以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

今年9月、胃ガンを宣告されたK・Yさん(73)。再検査で測定した結果、癌は直径2冂度の隆起型と判明。幸い早期のものだったため、最新の内視鏡手術を勧められました。そして2008年10月下旬、日本有数の癌専門病院「癌研有明病院」で手術を受けることになりました。

K・Yさんの受けた手術は、内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)と呼ばれるものです。ESDとは、5層ある胃壁の上から2番目「粘膜下層」にヒアルロン酸を注入。患部を盛り上げて癌細胞を削ぎ取る、内視鏡を使った手術法です。

そもそも、早期胃癌に対する内視鏡的治療として内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)が普及していますが、EMRの場合はその適応は2001年に日本胃癌学会によって発表された基準(胃癌治療ガイドライン)すなわち
(化型腺癌
粘膜内癌
2cm以内
つ掾臀蠍がない

に則って行われています。そのため、本例のようなケース(直径2冂度)ではEMRの適応外となってしまうわけです。

ですが、2cmを超える大きな病変に対しても一括切除が可能であるEMRの変法が開発されました。それこそが、内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)です。適応はひろがりましたが、ESDはEMRに比べる
ーN纏間が長い。
偶発症(出血、穿孔)が起こりやすい。
手技の習得が難しい。

などの欠点もあります。ですが、2006年度から保険適応がなされるようになり、費用の面での問題がクリアされ、施行施設もみられるようになっています。

ESDの利点としては、何と言っても患者さんの負担が小さいことでしょう。通常の胃癌切除手術の場合、開腹し胃の半分以上を摘出するため、最低でも2週間の入院が必要です。しかしESDなら患者の負担は大幅に軽減されます(開腹の必要がなくなる)。その結果、3泊4日という短期間で退院できるようになります。

ESDの手順は、以下のような流れになっています。
まず鎮静剤で患者さんの意識をなくします。次に口から内視鏡を挿入します。病変部の癌を確認し、胃壁全体に染色液を散布します。すると、癌と正常な組織の境が、はっきり見えるようになります。

それから電気メスを使い、癌を囲むように印をつけます。次に5層ある胃壁の2層目、厚さわずか2〜3 mmの粘膜下層に、ヒアルロン酸を注入します。すると、切除する部分を盛り上がってきます。

そしてITナイフ2と呼ばれる最新の電気メスで薄く削ぐように患部を切除します。切除中に出血がみられれば、通電によって凝固を行います。切除後に摘出を行います(胃、食道、口腔を通ってそのまま摘出)。

最後に患部の出血を止めます。止血クリップをセットして終了です。止血クリップは傷が治れば自然にとれて体の外に排出されます。順調にいけば、全行程で1時間程度です。開腹手術に比べ、わずか3分の1というスピードとなっています。
 
実際に午後2時過ぎに始まったK・Yさんの手術は、およそ1時間半後に終了しました。入院2日目、切除した部分に出血がないかを内視鏡で確認します。術後の経過は良好で、昼食からはもう流動食の食事が出来るようになりました(重湯など)。入院3日目からは固い物を含む食事を3食食べることが出来ました。そして4日目、K・Yさんは3泊4日の治療を終え、無事退院しました。

ESDの詳しい様子などは早期胃がんの内視鏡的治療に写真付きで掲載されています。

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