TVコマーシャルなどで耳にする機会が多くなってきた「ジェネリック医薬品」という言葉。薬代が安くなるということは何となく知っていても、どんな薬がどうして安いのか、知らない人が多いのではないのだろうか。

成分が同じでも価格が違うワケとは?
「お医者さんで処方される薬には、“新薬(先発医薬品)”と“ジェネリック医薬品”の2種類があります。新薬の特許期間が過ぎたあとに製造・販売されるのがジェネリック医薬品で、国が割安な価格を設定しています」
と話すのは、都内の薬局に勤務する薬剤師の妹尾氏。すでに有効性と安全性が確認された成分を使って製造されるジェネリック医薬品は、研究・開発にかかる時間と費用を大幅に抑えることができるため安いのだ。

安さは魅力だが、口に入れるものだけに心配なのが品質。効き目についても気になるところだ。

「ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分で、同じ効果が期待できると厚生労働省が認定しています。薬事法のさまざまな規制のもとで製造されていますから、品質にも問題はありません。薬によっては大きさや味、使用感などが改善されていることもあります」(同)

まずは医師、薬剤師に相談を
高騰する医療費削減への期待から、国が積極的に推進しているジェネリック医薬品だが、誰でも処方してもらえるのだろうか?

「残念ながら、すべての薬がジェネリック医薬品に対応しているわけではありません。また、医療機関によっては扱っていない場合もあります」(同)

薬局に在庫がなくて用意に時間がかかったり、患者が負担する金額は変わらない、といったケースもあるらしい。また、人によっては添加物によるアレルギー反応が出ることもあるので注意が必要だ。

市場シェアが50%を超える欧米各国に対して、日本での市場シェアは10%程度。医療保険制度やコストに対する意識の違いなどから、まだまだ一般的とは言えないジェネリック医薬品。分からないことは、まず医師や薬剤師に相談してみるのが良さそうだ。
(薬代を賢く節約? 「ジェネリック医薬品」って何だろう)


ジェネリック(後発)医薬品とは、製造方法などに関する特許権の期限が切れた先発医薬品について、特許権者でない医薬品製造企業がその特許内容を利用して製造した、同じ主成分を含んだ医薬品を指します。

先発医薬品の特許が切れるとゾロゾロたくさん出てくるので「ゾロ」などと呼ばれていたが、商品名でなく有効成分名を指す一般名(generic name)で処方されることが多い欧米にならって、近年、「ジェネリック医薬品」と呼ばれるようになりました。

新薬の特許は、おおむね20〜25年で、その間は開発した製薬会社の利益が守られます。そこで、この特許のある期間を過ぎた薬が、ジェネリック医薬品として販売されることになるわけです。

政府は、ふくらみ続ける医療費の抑制のため、ジェネリック医薬品使用を普及させようとしています。医師が患者に薬を処方する際、これまでは新薬の使用が「標準」だったのを、後発医薬品を「標準」に転換する方針を固めたようです。

現行の処方せんは、まだまだ新薬が基本です。2006年度の診療報酬改定で、「後発品への変更可」という欄が追加されました。欄に、医師の署名があれば、薬局などで後発医薬品の処方が増えると期待されていました。ですが、実際に後発医薬品が処方されたケースは全体の1%未満の約9,500件にとどまったそうです。まったく普及効果はあまりなかったと考えられています。

そこで、2007年10月には後発薬を一定数量以上、品ぞろえした薬局には調剤報酬を上乗せする検討に入っています。具体的には、原則として1回420円の調剤基本料に加算する考え、とのことです。

患者さんが後発薬を選ぼうとしても、薬局に在庫がなく、あきらめざるを得ないケースが少なくないことから、十分な種類と量の在庫を確保してもらい、患者のニーズに応えられる態勢を整える狙いのようです。平成20年度の診療報酬改定で実現を目指す、とのこと。

こうしたことからも分かるとおり、ジェネリック医薬品は、まだまだ普及しているとは言い難いと考えられます。その理由としては、以下のようなことが考えられます。
厚労省は、後発薬に対する医師の根強い不信感だけでなく、薬局側にも薬の価格が安い後発薬を敬遠し、患者への説明の手間や在庫コストがかかることを嫌う傾向がある、と分析しています。そうなると、在庫に関しては、患者が後発薬を希望しても、品切れだったり、後発薬そのものを置いていなかったりする薬局もあるわけで、先発薬を選ばざるを得ないケースが少なくないそうです。

さらに、新薬の開発費は数百億円とも言われ、世界の巨大製薬会社との開発競争が激化していることから、大手製薬会社には、「国は後発医薬品の普及よりも、新薬に高い薬価を認め、画期的な新薬の開発を促進するべきだ」という意見も根強い状態です。

こうした背景もあり、ジェネリック医薬品が普及するにはまだまだいくつかの障壁が存在しているのも確かです。その安全性に関しても、疑問の声があるのも確かです。ですが、医療費抑制や患者さんの負担減(とくに降圧薬や糖尿病治療薬など、日常的に長く服薬する必要がある人にとって)といったメリットもあり、今後はより普及していくことが望まれると考えられます。

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