お笑いコンビ「FUJIWARA」の原西孝幸(37)の母・尚子(なおこ)さんが、3日午前5時頃、大阪府寝屋川市内の自宅で不整脈発作のため亡くなった。62歳だった。

所属する吉本興業が6日、明らかにしたもので、原西は「突然のことで私自身の気持ちの整理もままならない状態なのですが、今はただ感謝の念でいっぱいです。私にとって最高の母親でありました」とFAXでコメント。近親者のみで4日に通夜、5日には葬儀・告別式が営まれ、原西も参列した。
(FUJIWARA:原西の母が急死「私にとって最高の母親でありました」)


不整脈とは、正常洞調律以外の心臓電気現象(刺激生成および興奮伝導)の異常の総称を指します。調律(リズム)の異常と、心房および心室の拍数(レート)の異常があります。

たとえば、調律の異常にはペースメーカー部位の異常(移動)や期外収縮、伝導ブロックがあり、拍数の異常には徐脈、頻脈、頻拍、粗動、細動があります。分類としてはレートが50拍/分以下の徐脈性不整脈と、100拍/分以上の頻脈性不整脈に分けられ、後者はさらに上室性不整脈と心室性不整脈に分けられます。

徐脈性不整脈は、刺激生成異常を主とする「洞不全症候群」と興奮伝導障害である「房室ブロック」に大別されます。30/分以下の極端な徐脈や数秒間以上に及ぶ心停止をきたし、強いめまいやAdams-Stokes症候群を呈する場合には、心電図でこれらを確認したら、直ちに心拍数を増加させ循環を保持するため緊急一時的ペーシングを行う必要があります。

自覚症状は徐脈あるいは心停止に伴う脳虚血症状が主体で、最も重症なのが失神、痙攣をきたすAdams-Stokes症候群です。その他、めまい、立ちくらみ、眼前暗黒感、頭から血が引く感じ、胸部不快感、動悸などを訴えます。

洞不全症候群は高齢者に多く、加齢に伴うものや原因の特定ができない特発性のものが多いといわれています。その他、虚血性心疾患、心筋症、心筋炎、弁膜症、神経筋疾患、変性疾患などによるものもあり、また迷走神経の関与も大きいです。

分類としては、心電図所見と病態から以下の3型に分けられます(Rubenstein分類)。
?型持続性で高度の洞性徐脈:?型の特徴は心拍数50/分未満の高度の洞性徐脈が日中活動時にも持続している点で、運動負荷試験などを行っても心拍数増加反応が鈍いです。
?型洞房ブロックまたは発作性洞停止:?型は発作性に繰り返す洞房ブロックや洞停止が特徴で、しばしばAdams-Stokes症候群を伴います。長い心停止の際は房室接合部からの補充収縮を認めることが多く、これと洞収縮との二段脈(escape bigeminy)を示すこともあります。
?型徐脈頻脈症候群:?型は発作性心房細動や心房粗動が自然停止する際に洞停止をきたす場合をいい、頻脈と徐脈が混在することから徐脈頻脈症候群と呼びます。
房室ブロックの原因としては、刺激伝導系の変性、線維化あるいは一過性の虚血、炎症によって生じます。虚血性心疾患、心筋炎、心筋症のほか、弁膜症、高血圧性心疾患、電解質異常、迷走神経過緊張、β-遮断薬、Ca拮抗薬、ジギタリスなどの薬剤の影響でも起こりえます。また、心臓手術後、カテーテルアブレーション後の発生も少なくないです。稀に先天性房室ブロックもみられます。

洞調律時(リズムが規則正しい状態)の心電図で?度、?度、?度房室ブロックに分類されます。また、?度房室ブロックはさらにウェンケバッハ(Wenckebach型と表記する。モビッツ?型とも言われる)型とモビッツ(Mobitz)?型に分けられます。
?度:房室伝導時間の延長のみを示します。
?度は、房室伝導時間が徐々に延長し、心房興奮が1拍心室に伝導されず、その後これを繰り返すウェンケバッハ型ブロック、そして房室伝導時間の延長を伴わずに突然心室への伝導が途絶するモービッツ?型ブロックがあります。
?度は、完全房室ブロックと呼ばれ、心房興奮がまったく心室に伝導されず、心房が補充調律(本来、電気刺激が起こるはずの洞結節より下部から興奮が発生し、心臓全体のリズムを支配している状態)となっているものを指します。

頻脈性不整脈には、以下のようなものがあります。
頻脈で緊急を要するのは意識低下と心不全です。頻拍では心室レートが200拍/分を超えるとしばしば失神を伴い、また血圧も低下するため意識レベルが低下してしまいます。

さらに、頻脈が持続すると左室への血流の流入が阻害され、肺うっ血をきたします。特に、心機能低下例や高齢者では、頻脈により肺うっ血をきたしやすいです。診断は不整脈の診断にとどまらず、緊急停止処置を要する状態であるかどうかを把握することが重要です。

心電図上、以下のように分類されます。
上室性頻脈:QRS波形は正常波形を示します(narrow QRSと呼ぶ)。ただし脚ブロックや変行伝導によりQRSの幅は広くなることがあります(wide QRSと呼ぶ)。
?心房細動・粗動:Pは認めず、fまたはF波を認めます。後者は?、?、aVF誘導の波形から、通常型と稀有型に分類されます。
?発作性上室頻拍:洞結節内リエントリー、心房内リエントリー、房室結節性リエントリーおよび房室回帰頻拍からなります。洞結節内リエントリーではP波の波形は洞調律時と同一になります。房室結節性リエントリー、房室回帰頻拍ではPはQRSに重なるか直前か直後に認められます。
?WPW頻拍:洞調律時にデルタ波を示します。Kent束を心室から心房へ伝導する回帰頻拍では、潜在性WPW症候群における房室回帰頻拍と同じくnarrow QRSからなる頻拍を示します。P波はQRSの後に出現するが不明なことが多いです。一方、wide QRSからなる頻拍は、Kent束を介して心房から心室への伝導が生じます。
心室性頻脈
?心室頻拍:wide QRSからなる頻拍でQRS波形の一定したものを単形性心室頻拍と呼びます。1拍ごとに波形が変化するものを多形性心室頻拍と呼びます。
?心室細動:QRS、ST-Tが同定できない奇妙な振れのみとなります。心拍出量は消失し、脈は触れません(心停止)。
主立ったものとしては、このように分類されます。頻脈による意識低下や不穏状態を認めれば、直流通電の適応となります。全身状態を確認するとともに、脈拍、血圧および心電図記録を直ちに行う必要があります。

原西尚子さんが、どのような不整脈で亡くなったのかなどは不明です。テレビでお見かけすることもあり、突然の訃報に非常に驚きました。ご冥福をお祈りしたいと思います。

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