女優・大原麗子(62)が11日深夜に都内の自宅で転倒して、右手首を骨折するなどの重傷を負っていたことが14日、分かった。大原は、自宅のインターホン越しにデイリースポーツの取材に応じ、ギラン・バレー症候群という難病の再発がケガの原因と説明した。全治2〜3ヶ月の見込みで、しばらくは自宅で療養する予定という。

難病の再発が大ケガにつながってしまった。大原によると、11日深夜に自宅ガレージに物を取りに行こうとしたところ、足もとがふらついて前のめりに転倒。右手首と両ひざを強打し、あまりの激痛に自ら救急車を呼び、都内の病院に搬送されたという。

診察の結果、右手首の骨折と両ひざ打撲が判明。手術は回避でき、骨折個所はギプスで固定。12日午前にはタクシーで帰宅したという。現在の状態については「腕は通常の3倍くらい(に腫れて)、指先までうっ血して紫色です」という。
 
転倒の原因について、大原は「ギラン・バレーは何度も再発して、今回もそのせいで転んでしまいました」と説明。ギラン・バレー症候群とは、筋肉を動かす運動神経の障害のため、急に手や足に力が入らなくなる病気で、10万人に1〜2人がかかる難病とされている。
 
大原は99年ごろから同症候群の治療のため芸能活動を休止。03年ごろには復帰したが、最近は91歳の母の介護もあって、再び休業中だった。今回のケガによる仕事のキャンセルなどは特になく「それはよかった」という。
 
10月末にペンを握ろうとした際に手がふるえて、ギラン・バレー症候群の再発を自覚。21日には掛かり付けの医師に診療の予約を入れていたが、その前に負傷してしまった。
 
「今はギラン・バレーも再発しているし、すごく疲れています」という大原。13日は62歳の誕生日だったが、しばらくは自宅療養でケガのリハビリと同時に再発した難病と闘っていくことになる。
(大原麗子、ギラン・バレー症候群再発)


ギラン・バレー症候群とは、急速に発症する四肢筋力低下と腱反射消失・減弱を主徴とする自己免疫性末梢神経疾患です。急性の先行感染(下痢症状や、上気道感染による感冒様症状など)から1〜3週間後に、急性に筋力低下と感覚障害を主徴として発症します。

筋力低下は、通常2週以内にピークに達して、徐々に回復していきます(ただし、全国調査によると,日常生活に支障をきたす後遺症を残した患者が21%を占めていたという報告もあります)。

原因は、先行感染が引き金となって生じた自己の末梢神経の構成成分に対する抗体による異常な免疫反応であると考えられています。約2/3で先行感染がみられ、EBウイルス、マイコプラズマとともにCampylobacter jejuni感染に伴う例が知られてきています。Campylobacter jejuni感染に伴う例では、血清の抗ガングリオシド抗体(抗GM1抗体)が上昇している場合が多いです。

こうした異常な自己免疫反応による節性脱髄を主病変とし、通常軸索は保たれます。崩壊した髄鞘はマクロファージによって清掃されますが、この段階で病変の進行が停止すれば髄鞘は再生し、機能的にはほぼ正常に回復します。

ただし、典型例以外に、非定型例として軸索変性を主とする軸索障害型や、深部感覚障害に基づく運動失調を主徴とする感覚障害、自律神経症候を主徴とする急性自律神経ニューロパチー、Fisher症候群などもGuillain-Barre症候群の特殊型とされます。

症状としては、症例の60〜70%に感冒様の前駆症状を認め、多くの例では前駆症状がいったん消失・軽快した後、1〜3週間を経て発症がみられます。症状の発現は急性であり、通常1日〜2週間進行し症状が完成します。

一般的には、手指・足先のジンジン感などの異常感覚(痺れ感)がみられ、同時に進行性の筋力低下がみられます。筋力低下の分布は症例によってさまざまですが、四肢筋、顔面筋、外眼筋、咽頭・喉頭筋、さらには呼吸筋をも障害することがあります(呼吸筋麻痺例では人工呼吸器の装着が必要)。

脳神経では顔面神経麻痺の頻度が最も高く両側性の麻痺が多いです。感覚障害は病初期にみられます。感覚障害は四肢遠位部優位の左右対称性の手袋・靴下型のしびれ感の頻度が高く、明らかな感覚低下の頻度は低いです。四肢末梢の異常感覚以外は軽度のことが多いですが、高度の感覚障害や感覚性運動失調を示す例、あるいは根性痛の高度例がみられこともあります。

自律神経障害は運動麻痺と並んで重要な症候です。自律神経徴候として,著明な血圧の変動、発汗低下、徐脈などが認められることがありますが、洞性頻脈が最も多く、時に不整脈、asystole(不全収縮)がみられる場合があり、重篤な場合は心電図モニターなどによる厳重な管理が必要となります。ほかにも手掌・足底の多汗、起立性低血圧、高血圧、腸管麻痺、排尿障害などがみられこともあります。

治療としては、以下のようなものがあります。
急性に発症し、第4週までに極期に達し、進行停止2〜4週間以内に回復期に入ります。軽症例では自然治癒の傾向が高いですが、重症例では呼吸筋麻痺に対する人工呼吸器、不整脈・頻脈に対する心電図モニターと処置、嚥下障害、尿路・呼吸器感染症の対策など、厳重な全身管理が必要となります。

一般には、予後良好で6か月以内には症状の完全回復する例が多いですが、約5〜20%の例では軽度の運動麻痺や感覚障害を残してしまいます。特に、呼吸筋麻痺や重度の自律神経障害などを生じた例のなかには、死亡したり、重篤な後遺症を残す場合もあるので注意が必要です。

急速進行例、呼吸筋麻痺、球麻痺、自律神経障害(重度不整脈、血圧変動など)の合併例は、高度医療の可能な医療機関に移送し、心電図モニター、呼吸管理、経腸栄養などが施行できる集中管理室において治療することが望ましいとされています。

パルス療法も含め、ステロイド薬単独投与の有効性は否定されていますが、免疫グロブリン大量静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)単独よりもメチルプレドニゾロン(mPSL)との併用で、自力歩行が可能となるまでの期間が短縮する傾向がみられるといわれています。こうした免疫グロブリン大量静注療法IVIgとメチルプレドニゾロンmPSLとの併用療法が、第1選択と考えられます(ただし、再投与の有用性については確認されていないと言われています)。

また、リハビリテーションでは高度な自律神経障害に注意し、静脈血栓症、肺塞栓症の予防目的以外に、廃用性筋萎縮、関節拘縮予防のため早期に開始する必要があります。

上記のケースでは、果たして本当にギラン・バレー症候群の再発があったのか不明ですが、重傷を負ってしまったことは確かなようです。しっかりと静養していただければと思われます。

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