毎日.jpの名医に聞く治療の最前線に、加齢黄斑変性の治療について掲載されていました。回答なさっていたのは、駿河台日本大学病院眼科助教の松本容子先生です。
最近、どうも真っすぐな線がゆがんで見える。見ようとしたところが見づらい。こんな症状から見つかることが多いのが、加齢黄斑変性です。

加齢黄斑変性は、視力に重要な役割を果たす網膜の「黄斑部」が障害される病気です。目の網膜は、カメラで言えばフィルムのように像を映し出すもの。中でも視力の中心になるのが黄斑部です。黄斑部が障害されると中心部からしだいに見えなくなり、放置すればほとんど失明状態になることもあります。欧米では、高齢者の失明原因の第2位は加齢黄斑変性。身体障害者手帳の取得で見ると、日本では2004年に4位で、高齢者の増加に伴い、日本でも急増している病気です。」

近視や他の原因により50歳以下で黄斑部が障害されることもありますが、加齢黄斑変性は50歳以上の病気。年をとるほど患者が増えること、日本では男性が女性の3倍も多いという報告があります。

高齢者に多いことから、加齢による網膜の老化が原因と言われています。ほかにも遺伝や、喫煙などの生活・環境因子の影響があることが分かっていますが、まだはっきりした原因は分かっていないのが現状です。

加齢黄斑変性は、上記のように加齢に伴い網膜の中心にある「黄斑」と呼ばれる部分に異常が生じる疾患です。網膜の中心部は黄斑とよばれ、ものを見るときに最も大切な働きをします。

この黄斑の働きによって私達は良い視力を維持したり、色の判別を行ったりします。つまり、この部分に異常をきたすと、長い間かかって視力が低下していきます。

加齢黄斑変性は「萎縮型(新生血管の関与がなく、網膜色素上皮細胞や脈絡膜毛細血管板の萎縮を来す)」と新生血管が関与する「滲出型」とがあります。このうち主に治療の対象となり、また高度の視力障害をきたすために問題となるのは滲出型です。

この「萎縮型」と「進出型」のそれぞれの特徴は、以下のようなものがあります。
「萎縮型」は、文字どおり黄斑部が萎縮して傷んだ状態。松本さんによると「視力は低下しますが、進行は緩やかで失明することは少ない」と言います。ただし、今のところ萎縮型には治療の方法がないそうです。

失明という意味で、深刻なのは「滲出型」です。滲出型は、脈絡膜から新しい血管(脈絡膜新生血管)が伸びてきて網膜の下や中(網膜の一番深層にある網膜色素上皮の上)にまで入り込むタイプです。

脈絡膜新生血管はにわか作りの血管なので血液が漏れたり、すぐに破れたりして出血します。こうした出血や滲出液で網膜がむくんだり、網膜剥離などが起こります。そのため「急激に視力が低下し、時には失明に至ることもある」といいます。視野の中心にできた暗くてみえにくい部分(暗点)がしだいに大きくなり、見たいところが見えなくなり、読み書きが困難になるのです。
こうしたタイプによる違いがあります。

加齢黄斑変性は、50歳以上であり、かつ、蛍光眼底造影での脈絡膜新生血管の存在があった場合、診断を確定します(滲出型の場合)。滲出型加齢黄斑変性の診断は主に眼底検査とフルオレセイン蛍光眼底造影で行われ、最近ではインドシアニングリーン蛍光眼底造影や光干渉断層計を併用することで、より精度が高まったといわれています。これらの検査で新生血管の有無と範囲、随伴病変を診断します。

一方、萎縮型では直径175μm以上の境界鮮明な網膜色素上皮−脈絡膜毛細血管板の萎縮といった病巣の存在によって、診断をします。

こうした特性の違いは、治療にも関係してきます(続く)。

【関連記事】
02.加齢黄斑変性の治療−光線力学的治療とは

03.加齢黄斑変性の最新治療−血管新生抑制剤