以下は、最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学で扱われていた内容です。

夫と二人で定食屋さんを切り盛りするI・Tさん(55)は、仕事柄トイレに行きたくても行けないこともしばしば。いつしかおしっこを我慢する癖がしみついていましたが、長年のことで慣れっこになっていたせいか、特に気にも留めていませんでした。

そんなある日、重い袋を持ち上げようとした時、ほんの少し、おしっこを漏らしてしまいます。その日以来、笑った時やお腹に力を入れた拍子に、尿が漏れることが度重なるようになっていきました。

具体的には、以下のような症状がみられていました。
1)尿もれ
重い物を持ち上げようとしたとき、尿漏れをおこしてしまいました。
2)尿意をもよおすがあまり尿が出ない
尿漏れをするようになってしばらくして、今度は尿意がありますが、あまり尿が出ないような状態になってしまいました。そのため、いきんで尿をするようになりました。
3)下腹部に異物感
力を入れて尿を出そうとするようになってから、今度は下腹部にコロコロとした異物感を感じるようになりました。
4)股間からピンポン球のようなものが出る
下腹部に異物感を感じるようになりながらも、しばらく放置していたところ、今度はついに股間からピンポン球のようなものが飛び出してしまいました。

こうした症状がみられ、ようやく病院に行くことになったI・Tさん。そこで告げられた病名は、「膀胱瘤」というものでした。

膀胱瘤とは、骨盤底筋群の脆弱化によって膀胱底部が下降し、腟前壁に覆われたまま腟口から突出する状態を指します。簡単に言えば、膀胱、子宮、直腸などを支えている「骨盤底筋」というハンモックのような筋肉が緩んだ結果、膀胱が膣の隙間から体外に飛び出してしまう疾患です。

中高年女性に多く、50歳以上に多く、約1割の女性が経験すると言われています。原因としては、骨盤底筋群の先天的脆弱性、分娩、骨盤内手術、慢性的腹圧負荷、便秘などがあります。

そもそも骨盤底筋は年を重ねることで、誰でも緩んでいくものですが、特に出産や肥満がそれを助長するとも言われています。しかし、習慣的に尿を我慢し、それが長時間であった場合、必要以上に膨らんだ膀胱が「骨盤底筋」を圧迫、ダメージを与え続けていることになってしまいます。

症状は外陰部違和感、腹圧性尿失禁などであり、腟口から大きく突出する場合には排尿困難を訴え、性器脱や直腸脱を伴うこともあります。

重症度は次のように分類されます。
grade 機х胱頸部の過移動
grade 供腹圧時に膀胱底部が腟口まで到達する
grade 掘腹圧時に膀胱底部が腟口を超える
grade 検О太纏に膀胱底部が腟口を超えて脱出する

I・Tさんの場合、症状は以下のようなことから起こったと考えられます。
膀胱の容量は、通常300〜400cc。私たちは尿がそれくらい溜まると、尿意を催し、排出する・・・ということを繰り返しています。しかし膀胱が一杯になっても、尿を我慢し続けてしまうと、膀胱は常に伸びきった状態になり、「尿が溜まった」と感じる神経が鈍ってしまうのです。

だからこそ、I・Tさんは朝から昼の仕事終わりまで、実に10時間もおしっこを我慢できるようになっていたのです。この時、彼女の膀胱には600ccという通常の倍の尿が溜まっていました。重さで言えば600g、リンゴ2個分の重さが骨盤底筋を圧迫し続けていたのです。こうして骨盤底筋が緩んだことで、尿道を締め付ける力が弱くなり、ついに尿もれを起こしてしまいました。

さらに、「尿意を感じるが尿があまり出ない」という症状は、膀胱が正常な位置から徐々に下がってしまい、尿道が変形したために起きたのです。そして、尿が出にくくなったことで、彼女は大きな過ちを犯してしまいます。それがいきんで尿をするようになったこと。

いきむと、腹圧がかかり、膀胱が膣の方に押し込まれてしまいます。そう、彼女は尿が出ない、出ないからいきむ、さらに膀胱が下がるという負のスパイラルに陥ってしまったのです。そして、ついに膀胱が膣から飛び出るまでになってしまいました。

治療としては、保存的には、腟内にペッサリーを挿入する方法があります。こうした保存的治療が奏効しないとき、排尿困難を伴うとき、脱出が高度であるときには手術療法の適応になります。

手術としては、突出した腟前壁の余剰な部分を切除して縫縮する腟前壁形成術が一般的です。ただ、術後に腹圧性尿失禁を伴う場合もあるので、膀胱頸部吊り上げ術を併用することもあります。

上記のような症状にお困りの方は、泌尿器科を受診なさってはいかがでしょうか。

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