以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。
経営コンサルタント業を営む夫をサポートし、公私ともに最良のパートナーだったI・Yさん(52)。ある日、家の鍵をどこに置いたかわからなくなりました。
それは誰にでもあるくらいの物忘れだったため、夫が病を疑うことはありませんでした。しかし、彼女の物忘れは頻度を増し、ある時は財布を、またある時は携帯電話と、症状はどんどん進行していきます。具体的には、以下のような症状が現れてきました。
アルツハイマー病とは、初老期〜老年期に認知症を生ずる代表的な変性疾患です。簡単に言ってしまえば、何らかの原因によって大脳皮質の神経細胞が少しずつ死滅し、脳が萎縮、記憶や意欲など生きるために必要な能力が徐々に失われていく疾患です。
記銘力障害、失見当識で発症し、中期には失認・失行のため、日常生活に支障をきたします。ほかにも、物盗られ妄想や徘徊、不眠などの周辺症状のため、介護負担が大きいことも問題となります。
日本では、65歳以上での認知症の約半数がアルツハイマー型痴呆とされています。一般には65歳以上の高齢者に多い病気ですが、40歳から50歳という働き盛りで発症してしまうこともあります。これは「若年性アルツハイマー病」と呼ばれ、通常より進行が早いのが特徴です。
神経病理学的特徴としては、老人斑、神経原線維変化、神経細胞脱落などがあります。上記にもありますが、沈着するβ蛋白が発症に大きく関わっているといわれています。アミロイド前駆体蛋白(APP)から切り出されたβ蛋白が、神経細胞障害を起こし、神経細胞死や神経原線維変化が生ずる、と考えられています。
ほとんどが孤発性(遺伝性がない)のアルツハイマー病ですが、家族性アルツハイマー病では、APP遺伝子やプレセニリン1遺伝子、プレセニリン2遺伝子の異常などが認められます。
症状としては、以下のような3期に分けられます。
I・Yさんは料理の数に不満を言われると、もっともらしく多忙を理由にし、テレビの主電源を切ったことを問い詰められると、一見、理路整然とした言い訳を返しました。実はこれこそ、アルツハイマー病に特有の「取りつくろい」です。
そもそも私たちの脳には、衰えた部分を他の部分が補うという働きがあります。アルツハイマー病で機能が低下した場合でも同じことが起き、本能的に自尊心を守ろうとする防衛能力が働くことから、もっともらしい口実を考えるのだと言われています。
しかも、いつになく大人しい妻の様子に、いったんは違和感を覚えたとしても、声をかけるとすぐいつも通りに戻ってしまいます。このように、一瞬しか症状が現れないため、周囲は「誰にでもあること」と受け取り、病気ではないと判断してしまうのです。
必要な検査や治療としては、以下のようなものがあります。
経営コンサルタント業を営む夫をサポートし、公私ともに最良のパートナーだったI・Yさん(52)。ある日、家の鍵をどこに置いたかわからなくなりました。
それは誰にでもあるくらいの物忘れだったため、夫が病を疑うことはありませんでした。しかし、彼女の物忘れは頻度を増し、ある時は財布を、またある時は携帯電話と、症状はどんどん進行していきます。具体的には、以下のような症状が現れてきました。
1)物忘れが増えるこうした事態に夫も妻の異変を感じ取り、病院に連れて行きました。その結果、Y・Sさんに告げられた診断名は「アルツハイマー病」でした。
上記のように、家の鍵、財布、携帯電話などの物忘れが目立つようになってきました。
2)意欲がなくなる
公私ともに夫を懸命に支えてきましたが、最近はその意欲がどこか減退しているように感じられました。ですが、年齢のせいもあるのか、と自身も周囲もあまり気にしていませんでした。
3)料理の品数が減る
料理の品数が減ってしまい、夫が文句を言いましたが「忙しかった」からだと言って反論しました。
4)冷蔵庫の中に携帯電話を置き忘れる
物忘れ、仕事への意欲の減退、料理の品数が減ったことなど、さまざまな予兆がありましたが、「年のせいか」と判断されてしまっていました。ですが、今度は「冷蔵庫の中に携帯電話を置き忘れる」という、通常では考えられないようなことをY・Sさんは行いました。
アルツハイマー病とは、初老期〜老年期に認知症を生ずる代表的な変性疾患です。簡単に言ってしまえば、何らかの原因によって大脳皮質の神経細胞が少しずつ死滅し、脳が萎縮、記憶や意欲など生きるために必要な能力が徐々に失われていく疾患です。
記銘力障害、失見当識で発症し、中期には失認・失行のため、日常生活に支障をきたします。ほかにも、物盗られ妄想や徘徊、不眠などの周辺症状のため、介護負担が大きいことも問題となります。
日本では、65歳以上での認知症の約半数がアルツハイマー型痴呆とされています。一般には65歳以上の高齢者に多い病気ですが、40歳から50歳という働き盛りで発症してしまうこともあります。これは「若年性アルツハイマー病」と呼ばれ、通常より進行が早いのが特徴です。
神経病理学的特徴としては、老人斑、神経原線維変化、神経細胞脱落などがあります。上記にもありますが、沈着するβ蛋白が発症に大きく関わっているといわれています。アミロイド前駆体蛋白(APP)から切り出されたβ蛋白が、神経細胞障害を起こし、神経細胞死や神経原線維変化が生ずる、と考えられています。
ほとんどが孤発性(遺伝性がない)のアルツハイマー病ですが、家族性アルツハイマー病では、APP遺伝子やプレセニリン1遺伝子、プレセニリン2遺伝子の異常などが認められます。
