米医療機器大手「メドトロニック」(本社・ミネソタ州)は13日、同社が製造した植え込み型心臓除細動器のリード線の破損が原因で、13人が死亡した可能性があると発表した。

除細動器と心臓内部とをつなぐリード線で、製品名は「スプリント・フィデリス」。世界で約26万8000人の患者に埋め込まれたが、2007年に販売を中止した。

米食品医薬品局(FDA)にこれまで、同製品を使用する患者107人の死亡が報告され、同社が設置した外部専門家による委員会の調査で、13人が破損と関連があるとされた。

同社の日本法人「日本メドトロニック」のホームページによると、07年10月、同製品の断線の影響で海外で5人の死亡例が確認されたことなどから製品の自主回収を始めた。
(心臓除細動器リード線破損で「13人死亡」 米の製造会社)


植え込み型除細動器とは、致死性不整脈の中でも、薬物療法、カテーテル治療、外科治療などでその発生を抑制できない患者に対し、救命を目的として開発された除細動器です。

臨床応用が進むにつれ、その開発が進み、現在では除細動、ペーシング機能に加え、血行動態モニターシステム、予防的ペーシングシステムなど多くの機能が導入され、植込み手技も経静脈的なアプローチによる、より非侵襲的なものになりました。

従来、適応となるのは、心室細動、持続性心室頻拍、QT延長症候群などが主なものでした。最近では、心機能の低下が著しい症例、特に虚血性心疾患では1次予防としてICD(植込み型除細動器;implantable cardioverter defibrillator)植込みの有効性が報告されています。さらに、非虚血性心疾患に対する1次予防としてのICD植込みに関しても肯定的な報告もあります。

予後の改善効果があると言われていますが、医学的には以下のような問題も含まれています。
具体的には、不適切作動、高い除細動閾値、心不全などがあります。不適切作動とはその名の通り、ICDの動作などに関する問題です。ICDの製造メーカごとに、頻拍の検出アルゴリズムや感度、除細動方法などが微妙に異なっており、それぞれの特徴を理解し、患者ごとに適切と思われる機種を選択する必要がありますが、実際には植込み時に不適切作動を予想し回避するのは難しいです。

高い除細動閾値とは、除細動閾値が高いために起こる問題です。植込み時に10ジュール以上のマージンを保てることが推奨されていますが、10ジュールのマージンが保てないケースもあります。こうした場合、新しいリードの追加、除細動方法の変更などで対処することが多いですが、最近では高出力デバイスも小型化しており、使用されています。

ICD植込み患者の死亡原因で、最も多いのが心不全です。というのも、特発性心室細動などを除けば一般には重症な心疾患をもった患者であるため、起こりやすいと考えられます。十分な内科療法が必要なことは当然ですが、両心室ペーシング(CRT)を併用することも有用です。

上記のような問題が生じた以上、患者さんへの告知やケアも含め、しっかりと対処していただきたいと思われます。ICDを留置されている方は、ご注意下さい。

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