読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
昨年から卵を食べた後にまぶたがかゆくなり、腫れるようになりました。その後、魚や鶏肉、タマネギなどを食べても症状が出ます。対処法を教えてください。(51歳女性)
この相談に対して、国立病院機構相模原病院アレルギー性疾患研究部長の海老沢元宏先生は、以下のようにお答えになっています。
特定の食べ物に繰り返し敏感に反応し、皮膚にじんましん、発赤などの症状が出ることを食物アレルギーと言います。呼吸が困難になるなどし、命にかかわる「アナフィラキシー反応」を起こす場合もあります。卵は、子どもがアレルギー反応を起こすことが最も多い食べ物です。成長に伴い、アレルギー反応を起こさなくなるケースもあります。成人になって発症することは比較的まれです。

症状と食べ物との関連を調べるには、血液検査や皮膚テストをします。血液検査は、血中に含まれアレルギー反応のもとになる「IgE抗体(免疫グロブリンの一つ)」があるかどうかを調べる検査です。皮膚テストは、食べ物の抽出物から作った溶液を皮膚に垂らし、そこに針を刺して発疹が出るかどうかの反応を調べます。血液検査で陰性でも皮膚テストでは陽性になることもあります。

最終的には、アレルギーの原因と考えられる食べ物を食べ、症状が出るかをみる負荷試験で確定します。

アレルギーとは関係なく、「特発性じんましん」といい、入浴後や食後などにまぶたのかゆみ、腫れなどの症状が出ることがあります。血流が良くなって血管が広がり、皮膚を刺激するために起こります。それらを食物アレルギーと自己判断されてしまうこともあります。

食べたもので本当にアレルギー反応を起こしているかどうかを調べるためには専門の医療機関で調べてもらうのがよいでしょう。
食物アレルギーとは、「同一食物を何回か摂取し、少なくとも2回以上、異常な反応が出現する場合」を食物に対する異常反応と定義されています。このなかで、免疫学的機序が明確な場合を食物アレルギーといいます。

ちなみに、免疫学的機序により惹起されるものが食物アレルギーであり、非免疫学的ないしは免疫学的機序が明らかでないものを食物不耐症と呼んでいます。後者には、先天性代謝異常(乳糖分解酵素欠損症など)をはじめとした非免疫学的機序に起因する多様な疾患があります。

消化管で吸収された食物抗原に感作されて生じた抗体や、感作リンパ球が再度消化管から吸収された食物抗原と反応して起こる疾患であると考えられています。摂取された食物が腸管を通過して血管、さらにリンパ管に到達することが必要であり、このプロセスでの経口免疫寛容の破綻と腸管での分泌型IgAの量あるいは機能低下の存在が想定されています。

I型アレルギーを介する場合には、IgE抗体との反応によってマスト細胞より放出される種々の化学伝達物質の作用により症状が発現します。その他祁拭↓厳織▲譽襯ーが関与する場合があると考えられています。

また、食物アレルギーの特殊なタイプとして、食物依存性運動誘発アナフィラキシーがあると考えられます。これは特定の食物を摂取した後、1〜4時間以内にランニングなどの運動負荷が掛かることにより、蕁麻疹とともにアナフィラキシー症状が現れる状態を指します。

運動のみや食物摂取のみでは発症しません。ところが、特定の食物を食べた後に、運動を行うことで蕁麻疹などの症状が現れてきます。日本では、小麦によることが最も多く、他にもエビや牡蠣、セロリなども原因となることがあります。

ほかに口腔アレルギー症候群などもあります。口腔アレルギー症候群は、花粉症の患者さんなどで、リンゴなどの果実によって口腔内のアレルギー症状が起こる病気です。

原因となる食べ物が口腔粘膜に直接接触することで生じるアレルギー反応と考えられています。アレルギー反応を起こしうるものとしては、バラ科の果物(リンゴ、モモ、ナシ、イチゴ、サクランボ)、ウリ科の植物(メロン、スイカ)、バナナ、ジャガイモなどがあります。

これらの原因食品は花粉症の原因花粉類と交差抗原性(アレルギーの原因となる物質が共通して含まれていること)があることが知られており、そのために花粉症の患者さんで症状がみられることが多いと考えられています。含まれる抗原の特徴がきわめて似ているため、こうした交差反応が起こってしまうわけです。なお、果物のアレルギーがある人の場合、ゴム(ラテックス)にもアレルギーを起こす場合があり、職業上ゴム手袋を用いる場合などでは注意が必要と考えられます。

食物アレルギーの症状としては、以下のようなものがあります。
皮膚・粘膜では湿疹、じんま疹、眼瞼浮腫、口唇浮腫などが起こります。消化器系では下痢、嘔吐、腹痛などが起こります。呼吸器系では咳、喘鳴(狭い気管を通る空気によって作られるゼーゼー、フューフューといった口笛のような高い音)、嗄声(かすれ声)、鼻汁、くしゃみ、鼻閉、呼吸困難などが多いです。重症例では、喉頭浮腫による呼吸困難、アナフィラキシーショック、気管支喘息などが起こりえます。

アナフィラキシーとは、外来物質の侵入が原因となり、それに対する急激な生体反応の結果、循環器系や消化器系、呼吸器系、皮膚などの広範な臓器が障害を受ける状態を指します。これが重篤となり、循環・呼吸不全に陥る場合をアナフィラキシーショックといいます。

もともとは、IgE抗体による即時型アレルギー反応によって起こるものとされていましたが(狭義としては、こちら)、同様の症状・経過をとるそれ以外の病態(こちらは、アナフィラキシー様反応と呼ぶこともある)も、広義のアナフィラキシーショックと呼ぶようになっています。

簡単に言ってしまえば、劇症型のアレルギー反応であり、入ってきた異物に身体が過剰に反応し、あらゆる場所が腫れ上がってしまい、最悪の場合、呼吸困難で死に至ることもあります。

♂)秧勝↓気管支喘息様症状、7谿議祺爾典型的な症状であり、原因となる食物、薬剤、ハチ毒などの抗原侵入後、数分以内(抗原侵入5分以内)に症状が発現することが多いです。食物摂取後の体操や、ジョギングなどの運動が誘発する場合もあるため、こうした情報をしっかりと鉢合わせた周囲の人が伝えることが救命において重要です。

初期症状として、皮膚の痒み、口唇や手足のしびれ感、四肢の冷感、心悸亢進、喉頭違和感、悪心、腹痛などが起こります。さらに進展して、ショック症状を呈すると、顔面蒼白、喘鳴、呼吸困難、意識消失、血圧低下などをきたし、非常に危険な状態になります。

しっかりと原因を精査し、もしアレルギーがあるようでしたら、やはり食べないように心がけることが重要であると思われます。重篤な状態になる前に、しっかりと対策を立てることが必要となります。

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