産婦人科医の減少でお産に続いて婦人科系のがんを治療できる病院も減少し、大学病院など一部の大規模病院に患者が集中していることが、日本産科婦人科学会の調査で分かった。同学会は「病院の許容量を超える集中も起き始めた。お産に続いて、がん治療の破綻が起きかねない」と危機感を募らせている。

同学会産婦人科医療提供体制検討委員会が調査、中間集計した。同学会に子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの年間患者数を登録している全国約270病院のデータを使い、04年と07年の新規患者数を比較した。

調査した吉川裕之・筑波大教授によると、一般的に患者が多いとされるのは年間の新規患者が100人以上の病院。07年の新患数が100人以上の病院のうち、3年間に25%以上患者が増えたのは17病院に達した。大学病院や県立のがんセンターなど地域の拠点病院ばかりで、増加率は千葉県がんセンターの2.02倍を最高に東京医科大1.95倍▽大阪大1.71倍▽東海大1.62倍――だった。

関東地方の病院が10病院を占め、九州・沖縄3、北海道・東北2、近畿、中国が各1病院。新患数でみると、6病院が年間150人を超え、うち1病院は200人を超えた。

一方、検討委員会が都道府県の学会地方部会に実施している実態調査では、宮城、茨城、三重、鹿児島などから「(婦人科がん医療は)崩壊寸前」「手術待ち時間が延びた」など、現状の深刻さを訴える回答が相次いだ。

吉川教授は「医師不足で分娩をやめた病院の多くはがん治療もやめてしまい、この3年で患者集中が急速に進んだ。医師不足対策はがん医療の水準維持のためにも急務だ」と話している。
([婦人科系がん]大規模病院に患者集中 医師の減少が影響か)


産婦人科の医師不足により、産科が縮小する傾向にある一方で、同時に癌治療も止めてしまう…結果、上記のような状態に陥ってしまっているようです。

このままの状況が進めば、産科だけでなく婦人科も負担が増え、さらに辞めていく医師が増えていく、そして閉鎖せざるをえなくなる、という悪循環に陥る可能性があります。

婦人科系の悪性腫瘍としては、子宮癌や卵巣癌があります。
一般に子宮癌と呼ばれていものには、子宮頸癌と子宮体癌の2種類があります。子宮の入り口(頸部)にできるのが子宮頸癌であり、奥の袋状の部分(体部)にできるのが子宮体癌です。

子宮頸癌の好発年齢は40歳程度で発生率が高いとされています。年齢別にみた子宮頸部がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加します。近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。

子宮頸癌は、子宮腟部の扁平上皮と頸管腺組織の境界領域(SCジャンクションといいます[squamocolumnar junction])の頸管側に扁平上皮化生や異形成を経て発生します。この過程に、ヒトパピローマウイルス(HPV)の関与しており、HPVが持続感染(他のタイプのHPVは、一時的に感染しても治癒することが多い)することで、子宮頸癌が発生すると考えられています。

症状としては、浸潤前癌は無症状であり、子宮がん検診などで細胞診による検診で発見されます。癌検診が行われていることにより、結果、進行癌が減少し前癌状態である異形成や上皮内癌を含む早期癌で発見される頻度が増加しています。現に、最近では子宮頸部上皮内癌(0期子宮頸部癌)で発見される症例が、全子宮頸癌の半数以上を占めるようになってきています。

初期の浸潤癌に進行すると、帯下や性器出血の症状を呈することがあります。接触出血を起こすこともあり、性交後の点状出血などが典型的にみられます。腫瘍の発育が進むにつれ帯下の量は多くなり、膿性を呈してきます。性器出血は月経時以外に、多量の出血としてみられることもあります。

痛みが生じてくるのは、進行頸癌で認められる症状です。また、進行し膀胱や直腸を侵した場合、頻尿や尿意切迫、血尿、便意切迫、直腸出血などの症状が出現します。腰痛や下肢痛は、大きな腫瘍や尿管閉塞により腰仙部神経の圧迫や腰仙部神経根への癌浸潤の症状として現れます。

一方、子宮体癌は子宮内膜から発生し子宮癌の30〜40%を占め、日本での罹患率は増加しています。好発年齢は50〜60歳代で、閉経後の発生が約4分の3を占めていますが、最近40歳未満の若年体癌の頻度も増えている状況にあります。

自覚症状のないものは稀で、不正性器出血(子宮出血)は、子宮体癌患者の90%以上に認められます。特に、閉経後の出血は要注意となります。閉経前女性においては、加齢に伴って起こる月経過多は体癌の徴候の1つです。

卵巣癌は、以下のような説明ができます。
卵巣癌とは、卵巣に発生する悪性上皮性腫瘍のことを指します。卵巣腫瘍は、悪性と良性、その中間の低悪性(または境界型悪性)腫瘍に分類されます。卵巣にできる腫瘍の85%は良性となっています。

悪性卵巣腫瘍の中での76%を占め、組織学的には漿液性、粘液性、類内膜そして明細胞が主として発生します。悪性卵巣腫瘍のうち、卵巣癌の好発年齢は40〜60歳代と、比較的高いと考えられます。

卵巣癌の罹患率は40歳代から増加し、50歳代前半でピークを迎えてほぼ横ばいになり、80歳以上でまた増加します。家族性卵巣癌症候群や乳癌卵巣癌症候群など癌家族集積性を認める場合は、さらに若年発生です。

また、悪性胚細胞腫瘍の場合は20〜30歳代に好発し、妊娠合併例や妊孕性温存に関して問題になります。悪性腫瘍では、胚細胞性腫瘍(卵黄嚢癌、未分化胚細胞腫など)と非胚細胞性腫瘍(顆粒膜細胞腫など)があります。

卵巣は生殖のための臓器で、ホルモン産生に関与する臓器です。腹腔内でも、骨盤腔の最も深いところに位置しています。そのため、卵巣の腫瘍性病変は良・悪性を問わず、かなり大きくなるまで自覚症状がないことが多いです。

悪性の場合、進行例として発見される症例が約半数を占めるということで、早期発見が難しい疾患といえると思われます。無症状のことが多いですが、比較的みられる症状としては、下腹部痛、腹部膨満、腹部腫瘤、不正性器出血、異常帯下などがあります。

大部分がぼんやりした不特定の症状、たとえば消化不良、腹部の膨隆、すぐに満腹感を覚える食欲不振、ガス痛、腰痛などをもっています。腫瘤の増大に伴い、下腹部痛や圧迫感も訴えることがあります。

最も一般的な初期発見は付属器の腫瘤で、腫瘤はしばしば固く不規則で固定されている状態になっているそうです。新生児頭大以上になると、自分で下腹部腫瘤として触れます。臨床進行期郡・鹸の進行癌で発見される場合、癌性腹膜炎による腹水や腸閉塞症状、胸水による呼吸困難を訴えて来院することがあります。

こうした婦人科系の悪性腫瘍が治療できなくなる、といった状況も起こりえるかもしれません。できたとしても、待つ期間が長くなるとなれば、不安や心配を患者さんが感じ続けることにもなると思われます。

医師不足という難しい問題を孕んでいるため、すぐさま改善できる、といったことではないと思われますが、是非とも対策に乗り出していただければ、と思われます。

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