アスペルガー症候群というのは、知的障害がそれほどないが、周り人の気持ちを汲み取れないなどの、対人関係の障害が出る「知的障害がない自閉症」として知られています。

イギリスで10歳の少女が本を読んでいて、自分がアスペルガー症候群だと気づいたというニュースがありました。Telegraphによると、10歳の少女ロージー・キングちゃんは、自閉症と診断された少年ジョナサンの目線で書かれた本「リトル・レインマン」"Little Rainman" を読んでいたそうです。

その本は自閉症の兄弟・姉妹を持つ子供に自閉症のことを教えるための本なのです。

彼女の弟レニー君(6歳)は4年前に、アスペルガー症候群であるとの診断を受けました。そのため両親リチャードさん(43歳)、シャロンさん(38歳)は、そのことをロージーちゃんに知ってもらうために本を渡していたのです。

母親のシャロンさんと一緒にページをめくり、アスペルガー症候群についての説明を読んでいると、彼女は、「これは私のことかもしれない」と言ったのだそうです。

シャロンさんは「最初は信じられなかったけれど、いろいろ思い当たるところもあった」

「弟のレニーが小さい時に診断されたことから、彼が自閉症的であることはわかっていたけれど、それに比べて、少し変わったところはあったけれどロージーは快活な社交性のある子供だと考えていた」と伝えています。

そのことで彼女のことも両親は注視するようになり、専門家に見せることにしました。するとマイルドなアスペルガー症候群だと正式に診断されたそうです。

父親のリチャードさんは「アスペルガーの子供は他者との対人関係で問題が出たり、精神的なトラブルが表に出やすいものだが、ロージーは他人にとても興味を示していた」と述べています。

しかしながら、「今後の対処を考えると本を読んで判断ができたことはよかった」と言っています。

「3人の子供たちとの生活に満足していて、特に何かを変えたいと思わない」とリチャードさんは続けます。

ロージーちゃんは映画を作ったり、発明家になりたいそうで、アスペルガー症候群のことについては、「アスペルガーを持ってることは、私は他の人とは違うものを持っていることになるので、とてもいいわ。想像力がふくらむの。」と伝えているようです。
(10歳の少女が本を読んで自分をアスペルガー症候群と診断する)


アスペルガー症候群は、対人関係やコミュニケーションの障害、限局され特異的なパターンの関心などの点で自閉症に類似しますが、言語の遅滞があまりなく運動の障害を示す点で自閉症と異なるといわれています。

自閉症の上位概念として広汎性発達障害があり、非定型自閉症、小児期の崩壊性障害、アスペルガー症候群、レット症候群などが含まれます。また、自閉症は症例が多彩であり、健常者から重度自閉症者までの間にははっきりとした壁はなく、虹のように境界が曖昧であるため、その多様性・連続性を表した概念図を自閉症スペクトラムや自閉症連続体などと呼びます。

知的能力が低くない自閉症のことを高機能自閉症と呼び、また、知的能力の優劣に関わらず、一部の分野で驚異的な能力を有する場合もあり、その驚異的な能力を有する者をサヴァン症候群と呼ぶようです。

自閉症は男性に圧倒的に多く、頻度は1,000人に2人以下であるといわれています。原因は不明であり、脳機能障害が推定されています。精神発達遅滞の合併頻度は70〜80%と高く、認知機能には特異的な不均衡さがあり、時に特異的に良好な記憶力を示すことがあります。

自閉症とアスペルガー障害は、ともに広汎性発達障害に属する障害です。自閉症は、
ー匆馘相互反応における質的異常
▲灰潺絅縫院璽轡腑鵑亮租異常
制限された常同的で反復的な興味や活動
これら3つを必須症状とします。アスペルガー障害の場合は、この3つの症状のうちで、言葉の文法的側面には遅れはほとんど認められませんが、言葉の使い方やイメージ機能に遅れや偏りがあることが特徴的です。ICD-10の診断基準では、2歳までに単語、3歳までに意思伝達に2語文を使うなど、早期の言語発達はほぼ正常でなければならない、とされています。

具体的には、
・高機能自閉症に比べ、言語性IQが高く動作性IQが低い。
・他人との共感に乏しく、一方的な対人関係で孤立。
・衒学的で表情に乏しい。
・天候や時刻表などの話題に夢中で風変わりな印象を与える。
・運動面に遅れや不器用を示す。
こうした特徴があるといわれています。

アスペルガー症候群の診断は、2歳過ぎより可能となりますが、知的に遅れのない高機能自閉症や、アスペルガー障害では小学校低学年以降と遅れることがあります。その後、年齢とともに社会生活に適応できることが多くなるようですが、一方で合併症が出現したり、いじめの対象となったり、不登校などの原因ともなってしまうようです。

子供の成長や発達には個人差があり、「もう少し大きくなれば大丈夫ですよ」などと医師は説明しがちであるため、幼児が自閉症であると診断されるまでに、長く時間がかかるケースがあるそうです。

治療としては、以下のようなものがあります。
年齢と認知の発達段階を考慮して治療計画を立て、多職種間の連携のもとに行います。また、家族や本人の悩みを受け止めることが基本となります。幼児期では安定した母子関係の確立から始まり、発達段階に応じた療育を行います。

TEACCH(Treatment and Education of Autistic and Related Communication-handicapped Children)も治療効果があるといわれています。TEACCHとは、「自閉症及び関連するコミュニケーション障害の子どものための治療と教育(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped CHildren)」のことであり、自立を目指したプログラムを一般的には指すようです。

自閉症の人達の特性を文化ととらえ共に生き、共同治療者として親の立場・意見を尊重し、連携することを基本理念においています。主に行動療法によって、自立する道を探っていくようです。

異常行動を標的として、薬物療法が行われることもあります。標的となる随伴症状には、興奮、不穏、不眠、こだわり行動、多動、自傷、常同行動、パニック(かんしゃく)などがあります。また、思春期以降では、対人関係の困難に伴う適応障害と合併症が標的となります。

具体的には、興奮などの随伴症状に対して抗精神病薬であるリスペリドンやハロペリドール、抑うつ状態・強迫症状あるいは反復症状に対してSSRI、多動や注意障害に対して塩酸メチルフェニデート、かんしゃく発作、衝動性、気分変調に対して抗てんかん薬であるカルバマゼピンなどが用いられます。ただし、これら薬物療法はあくまでも対症療法です。

アスペルガー症候群であっても、周囲の受容などがあれば、特性を活かすことができると考えられます。障害ではなく個性であるといったとらえ方が重要であると改めて考えさせられました。

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