以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

主婦のK・Nさん(43)のコンプレックスは、お世辞にもキレイとは言えない歯。いつかは大きな口を開けて笑いたいと、徹底した歯の手入れを始めることにした彼女は、食べた後はこまめに歯を磨き、さらに歯が白くなる歯磨き粉も使うようになりました。紅茶やコーヒーを飲むだけで歯磨きをし、においの強いモノを食べた後は特に念入りに歯磨きをしていました。結果、2週間で歯ブラシがダメになってしまうほど強く磨くようになっていました。

その年の冬、ようやく歯に自信が持てるようになったK・Nさん。しかし、やがて水を飲んだ時ばかりか、冷たい空気を吸い込んだだけでも歯がしみるように。気になる異変はさらに続き、以下のような症状が現れるようになりました。
1)水が歯にしみる
レストランで水を飲み、歯にしみました。
2)冷たい空気が歯にしみる
外を歩いているとき、冷たい空気が歯にしみてしまいました。虫歯を疑いましたが、特に歯は痛くありません。そこで、今度は歯茎も念入りに磨くようになりました。ところが、念入りに磨いているはずなのに水を飲むと歯にしみました。
3)歯と歯茎の間が黄色くなる
何が原因なのかと歯を鏡で見てみると、歯と歯茎の間が黄色く変色していました。黄色い部分が歯の汚れだと思いこんだ彼女は、さらに力強く歯磨きするようになりました。
4)歯の脈打つような痛み
友人たちと食事に行ったところ、歯の脈打つような痛みを感じました。その痛みが続いていました。
5)温かい飲み物で激痛
冷たい飲み物はとても無理、と思って温かい飲み物を飲みました。ところが、温かい飲み物で激痛が走りました。

その足で歯科医院に向かいました。そこで診断された彼女の疾患名は、「歯髄炎」でした。

歯髄炎とは、種々な刺激(物理的刺激、化学的刺激、細菌的刺激)により歯髄に引き起こされた炎症で、齲蝕(虫歯)から発生するものが最も多いです。簡単にいってしまえば、外部からの刺激や雑菌の侵入が原因で、神経と血管が通っている歯髄に炎症が起き、激痛が走る疾患です。分類法は多種多様ですが、炎症の経過により急性と慢性に、炎症の範囲により一部性と全部性に、口腔との交通の有無により閉鎖性と開放性に、治癒の可能性により可逆性と非可逆性とに区分されます。

具体的には、齲蝕(虫歯)から継発して生じる生物学的刺激、歯の破折、咬耗、摩耗などの物理的損傷や温熱刺激、歯の切削による物理的刺激、歯科材料による化学的刺激などが原因となります。

K・Nさんの場合は、齲蝕(虫歯)ではありませんでした。その原因は、彼女の間違ったブラッシングにありました。1つは、きれいにしようと思うあまり、2週間で歯ブラシがダメになってしまうほど、力の入れすぎたブラッシング。もう1つは、そんなブラッシングを1日何回も続けてしまったこと。

歯の外側のエナメル質は硬いため、歯磨き程度では、簡単には削られません。しかし、間違ったブラッシングで次第に歯茎に炎症が起き、歯茎が下がり始めてしまいました。その結果、歯と歯茎の境目の象牙質がむき出しになってしまいました。

そして、その象牙質の露出が招いた疾患こそ知覚過敏です。冷たい水を飲んだだけで、歯がしみるようになってしまう知覚過敏。ですが、まさか病気だとは思わず、さらに強く磨き続けてしまいました。これこそが知覚過敏の落とし穴。歯の表面のエナメル質に比べ、象牙質は柔らかい組織。歯磨きで削りとられてしまいました。

間違ったブラッシングで歯の象牙質が削られると、歯髄に刺激がより伝わりやすくなってしまい、炎症が発生します。あの脈打つような痛みが出始め、ついに歯髄炎を発症してしまいました。

歯科受診の主訴の多くは歯痛です。歯髄は象牙質の内側にある組織で、神経が豊富で痛みに敏感です。齲蝕などの刺激が歯髄に加わると歯髄神経から神経ペプチドが放出され、炎症性滲出物が生じ歯髄内の間質圧が上昇します(歯髄炎では、歯髄の中で炎症が広がり、組織が腫れあがろうとします。しかし、歯髄は象牙質に囲まれているため、腫れあがることができず、神経を圧迫してしまいます)。さらに、閉塞や血栓を形成して歯髄全体が壊死に進行します。

治療としては、以下のようなものがあります。
軽度のものは歯髄保存療法、進行したものは歯髄除去療法により炎症の進行を阻止することが必要となります。

齲蝕や知覚過敏などに継発する歯髄疾患には、抜髄による対応が一般的です(ただ、最近は抜髄・根管充填処置を受けた歯が破折しやすく、過剰治療と指摘されています)。

そこで、消炎鎮痛療法、直接・間接および暫間的間接などの覆髄法、生活・失活歯髄切断法の一部除去療法などの保存療法を検討し、歯髄を含めた歯質の保存が重要となります。歯髄炎が進行した場合は、麻酔抜髄法もしくは失活歯髄法による全部除去療法が適応になります。

現在、日本人の4人に1人が知覚過敏だと言われ、20代から50代に多く発症するといわれています。だからこそ、歯髄炎になる前に、早期に治療することが大切です。また、正しいブラッシングをすることが重要です。正しいブラッシングでは、
〇ブラシは軽く持つ
¬喟茲鮖に垂直に当てる
2に1本ずつ細かく磨く
といったことが重要になります。強く磨きすぎないようにお気を付けください。

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