インフルエンザワクチンはほとんどの人にとって安全だが、一部の人ではワクチンによってアレルギー反応をはじめとする危険な合併症が生じることがある。
 
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、以下に当てはまる人は、インフルエンザの予防接種を受ける前にまず医師に相談する必要があるという:
・卵アレルギーのある人。
・過去にインフルエンザの予防接種を受けて重篤な副作用(副反応)を起こしたことのある人。
・生後6カ月未満の乳児。
・過去に接種を受けてから6週間以内にギランバレー症候群を発症した人。
・熱がある場合は、体調の回復を待ってから接種を受ける。

(インフルエンザワクチンへのアレルギーに注意)


インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、このうちA型(香港型H3N2、ソ連型H1N1)とB型がヒトのインフルエンザの原因となります(C型は小児期に感染し、呼吸器感染症の原因となる。ただし、明確な流行の形をとらない)。

一本鎖ネガティブRNAを遺伝子としてもち、A,B型は8分節(HA、NA、PA、PB1、PB2、M、NP、NS)、C型は7分節HE、PA、PB1、PB2、M、NP、NS) からなっています。このRNAは容易に組み換えがなされ、たとえば、1つの細胞に2種類のインフルエンザウイルスが感染していた場合など、新たなウィルス形成が容易にできてしまうという特性を持つと考えられています。

A、B型では、粒子表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)が存在します。A型インフルエンザウイルスにはHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)の変異が特に多く、年によって流行するウイルスの型はかなり異なります。そのため、A型は世界的に大流行が起こる可能性が高いと言われています。

感染すると、1〜2日の潜伏期の後、突然の発熱(38℃以上)、頭痛や全身の筋・関節痛などで発症し、鼻汁・鼻閉や咽頭痛、咳嗽などの呼吸器症状を呈します。通常、約1週間の経過で自然に軽快しますが、高齢者や慢性肺疾患などの基礎疾患をもつ患者では肺炎球菌やインフルエンザ桿菌などによる二次性の細菌性肺炎、小児では中耳炎を合併する場合があるので注意が必要です。

インフルエンザワクチンとは、毎年冬期に流行するインフルエンザを予防するために接種されるワクチンを指します。血中の抗体価を高めることにより罹患率を低下させることを目指して、皮下に注射します。

一般的には、ウイルス表面の糖蛋白であるヘムアグルチニン(HA)などを含むHAワクチンが用いられています。ただ、このワクチンは流行予測に基づいて製造されるため、流行ウイルス株とワクチン株が異なる時は、その予防効果が低下してしまいます。現行のワクチンは不活化ワクチンですが、これはインフルエンザウイルスをエーテル処理により脂質を除去した後に遠沈・精製したHAワクチンです。

ワクチン摂取を行う際に注意すべき点としては、以下のようなものがあります。
禁忌例として挙げられるのはまず鶏卵アレルギーで、鶏卵・鶏肉その他鶏由来の食品摂取によって下痢、発疹などをきたしたことがある場合は使用できません。これは、ワクチンがインフルエンザウイルスをふ化鶏卵培養で増殖させたものを出発材料としてつくられているためです。なお、以前の接種で2日以内に発熱あるいは全身的な発疹の出現をみた例では、アレルギーの存在を疑い、接種には特に慎重を要します。

一般的な副作用としては、接種局所にみられる副作用として疼痛、発赤、腫脹、硬結、そう痒、熱感などがあります。全身的な副作用として発熱、頭痛、悪寒、全身倦怠感を呈することもあります。ですが、大半は2〜3日で消失し、多くは格別の対策を必要としませんが、必要であれば対症療法を行い経過を観察します。また、稀ですがアナフィラキシーショックを起こすこともあります。

その他重症な副作用として、急性散在性脳脊髄炎acute disseminated encephalomyelitis(ADEM)があります(発生頻度は0.1%未満)。このほかには、Guillain-Barre(ギラン-バレー)症候群などが挙げられます。

さらに、ほかのワクチンとの接種間隔は、先行して接種されたワクチンが生ワクチンの場合には4週間以上間隔をあける必要があります。また、不活化ワクチンの場合は1〜2週間間隔をあけることが原則となります。

このような注意点をご留意の上、ワクチン接種を受けられることが望まれます。とくにお子さんやご高齢の方では、摂取すべきなのではないか、と考えられます。

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