リクルートと三井物産が共同出資するアールスリーヘルスケア(東京・千代田)は、インターネットの人間ドック予約サービスを始める。運営する医療情報サイト「ここカラダ」で、全国の医療機関の検査内容や空き状況を確認、予約できるようにする。来年3月までに400医療機関の参加を目指す。予防医療への関心が高まり、人間ドックの需要も増えるとみて情報提供を強化する。

人間ドックは健康保険組合経由で受診する場合など、利用者が個別に医療機関に問い合わせて予約する必要がある。新サービスでは、医療機関がサイトの管理画面にログインし、予約可能な人数など最新の空き状況を変更できる。利用者は希望する受診日や地域、検査内容から医療機関を選ぶ。予約まで完結するのは珍しいという。
(医療サイトで人間ドック予約 アールスリーがサービス)


人間ドックとは、健康人である個人を対象として行われる総合的な健康診断を指します。ちなみに、「人間ドック」という用語は、1954年に新聞で取り上げられたマスコミ報道に始まるそうです。

人間ドックの目的は、生活習慣(ライフスタイル)を変容・改善し、健康増進を図り、疾病の発症を防ぐあるいは減少させることであるといわれています。そのため、個人に対して検査結果に基づいた適切な保健指導を行うことも必要不可欠となっています。単に、検査結果に一喜一憂するのではなく、「今後、生活習慣をどう改めたらいいいのか」といったことを、しっかりと考え直す機会にしていただきたいと思われます。

実は検査の項目は必ずしも一定ではなく、実施施設や健康診断の目的により異なります。そのため、人間ドックには、受診者の要望に見合った種々のメニュー(日帰りドック、2日ドック、総合癌ドック、脳ドックなど)が用意され、その費用もまちまちとなっているようです。

「精密な検査を時間をかけて行う」ということが、人間ドックの特徴ともいえると思われます。こうした意味で、本来概念的に異なりますが、総合健診と呼ばれるものがあり、これがいわゆる「人間ドック」と同義で用いられていることがあるようです。総合検診とは、以下のようなものを指します。
総合検診とは、疾病の早期発見と健康増進を目的として、疾病および健康に関連する諸相を、短時間に多面的な検査手段を利用して把握し事後対応を行うシステムを指します。こちらは、半日程度の時間で実施されるようです。一般的に人間ドック、というと、こうしたものを指すことが多いようにも思われます。

検査項目としては、問診・診察、身体計測、血圧測定、血液・尿検査に加えて、胸部、上部消化管のX線検査、腹部超音波検査などの画像検査、心電図、肺機能などの生理的機能検査、各種癌のスクリーニング検査などがあります。とくに、成人期以降に急増する癌や生活習慣病をカバーする検査項目が繁用されます。

ちなみに、健康診断判定基準(各種の健康診断における検査結果を判定する上での基準)は、コンピュータによる自動総合健診システムの普及に伴って、機械的な数値判定の問題が生じていたりもします。また、病院や各検査機関による判定基準の違いも問題視されています。

結果判定にあたっては、個々の検査結果の数値ごとに正常・異常を判定するだけでなく、経年的な変化や問診内容なども踏まえた総合判定を行うことも必要です。

最近では、人間ドック後に温泉などが楽しめるサービスもあるようです。単なる健康診断だけでなく、プラスアルファを考えることも、良いことかも知れませんね。

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