女性がん患者の死因トップの乳がんについて、9割近くの女性が関心を持つ一方、実際に自己検診をした人は約4割にとどまっていることが2日、ポータルサイト運営会社「NTTレゾナント」(東京)などの調査で分かった。

調査は9月上−中旬、30代と40代の女性を中心に実施。約2万7400人から有効回答を得た。87.1%が「関心がある」と回答したが、「日本人女性の20人に1人がかかる」「30−64歳の女性がん患者の死因トップ」という現状を知っていたのは、それぞれ24.3%と18.1%だった。

乳がん検診を受けたことがない人は42.9%で、2005年の調査より12.4ポイント減少した。自己検診を行った割合は同年の25.6%から38.9%に、乳房エックス線撮影検査(マンモグラフィー)を受けた割合は同様に15.6%から27.4%に上昇した。 
(9割関心、自己検診は4割、6割は異常ないから受けず−乳がんの意識調査)


乳癌とは、乳房にある乳腺組織に発生する悪性腫瘍のことです。乳癌は、乳腺組織から発生する悪性腫瘍の99%を占めます。乳癌罹患は年間約4万人で、女性が罹る癌の中でトップであり、年々増加傾向にあります。年間死亡は約1万人で、罹患のピークが40〜50歳代にあります。そのため、働き盛りの女性の罹患する癌の中で、乳癌は罹患率・死亡率とも第1位となっております。

乳癌罹患者数は1970年の約3倍で、食事内容の変化(脂肪摂取量の増加や初経年齢の低年齢化などで)今後も増加し、2015年には年間約48,000人の女性が乳癌に罹患すると予測されています。年々増加の一途をたどり、現在、年間約1万人が死亡しています。

多くの女性が乳癌に最初に気づくのは、ほとんどが自分で「しこり」に気づいています。そのほか皮膚陥凹、乳頭からの血性分泌物、乳頭のびらん、疼痛などがみられることもあります。

患者さんは、「乳房にしこりがある」と訴え、痛みを伴わないことがほとんどですが、気がついてから、よく触れるために痛みや圧痛を伴うようになったと訴えることもあります。触れたしこりの大きさの変化も重要な情報となります。

乳腺は乳頭を根とし、乳管が木の枝のように広がり、その先に葉となる腺房がついているといった構造をしています。枝(乳管)と枝の間、葉(腺房)と葉の間は線維性の支持組織や血管で埋められており、弾性に富んだ組織です。そこに実がなるように腫瘍ができると弾性が乏しくなり、硬いしこりとして触れるようになります。

こうして「しこりに気づいて」受診されているということは、逆に言えば、検診にて発見されるのは、たった2割でしかないと日本乳癌学会の大規模調査で判明しています。ただ、胸を触る自己診断で見つかる乳癌の大きさは平均約2cmで、自然に気づく場合は3cm以上が多いとのことです。

乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫です。好発年齢は、線維腺腫は20〜40歳代、乳腺症は30〜50歳代、乳癌は乳腺症よりさらに5〜10歳高いです。頻度は低いですが、鑑別が必要な疾患としては、ほかにも乳管内乳頭腫(血性乳頭分泌を伴う)、葉状腫瘍(急速増大する)、腺腫(乳癌との鑑別は難しい)、副乳、脂肪壊死、異物肉芽腫などがあげられます。

早期癌は、直径2cm以下とされています。ですが、発見時には43%が2.1〜2.5cmに達しており、発見時にリンパ節に転移していた人も、3分の1を占めています。リンパ節に転移しない乳癌の10年後の生存率は約9割と高いが、転移をしていると7割以下に落ちるといいます。

乳癌の検査としては、以下のようなものがあります。
一般的な乳癌のスクリーニング検査としては、問診、触診、軟X線乳房撮影(マンモグラフィー)、超音波検査等が実施され、臨床的に疑いが生じると、生検が実施され組織学的診断により癌かそうで無いかが判別されます。早期がんの発見には、マンモグラフィ検診が有効です。乳癌の死亡率を下げるには、集団検診の受診率を上げることが不可欠とされています。

しこりの訴えがある場合は、その部位を念頭において、まず問診を行います。乳房腫瘤に気づくきっかけ、疼痛、乳頭分泌、腫瘤増大の有無を聴取し、さらに、月経状況、出産・授乳歴、乳腺疾患の既往、乳癌の家族歴、ホルモン補充療法の有無を聴取することが重要です。乳房腫瘤をきたす3大疾患は、乳癌、乳腺症、線維腺腫であり、これらを鑑別することが重要です。

問診の次は、視・触診を行います。腫瘤上の皮膚の陥凹(Delle)、浮腫、発赤、皮膚への癌の浸潤、潰瘍形成などが乳癌の所見としては有名ですが、これらは進行した癌でみられるようです。早期の乳癌や良性腫瘍、乳腺症などでは皮膚所見はほとんどみられません。

また、上肢を挙上したり、手を腰に当てて胸を張ったときに、乳房の一部に陥凹(slight dimple)が現れないかどうかをみておくことも必要となります。これは、Cooper(クーパー)靭帯に乳癌が浸潤し、皮膚との距離が短縮されたために起こる現象です。

乳房の触診は仰臥位で、両手を頭の後ろで手を組み、肘を張って、胸を張るようにした体位で行います。乳癌の特徴的な触診所見は、弾性がやや乏しい硬い腫瘤として触知し、表面は粗いか凸凹で、周囲の乳腺組織との境界がやや不明瞭となります。また、両側の鎖骨上窩と腋窩を触診し、リンパ節の腫脹の有無を調べることも重要です。リンパ節を触知した場合は、個数とともに、それぞれのリンパ節の大きさ、硬さ、可動性などを調べます。

検査としては、超音波検査あるいはマンモグラフィーを行います。
超音波検査では、正常の乳腺は皮膚の下のエコー輝度の低い脂肪に囲まれたエコー輝度の高い均一な像として描出されます。一方、乳腺に腫瘍性病変があるとこの組織構成が崩されて、低エコーの像として描出されることが多くなります。7.5MHz以上の高周波振動子を使うことが望ましとされ、嚢胞や充実性腫瘤の質的診断に有効であるといわれています。

マンモグラフィーでは、描出された腫瘤陰影と石灰化像から、その腫瘤の良・悪性を診断していくことになります。乳癌の典型的な像としては、放射状陰影(spicule)を有する不整形の腫瘤陰影で、周辺の透明帯(halo)を伴わないか、伴ったとしても不均一なものです。また、形状不整の集蔟した微小石灰化像は、乳癌を疑う所見となります。

病歴情報や身体所見、超音波検査やマンモグラフィーの結果に基づき、腫瘍の存在が疑われたときには穿刺吸引細胞診へ進みます。針付注射器で腫瘤を穿刺吸引し、スライドグラスに吸引内容を吹き付け、ただちにアルコール固定、Papanicolaou染色を行い検鏡します。診断は通常の細胞診と同様に細胞の異型度から、class (正常)から class (癌)の5段階で行われます。

乳管上皮の増殖性病変(3大疾患すべてでみられる)では、穿刺吸引細胞診による確定診断が困難な症例があります。その場合は、針生検(Sure-Cut針などの専用キットを用い、糸状の腫瘤組織を採取)による病理組織学的診断が有用であるといわれています。

早期診断、早期治療のためには乳がん検診が不可欠です。「しこりがないから」と安心してしまうのではなく、しっかりと検査を行うことが重要であると思われます。

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