読売新聞の医療相談室で、以下のような相談がなされていました。
アトピー性皮膚炎で苦しんでいます。額と首が一番ひどく、一人暮らしなので薬が塗れない背中もひどくなっています。2種類の薬を塗っていますが、あまり効果がありません。(22歳男性)

この相談に対して、聖路加国際病院皮膚科部長である衛藤光先生は、以下のようにお答えになっています。
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が悪化したり、改善したりを繰り返しながら長期間続きますが、必ずしもアレルギーだけが原因とは限りません。乾燥などで皮膚の防御機能が低下すると、汗をかいたり、湿疹をかきむしって傷つけたり、といった物理的刺激だけでも起こります。

成人で症状を悪化させる要因は、個人差や季節による違いがあるものの、室内のほこりやダニ、皮膚表面の細菌、真菌、シャンプー、せっけん、化粧品、スキンケア用品、塗り薬、ストレスなどです。質問者の場合は、なぜ額と首の症状が治りにくいのか、専門医に診断してもらう必要があります。

アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返すそう痒のある湿疹病変を主体とする疾患であるといえます。患者さんの多くは、アトピー素因をもつといわれています。

ありふれた外界抗原に対する儀織▲譽襯ー反応が皮膚に起こり、慢性・再発性の掻痒を伴う湿疹が起こると考えられています(乳幼児期においては食物が抗原となることが多く、それ以後ではダニや花粉が抗原となることが多い)。

乳幼児の疾患であり学童期には自然軽快するものとされていましたが、最近では思春期や成人に至っても治癒しない慢性難治例が増加しているといわれています。全体の患者数も増加し、罹患率は全人口の約5%にのぼるといわれます。

アトピー性皮膚炎のピークは小児期と思春期の2つにあり、どちらの場合も自然治癒傾向を示すため、老人のアトピー性皮膚炎はほとんど存在しません。

アトピー性皮膚炎の発症に関与する遺伝的背景を変えることはできませんが、実際の皮膚病変の発症はこのように人生の限られた時期のものであり、病気をやりすごしてしまう治療を行うことが基本となります。

症状としては、激しい掻痒を伴う湿疹が特徴です。頭部、顔面、体幹、および四肢のうち、特に肘・膝の屈側部などに出現します。

また、下眼瞼の皺襞形成〔Dennie-Morgan(デニー・モルガン)徴候〕や眉毛部外側の脱毛〔Hertoghe(ヘルトゲ)徴候〕などもみられます。ちなみに皮膚症状は、年齢により変化します。

乳幼児期では、顔面,頭部に紅斑や丘疹が出現し、次第に全身に拡大します。この時期では湿潤傾向が強いです。小児期では、皮膚は次第に乾燥性となり、苔癬化局面がみられます。思春期・成人期では、皮膚はさらに乾燥化し、角化性丘疹、落屑、肥厚、苔癬化も著明となります。

治療としては、以下のようなものがあります。
治療するには、まず症状を悪くする要因を取り除き、適切な塗り薬を1日2回塗ることが重要です。塗り薬には炎症を鎮めるものと、皮膚の防御機能を回復させるものがあり、組み合わせて使えば効果的です。

毎回薬を塗る作業は面倒かもしれませんが、きちんと塗れば症状は確実に改善します。かゆみが強い場合は、かゆみを抑える飲み薬を毎日服用します。

普通の治療では治らない重症なアトピー性皮膚炎の治療薬として昨年、内服薬「シクロスポリン」(一般名)が承認されました。この薬は湿疹とかゆみに有効で、最長3ヶ月、用量を守って使えば、免疫力の低下、高血圧、腎障害などの副作用もまず問題はありません。

正しいスキンケアと薬の正しい使用の2点が、皮膚の治療には欠かせません。

基本的には、対症療法が中心となります。ですが、多くの症例では加齢とともに自然寛解も期待されます。

症状がない、あるいはあっても軽微であり、日常生活に支障はなく薬物療法もあまり必要としません。あるいは、軽微ないし軽度の症状が持続するも急に悪化することは稀で、悪化しても遅延することはないという状態を保つことが治療の目標となります。

治療の中心は、外用療法です。ステロイド外用剤は、ランクでストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウィーク(強い順)に分類されます。これらを個々の皮疹の重症度に応じて適宜使い分けます。

重症の皮疹には強いステロイド外用剤が必要となります。一方、軽症の皮疹にはミディアムクラス以下のステロイド薬が基本となります。海外で数千例を対象とした全身へのタクロリムス軟膏0.1%(プロトピック軟膏)単独の治験では、アトピー性皮膚炎に非常に有用であるといわれています(ただ、国内では特に、顔面、頸部などでの使用が推奨されている)。また、濃度を低くした小児用プロトピック軟膏0.03%が国内でも使用可能となっています。

顔面のアトピー性皮膚炎治療には現在、タクロリムス軟膏(プロトピック)が主に使われています。ただし、プロトピックは傷があると使い始めに刺激感(ほてり、ひりひり感、痒みなど)を生じ、薬を塗れないこともありますので、傷がある場合には短期間(3〜4日)症状に応じたステロイド外用薬を塗り、症状を良くしてからプロトピックの使用を開始します。

一般には塗り薬を使う時には、痒みを軽くする抗ヒスタミン薬の内服を一緒に行います。また、顔面のアトピー性皮膚炎が生じる原因を医師とともに考えて、可能な範囲で避けることも大切です。洗顔や洗髪の方法や現在使用している石鹸、シャンプーなどを見直すことが必要な場合もあります。

まずは皮膚科専門医を受診し、こうした治療を行ってみることが重要であると考えられます。

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