NHKは28日までに、総合テレビで放送中のドラマ「Q.E.D.証明終了」で、心臓ペースメーカーの安全性に誤解を与える場面があったとして、番組のHPで謝罪した。

問題があったのは1月15日放送の第2回「銀の瞳」。人形に仕組んだ蓄電器が放出する静電気により、心臓ペースメーカーを破壊するというトリックが使われた。放送後、医療機器の業界団体の指摘により、静電気に対するペースメーカーの安全性と耐久性は極めて高いことが分かった。
(NHK謝罪「Q.E.D.」で誤解表現)


番組HPでは、
放送終了後、関係機関からのご指摘があり、改めて検証を行いましたところ、ペースメーカーの静電気放電に対する安全性や耐久性は、極めて高いものであることが判りました。

番組をご覧になったペースメーカーを使用されている方や、そのご家族、関係者の皆さんに、無用のご心配をおかけすることになったことをお詫びいたします。

※ご注意
この文章は、静電気に注意する必要がまったく無いとするものではありません。
心臓疾患のある方、心臓の弱い方は、ペースメーカーの使用の有無にかかわらず、万一に備え、静電気には十分な注意を払うことが必要ですし、静電気等を扱う実験には参加しない方が安全です。
と記載されていました。あくまでフィクションであるということを念頭においても、患者さんやその周囲の方々で、ご不安に思われる方がいらっしゃるということは表現に注意をしなければならない、ということですね。

不整脈の中には、洞不全症候群や房室ブロック、心房細動などに代表される徐脈を起こす疾患群があります。これらの不整脈の一部には、放置すると心不全を合併したり、致死的な心停止に発展する可能性があります。

そこで、心臓ペースメーカは、このような場合に、適切な機能を喪失した本来の心臓の刺激伝導系に代わって、心筋を刺激し、心臓を収縮させてくれます。また、最近は、徐脈性不整脈に対するペースメーカ治療のほかに、/牲伉汗畧失神の失神予防、肥大性心筋症の血行動態の改善、重症心不全の治療,に植込まれることがあります。

ペースメーカの基本構造は、電池、回路、リードの3つからなっています。電池としてはリチウム・ヨード電池が用いられているます。ペースメーカ本体には、ペーシング機構とセンシング機構を有するIC回路が用いられています。リードには抵抗が少なく腐食しにくい合金(プラチナ、イリジウム、コバルト−ニッケル)が用いられます。ペーシング部位には心房と心室および心内膜と心筋があり、それぞれのリードの形が異なります。

刺激法には、先端2つの電極間で電流回路を形成し心筋を興奮させる双極刺激法と先端電極(陰極)とペースメーカ本体で電流回路を形成する単極刺激法があります。また、ペースメーカーは、患者の心臓の状態や重傷度に応じ、電気刺激のモードを変更して使用するのが一般的です。

たとえば、「VVI」といったモードであったとします。これは、「心室を刺激し、心室の自己収縮を感知し、設定時間内に自己収縮があれば次の刺激をinhibit(抑制)する」と意味します。
最初の一文字目は「刺激する場所」を意味します。
→A: atrium(心房)、 V: ventricle(心室)、 D: dual、 O: none
二文字目は、「心臓収縮を感知する場所」を意味しています。
→A: atrium、 V: ventricle、 D: dual、 O: noneに分かれています。
三文字目は、「感知した信号に対しての次の刺激をどうするのか」意味しています。
→I: inhibit(抑制する)、T: trigger(引き起こす)、D: dual、 O: none
モードを変更する場合は、専用の装置を使用し、ペースメーカーへ向けてモード変更の電磁波を照射する事によって変更を行う方法が一般的です。このモード変更は、ペースメーカーを患者の体内に埋め込んだままの状態で行うことが可能です。

ペースメーカの安全性については、以下のようなことがいわれています。
ペースメーカ植込み後には、定期的にペースメーカクリニックでペースメーカをチェックする必要があります。また、ペースメーカ手帳などを記載して、ペースメーカに作動不全が起きた場合に必要な情報がわかるようにしておくことも重要となります。

原則として日常生活を制限する必要はないといわれています。というのも、通常、電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、などの電気製品にふれてもペースメーカ機能に影響しないし、電気毛布、振動マッサージ、ヘアドライアーも影響しないといわれています。

ですが、電気製品に電気漏れがあると偽抑制が起こることがあるので、この点は注意が必要です。また、携帯電話は、ペースメーカに影響を与えるともいわれていますが、携帯電話をペースメーカ本体に22 cm以内に近づけなければ問題ないといわれています。

また、稀に単極電極を使用している場合に筋電位を誤認識して、ペーシングしないことがあり、これは大胸筋を使う運動・仕事で起こるといわれています。

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