シャツの襟回りのきつさが、将来の心臓障害の指標となる可能性のあることが、フラミンガム心臓研究(Frammingham Heart Study)グループの研究で明らかになり、米フロリダ州で開かれた米国心臓協会(AHA)心血管疾患疫学・予防年次集会で報告された。

心血管疾患のリスク評価には、長年、内臓脂肪の測定が利用されている。しかし、同研究の最初の被験者の子孫にあたる3,320人のデータ(フラミンガム子孫研究)を検討した結果、頸部の脂肪にもコレステロール値や肥満などの心臓障害因子との間に密接な関連があることが判明した。「内臓脂肪組織について調整を行ってもなお、頸囲(首回り)と心血管代謝(cardiometabolic)危険因子との間に関連がみられた」と研究グループのSarah Rosner Preis氏は報告している。

標準的な肥満評価法は、腰囲の測定およびボディ・マス・インデックス(BMI、肥満指数として用いる)の判定によるものだが、医師がリスク評価をする際に、腰囲に加えて頸部肥満を利用できる可能性があると研究グループは指摘し、「上半身の皮下脂肪組織および内臓脂肪組織が、独立して心血管代謝リスクに寄与している」と説明している。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部教授のGregg C. Fonarow博士によると、今回の研究は従来のリスク評価法以外に目を向けた点で実に優れているという。しかし、基本的に身体のどこであろうと脂肪が多すぎるのは心臓によくないということであり、腹部でもそれ以外の部位でも、脂肪組織量を評価するという点では同じことだと指摘している。

米レノックスヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のKirk Garratt博士は「上半身に肥満のある人は心血管疾患リスクが高いことは以前からわかっていたが、今回の研究はその定量化による評価を可能にするものだ」と述べている。Garratt氏によると、肥満には主に腰周りに脂肪がつく洋なし型と、上半身に脂肪がつくりんご型の2種類があり、上半身に脂肪の多い人は心血管疾患リスクが高いという。部位にかかわらず脂肪があれば落とすほうがよく、「BMIが25を超える人は、脂肪のついている部位とは無関係に冠動脈イベントリスクが高い」という。
(首回りの脂肪が心血管疾患のリスク指標に)


心疾患における死亡率としては、とくに心筋梗塞が大きな要因と考えられます。心筋梗塞の男女比は 4〜5:1 と男性に多く、60歳代に最も多いといわれています。最近では、70歳以上の高齢者の割合が増加していますが、その一方で、生活習慣の変化から40〜50歳代の若年発症も増加傾向にあります。

循環器疾患の三大危険因子は、高血圧、高コレステロール血症、喫煙です。心筋梗塞予防という観点からすれば、高血圧、喫煙などの矯正可能な危険因子をできるだけ除くことが重要です。

具体的には、血圧は140/90mmHg未満(心不全、腎機能障害、糖尿病がある場合は 130/85mmHg 未満)とし、血清LDL-コレステロール値は 100mg/dl 未満、血糖正常,HbA1cは 7%未満、BMIは 21〜25kg/m2を目標とします。その他、1回 30分、週 3〜4回の運動が推奨されています。

まず、高血圧についてですが、高血圧が長期間持続すると血管障害をきたし、脳血管障害、虚血性心疾患、腎障害などを生じるとともに、心臓に対しては圧負荷により心肥大をきたします。圧負荷がさらに長期間持続すると、虚血性心疾患と相俟って心不全を生じてしまいます。

高脂血症については、以下のようなことが言えます。
高脂血症は、全身の動脈硬化を促進し、心筋梗塞をはじめとする動脈硬化性疾患の原因となります。高脂血症は空腹時に測定した血清総コレステロール(TC)値220mg/dl以上、TG値150mg/dl以上のいずれか、または両者の場合を示します。

治療法としては、まず、食事療法、運動療法などによるライフスタイル改善が根幹にあります。カロリー制限・栄養素配分などに加え、1日3食の配分をほぼ均等にし、間食をしないなどの食生活の改善も重要です。

3〜6ヶ月観察しても管理基準に達しない場合には、薬物療法を開始します。ただ、動脈硬化性疾患を生じた症例や、LDL-C値が200mg/dLを超えておりライフスタイル改善のみではコントロール困難な症例では、早期から薬物療法を開始します。

薬物療法としては、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、陰イオン交換樹脂、プロブコールのいずれか単独、あるいは適宜併用にてコントロールを図ります。ただ、高脂血症治療として、LDLコレステロール値が優位に上昇している場合はスタチン、中性脂肪値が優位に上昇している場合にはフィブラート系薬剤、あるいはニコチン酸誘導体を第1選択薬として用います。

上記の研究では、「頸部の脂肪にもコレステロール値や肥満などの心臓障害因子との間に密接な関連がある」といったことから、心疾患の指標として使えるのではないか、ということのようです。

ただ、「腹部でもそれ以外の部位でも、脂肪組織量を評価するという点では同じこと」ということであり、果たしてそのリスク評価法がその他の評価と比べて優れているかどうかといった点では、さらなる研究が必要であると考えられます。

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