以下は、ザ!世界仰天ニュースで扱われていた内容です。
イギリス・イーストヨークシャーに食べることに悩む女性がいた。モデルのジェシカ・リード、18歳。華やかな世界で活躍する彼女の私生活は、まさに壮絶の一言。真夜中であろうと常に食べ物を口にする毎日。その量は、常識をはるかに超え、こんな生活が2年も続いていた。一体彼女に何が起こったのか…。

最初はダイエットがきっかけだった。「痩せたらキレイになれる」という軽い気持ち。小さい頃から太っていてコンプレックスがあったというジェシカは14歳の時、70kgあった体重が一気に44kgまで減り、2度も病院に運ばれた。それでも水やスープ以外は口にせず、体重は38kgにまで落ちた。「拒食症」と診断され治療が始まると、頑張って食べてみるが、食べてしまったことが恐ろしくなり、今度は吐くように…。やがて彼女は「過食症」に苦しむようになってしまったのだ。

彼女が過食症になった大きな理由があった。それはジェシカの母、カレンの存在。実は彼女も28年前から過食症だった。吐く度に胃酸が上がり、食道には穴が開き、歯はほとんど溶けてしまったという。ボールを食器代わりに、パスタ、マッシュポテト、ソーセージなど大量の食事を一緒に詰め込む。そしてトイレに駆け込み全部吐き出す。こんな生活を28年も続け、カレンは自暴自棄になっていた。そして、ついには娘のジェシカまで「過食症」に苦しむようになっていたのだった。

拒食や過食といった、食行動のコントロールが困難となる疾患を摂食障害といいます。思春期の女性に多いといわれていますが、近年では若年例、高年例、男性例が増加しています。

摂食障害には、神経性無食欲症(いわゆる拒食症)と神経性大食症(いわゆる過食症)の2つの病態に大きく分けられます。

神経性無食欲症(拒食症)の方は、無食欲、やせ、無月経を呈し、活動性は亢進し、どんなにやせていても自分がやせているとは思わず(ボディ・イメージの歪みがある)、治療に対して拒否的である状態です。平たく言ってしまえば、「太ってしまうという恐怖があり(実際は痩せている)、栄養を摂るのに必要な食事を拒否してしまっている状態」と言えるでしょう。

このように、やせ願望のために食事を極端に自己制限し、体重減少が著しくなります。無月経などの身体合併症を伴い、危険な状態に至っても肥満恐怖が強く、少量の食事で太るという認知の歪みを認めます。極端な食事制限のみのタイプと、食事制限に加えて、自己誘発嘔吐や下剤、利尿薬乱用を伴うタイプがあります。上記のケースでは、まず神経性無食欲症があったのではないか、と考えられます。

一方、神経性大食症(いわゆる過食症)の方は、短時間内(多くは夜間)に大量の食物をむちゃ食いする点に特徴があり、抑えがたい衝動によってむちゃ食いしてしまいます。また過食後も多くのケースでやせ願望や肥満恐怖があり、自己誘発性嘔吐や下剤の乱用などがみられます。

ちなみに、極端な過食をしながら、自己誘発嘔吐や下剤,利尿薬乱用などの排出行為を伴うタイプと、運動によって体重増加を防ぐのみで排出行為のないタイプがあります。神経性大食症は肥満恐怖がありますが、極度の体重減少はない点が神経性無食欲症とは異なります。

このように、両者は正反対の病態のようにもみえますが、拒食症が過食症へと変遷したり、過食症が拒食症様の症状を呈したりします。上記のケースでは、まさにこうした変遷を辿っています。

両者は相互に移行したり重複したりし、連続性のある病態と考えられ、摂食障害として1つにまとめられます。両方とも、体重や体型によって自己評価が極端に左右されるという認知の歪みが認められる点で一致しています。

カレンとジェシカは、以下のような状態になっていきました。
親子は「拒食症」から「過食症」に苦しみ、母カレンは28年間も過食嘔吐を繰り返していた。25歳で結婚したカレンは、当時はスリムな体型をしていたが、実は小さい頃から太っていて、12歳の時にすでに体重が76kgもあった。その後117kgまで増えてしまい、南アフリカでダイエット治療を行うことになった。そこで64kgの減量に成功し、体重は53kgになったが、最終的には38kgにまで落ち、「拒食症」と診断されてしまう。

その後、ストレスから食べるようになり、過食が進み、今では娘と二人、毎日スーパーで食料品を買い漁っている。さらに、深夜になるとデリバリーを注文。届いた大量の食料をまたボールに詰め込み、食べまくるのだ。娘のジェシカは、吐く時にかがみすぎて、背中の筋肉が痛くて眠れないという。

ストレスを抱える母と娘はケンカも耐えない。そして生活費のほとんどが食費に消え、家計は苦しい。そして、今、父と母は離婚し、母と娘は別々に生活し始めた。

摂食障害はダイエットの行き過ぎや痩せすぎが問題になるのではなく、その背景に心理的葛藤が存在し、それが自らの体型や体重に置き換えられている、という認識が必要になります。

そのため、治療のゴールを体重の回復のように身体面の改善だけに置くのではなく、本人の自立を根気よく精神的に援助していく姿勢が望まれます。そして、治療は年の単位となるのが一般的で、患者さんだけでなく、周囲や治療者も焦らないようにする必要があります。

治療としては、標準体重の70%以下になれば原則入院療法を行います。そこで疾病教育や栄養教育が必要です。疾病教育では摂食障害に関する説明などをしっかりと行い、ボディ・イメージの歪みを直していく(太ってなどおらず、治療が必要だと病識を正す)必要があります。栄養教育では、小児期における成長に必要な栄養の重要性や、低栄養であるとどんな悪影響があるのか、といった理解を促します。

飢餓や嘔吐など生理的影響を受けている患者さんを、精神療法だけで治療することには限界があり、身体療法、家族療法、薬物療法、認知行動療法などの治療法を組み合わせて総合的に対処する必要があります。

精神療法としては、個人精神療法、集団精神療法(心理教育も含む)、家族療法などがあります。個人療法では、受容的・支持的な態度をしめすことが重要となります。体重が増えると自信や自己存在が大きく揺らぐ不安に共感していきます。一方で、認知行動療法を用いて、体重や体型、食事に対する歪んだ認知の修正をはかることも行います。

精神症状に対しては、対症的に薬物療法を行います。薬物療法はあくまでも補助的な手段ではありますが、うまく利用することのメリットもあります。抑うつや強迫傾向、不安などが強い場合ではデプロメール錠(25mg)やパキシル(10mg)などを用います。

患者自身または家族(特に母親)は病気の原因について強い自責感をもっているケースが多く、そのことが家族との葛藤を引き起こしている場合があります。患者自身が悪いのでも、家族や周囲が悪いのでもなく、症状のために全員がまきこまれていると認識していただき、問題の外在化をはかることも重要です。

摂食障害とは、精神的な疾患であるということを認識していただき、精神科にて治療を行うことが勧められます。ただ、中には"治療"と称して、高額な治療費を請求するところもあるようです。ご注意下さい。

【関連記事】
体重26Kgになってしまった18歳女性−摂食障害(神経性無食欲症)

摂食障害で無月経になった15歳女性