症状としては、以下のような3期に分けられます。
・第1期(初期):進行性の記憶障害、失見当識、失語・失行・失認、視空間失見当がみられ、被害妄想、心気-抑うつ状態、興奮、徘徊などを伴うことがある。アルツハイマー病は、患者本人が気付くのは極めて困難な疾患です。だからこそ、周囲の人々が異変を察してあげることが大切なのですが、そこにアルツハイマー病最大の落とし穴があります。
・第2期(中期):中等度から高度痴呆の状態。言語了解・表現能力の障害が高度となり、ゲルストマン症候群、着衣失行・構成失行、空間失見当などがみられる。
・第3期(末期):精神機能は高度荒廃状態となる。言語間代(言葉の終わりの部分,または中間の音節部を痙攣様に何回もくり返すような発語障害)、小刻み歩行、パーキンソン様姿勢異常、痙攣発作などが出現する。
I・Yさんは料理の数に不満を言われると、もっともらしく多忙を理由にし、テレビの主電源を切ったことを問い詰められると、一見、理路整然とした言い訳を返しました。実はこれこそ、アルツハイマー病に特有の「取りつくろい」です。
そもそも私たちの脳には、衰えた部分を他の部分が補うという働きがあります。アルツハイマー病で機能が低下した場合でも同じことが起き、本能的に自尊心を守ろうとする防衛能力が働くことから、もっともらしい口実を考えるのだと言われています。
しかも、いつになく大人しい妻の様子に、いったんは違和感を覚えたとしても、声をかけるとすぐいつも通りに戻ってしまいます。このように、一瞬しか症状が現れないため、周囲は「誰にでもあること」と受け取り、病気ではないと判断してしまうのです。
必要な検査や治療としては、以下のようなものがあります。
慢性進行性の認知機能の障害が、診断のポイントとなります。鑑別としては、まず慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、脳炎、正常圧水頭症など治療可能な認知症を除外診断する必要があります。
また、高齢者のうつ病や、せん妄に代表される軽度の意識障害で認知機能の障害を呈することがあり、これらとの鑑別も重要です。
検査としては、頭部MRI写真で大脳のびまん性萎縮がみられます。大脳皮質の萎縮、脳室の拡大、海馬の萎縮が見られます。
治療としては、認知機能の障害を改善する薬物としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とグルタミン酸拮抗薬があります。現在、日本で治療薬として認可されているものは前者の塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)があります。
周辺症状の治療としては、幻覚妄想やせん妄、徘徊に対しては抗精神病薬(リスパダールなど)、抑うつに対しては、抗コリン作用の少ない抗うつ薬(トレドミン、パキシルなど)、不眠に対しては、マイスリーなどの半減期の短い睡眠薬などを用います。
こうした薬物療法だけでなく、脳機能を活性化する非薬物療法(現実見当識を明確にするための心理療法であるリアリティーオリエンテーション、回想法、音楽療法、アニマルアシステッドセラピーなど)を行うことも重要です。デイサービスやホームヘルプサービスを利用してご家族など、介護者の負担を軽減することも大切な治療の1つとなります。
「単なる物忘れ、年のせい」と考えず、一度はこうした疾患の存在を考えてみることも重要ではないかと考えられます。ご家族の異変を感じたら、受診を勧めてみる必要もありそうです。
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本当は怖い物忘れ−老年期うつ病
また、高齢者のうつ病や、せん妄に代表される軽度の意識障害で認知機能の障害を呈することがあり、これらとの鑑別も重要です。
検査としては、頭部MRI写真で大脳のびまん性萎縮がみられます。大脳皮質の萎縮、脳室の拡大、海馬の萎縮が見られます。
治療としては、認知機能の障害を改善する薬物としてアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とグルタミン酸拮抗薬があります。現在、日本で治療薬として認可されているものは前者の塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)があります。
周辺症状の治療としては、幻覚妄想やせん妄、徘徊に対しては抗精神病薬(リスパダールなど)、抑うつに対しては、抗コリン作用の少ない抗うつ薬(トレドミン、パキシルなど)、不眠に対しては、マイスリーなどの半減期の短い睡眠薬などを用います。
こうした薬物療法だけでなく、脳機能を活性化する非薬物療法(現実見当識を明確にするための心理療法であるリアリティーオリエンテーション、回想法、音楽療法、アニマルアシステッドセラピーなど)を行うことも重要です。デイサービスやホームヘルプサービスを利用してご家族など、介護者の負担を軽減することも大切な治療の1つとなります。
「単なる物忘れ、年のせい」と考えず、一度はこうした疾患の存在を考えてみることも重要ではないかと考えられます。ご家族の異変を感じたら、受診を勧めてみる必要もありそうです。
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本当は怖い物忘れ−老年期うつ病