では、子宮頸癌検診も行われるようになり、早期発見できる機会が増えたのではないかと思います。検査法には、細胞診とHPV検査があり、いずれもWHOで子宮頸癌の検診検査として有効性が認められた検査法です。

細胞診とは、子宮頸癌を疑うような異常細胞がないか判定する検査です。子宮頸部から採取した細胞をパパニコロー(Papanicolaou)と呼ばれる染色細胞検体の染色法で染め、異常細胞がないか顕微鏡で観察する検査法です。

細胞は、子宮頸部から綿棒などでこすり取ってきて採取します。検査結果は、日母分類と呼ばれるクラス分類に従って判定されます。正常のクラス気ら、浸潤がんが疑われる癌クラス垢泙蚤減澆靴泙后

HPV検査は、上記にも書きましたが子宮頸癌の原因である、高リスク型のヒトパピローマウィルス(HPV)感染の有無を判定する検査です。具体的には、細胞診と同様に子宮頸部から採取した細胞を用い、HPV感染を判定する検査法です。

上記にもあるように、副作用もありますが、ワクチンによって子宮頸癌の発生率を下がることが期待されます。比較的若年で起こりうる癌なだけに、その予防ができるとなれば、非常に有用なワクチンとなるのではないでしょうか。

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