ネット通販業界の動きに懸念を持つ人たちも多い。とりわけ過去の薬害被害者らの不安には深刻なものがある。

「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」の患者会も反対の立場から、積極的な活動をしている。SJSは100万人当たり年間数人と極めてまれな副作用だが、大衆薬などによって皮膚や粘膜に赤い斑点や水ぶくれができ死亡するケースもあるとされる。

SJS患者会の湯浅和恵代表は、「最初は風邪薬、痛み止めぐらいとしか思っていないかもしれないが、深刻な影響がでることがある。薬の怖さを知ってもらいたい」と警鐘を鳴らす。
(【日本の議論】薬ネット販売の是非 双方の主張は)


適切に選択された医薬品が適正に使用されたにもかかわらず起こり、稀に起こる有害な薬物反応の中で、薬物本来の薬理作用から予測されない反応を「アレルギー性薬物反応」と呼びます。

薬物アレルギーは、薬物の投与を受けた生体で発生する、薬物またはその代謝産物を抗原として、それに対応する抗体あるいは感作リンパ球との間で発現した免疫反応が起こると考えられています。

中でも、Stevens-Johnson症候群(SJS)は、発熱、全身倦怠、関節痛などとともに多形紅斑が重症化し、口腔粘膜や外陰部、眼球、眼瞼結膜などに水疱、びらんを生ずる重症薬疹の一型です。上気道粘膜や消化管粘膜にも、同様の病変が拡大して、死に至ることもあります。

具体的な症状の進行としては、薬剤の服薬開始から7〜10日で発症することが多いです。通常、高熱や全身倦怠感、関節痛、筋痛などで発症します。発疹は、高熱と同時あるいは遅れて出現し、初めは多形紅斑だが次第に癒合し、不規則な輪状の紅斑となります。次第に、滲出傾向となり、水疱や膿疱を形成しながら全身に広がっていきます。

粘膜病変は皮疹に遅れて出現し、口腔,、口唇、眼瞼、腟などにび爛や潰瘍が出現します。口唇はひび割れて出血し、黒色に血痂(血液の乾固したもの)します。眼症状としては結膜の充血、膿性の眼脂(目やに)、偽膜形成などがみられ、失明の原因となります。

治療としては、以下のようなものがあります。
発症時に服用中の薬剤があれば、当然のことながら直ちに中止します。原因薬剤としては、抗てんかん薬(テグレトール、フェニトイン、フェノバルビタール)、抗菌薬〔セフェム系、ペニシリン系、サルファ薬(ST合剤、スルファサラジン)〕、消炎鎮痛薬(NSAIDs、総合感冒薬)が多いです。

実際には、最近始めた薬剤を中止することが多いですが、比較的長期間使用してきた薬剤でも誘因となりえるため、注意が必要です。

高熱や経口摂取が困難になることから、脱水、電解質異常、低栄養状態になりやすく、補液や経静脈栄養が必要となります。広範な皮膚び爛があれば、電解質や低タンパク血症の補正を行う必要が出てきます。

紅斑や小範囲の水疱び爛には、strong以上のステロイド外用薬やアズノール軟膏などを用います。二次感染が疑われれば、抗生物質軟膏やゲーベン軟膏を塗布し、ソフラチュールガーゼで保護します。
 
広範囲な皮膚び爛に対しては、生理食塩水やブロー液による洗浄を行い、ヒビテン消毒、アズノール軟膏やゲーベンローションを浸したガーゼによる保護を行います。

全身の薬物療法として、ステロイド薬については議論がありますが、全身状態が重篤な場合は使う場合が多いです。たとえば、プレドニゾロンや水溶性プレドニン、重症であればソル・メドロールなどを用います。また、こうした皮膚粘膜病変が進行すれば、γ-グロブリン製剤が試みられることもあります。

こうした疾患は、感冒薬でも起こりえます。「大衆薬だから」といった過信は恐ろしい結果を招きかねません。そうした注意喚起をしっかりした上で、さまざまな観点から議論を重ねて慎重に決定していただきたいと思われます。

【関連記事】
ケミカル・ピーリングでアレルギー症状を呈した30歳女性

突然発症、赤く腫れた皮膚−日光蕁麻疹とは