歌手の浜崎あゆみ(30)が24日、仕事中に過労による貧血で転倒し右手を負傷、全治3週間の大けがを負って25日に手術を受けていたことが分かった。浜崎本人が26日、ブログ上で発表した。

けがを負った際のくわしい状況は分からないが、医師の診断によると安静が必要で、26日夜に出演予定だった生放送のテレビ朝日系「ミュージックステーションSP・スーパーライブ2008」(午後7時)は緊急降板する。

浜崎は「こんな大変で大切な時期に、私の自己管理能力の至らなさから、このようなアクシデントを起こしてしまった事、本当に悔しく、無念な思いでいっぱいです」とファンに謝罪。

手術について「とてもこわかった。でも、麻酔を打って、効き始めるまでの間、番長が私の手をぎゅっと握っててくれたんだ」と振り返った。ブログ上で“番長"として知られる浜崎の親しいネイリストが心の支えになっているようだ。

浜崎は、30、31日に東京・国立代々木競技場で行われる恒例のカウントダウンライブを控え、大みそかのNHK紅白歌合戦にも出演予定だが、今後の活動予定はオフィシャルホームページで随時、発表する。

浜崎は今年1月、自身の公式ファンクラブの会員制サイトで、左耳の突発性内耳障害(難聴)が悪化し、左耳がほぼ聞こえなくなっていることを明かしていた。
(あゆ「無念」…貧血で転倒→右手負傷→手術→番組降板)


貧血とは、末梢血液中の赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)濃度あるいはヘマトクリット(Ht)値が低下した状態を指します。一般には、成人男性でHbが14 g/dl未満、成人女性で12 g/dl未満、高齢者では男女ともに11 g/dl未満を貧血としています。

貧血の症状としては、酸素供給が滞ることによる組織の酸素不足・低酸素血症に基づくものと、生体の代償作用が働いて酸素不足を補う機序に基づくものとがあります。

低酸素血症による症候としては、末梢血液中のHb濃度が減少する結果として末梢組織で低酸素血症をきたし、易疲労感(疲れやすい)、めまい、皮膚・粘膜の蒼白などの症候が現れます。「仕事の能率が上がらない」「なんとなく気力がない」などと訴えることがあります。

生体の代償作用が働いて酸素不足を補う機序としては、長期間にわたって貧血が続くと慢性心不全を引き起こし、そのために労作時の動悸、息切れ、浮腫が現れるようになります。

貧血症状の発現には、貧血の程度と貧血が生じる時間的な要因(短時間に貧血が生じるほうが症状は強い)によります。また、個人の心肺の代償能力や基礎疾患などにも左右されます。貧血は診断名というより症状名であり、原因疾患が必ず存在するので、その原因を明らかにする必要があります。

問診と身体診察所見、検査結果などを調べて鑑別診断を進めていくことになります。まずは問診を行い、貧血の自覚所見を調べます。倦怠感、易疲労感、めまい、傾眠、頭痛、集中力低下などは酸素欠乏に基づく症状であり、動悸、頻脈、頻呼吸、息切れは代償的機序に基づきます。ですが、長期に貧血が続くと動悸や頻脈を感じなくなってきます(心拡大や心拍出量の増大で代償するから)。動悸、息切れが強いと、逆に貧血が短期間に生じたことを示唆し、急速に貧血症状をもたらすものとしては、出血か溶血があります。

過去に貧血症と診断されたか、治療法はどうか、その効果はみられたかは重要な情報となります。若年時に貧血があれば、先天性の貧血を疑わせます。また、血縁者に黄疸、胆石症、摘脾術を受けたなどの家族歴があれば、先天性溶血性貧血が疑われます。

不満足な食事、過剰な飲酒は巨赤芽球性貧血に関連します。薬剤は、骨髄抑制や薬剤起因性溶血性貧血を引き起こす可能性もあります。

さらに、大便の色や月経量も参考になります。黒色のタール便は上部消化管からの出血を示唆します。閉経前の女性に関しては、月経の量について問診することも、成人の貧血のなかで鉄欠乏性貧血を疑う上で参考になります。

検査結果からは、赤血球カウント、HbおよびHt値から平均赤血球容積(MCV)が計算され、これを用いて以下のように貧血の鑑別診断ができます。
MCV(fl) = Ht(%)/RBC(106/μl) × 10は、この計算式で求めることができます。MCVの減少、正常、増加はそれぞれ小球性、正球性、大球性の貧血症を表しています。

小球性貧血の代表は鉄欠乏性貧血であり、貧血症のなかでは最も頻度が高いです。慢性疾患に伴う二次性貧血も小球性貧血に属し、成人の貧血のなかで頻度は高いほうです。また、鉄芽球性貧血、サラセミア、先天性無トランスフェリン血症などが頻度は低いがこの群に含まれます。

正球性貧血の群のなかには、溶血性貧血、出血後の貧血、腎性貧血など多くの疾患を含みます。頻度は低くなりますが、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群なども含まれます。

大球性貧血は、巨赤芽球性貧血と非巨赤芽球性貧血とに大別されます。巨赤芽球性貧血はビタミンB12や葉酸欠乏に基づきます。非巨赤芽球性貧血は肝疾患、アルコール中毒、甲状腺機能低下症などに随伴する貧血であり、頻度はこちらのほうが高いです。網赤血球が相対的に増加する、急性出血後や溶血性貧血でもみられます。一部の再生不良性貧血や骨髄異形成症候群でも、大球性貧血を呈することがあります。

貧血を起こす原因疾患を診断することで、治療方針や予後が異なってきます。鉄欠乏性貧血でも、月経過多や消化管腫瘍による慢性出血などといった鉄欠乏の原因を追及し、対処する必要があります。

浜崎さんの場合、どのような原因があって貧血になっているのかは不明ですが、しっかりと貧血の治療を行っていくことが必要であると思われます。

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